つくろう、島の未来

2024年04月25日 木曜日

つくろう、島の未来

1998年から笠岡諸島で開催されている、島の大運動会。「島をひとつに、心はひとつに」を合い言葉に、笠岡諸島の島々をつなぐ運動会とは。

◼︎笠岡諸島に暮らす島民が一堂に会する運動会

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岡山県・笠岡諸島は、高島、白石島、北木島、真鍋島、飛島(大飛島・小飛島)、六島の有人7島と31島の無人島によって形成され、諸島全体で2,235人(『離島統計年報2013』より)が暮らしている。

笠岡諸島で、各島同士の交流を目的に始まった「島の大運動会」は、1998年に北木島で第1回目が開催された。以降は、毎年各島の持ち回りで行われ、今年は5月31日に飛島で開催される。

運動会を主催するNPO法人かさおか島づくり海社(以下、海社)は、笠岡諸島でデイサービスなどの介護事業や教育事業、買い物支援など、島民が生まれた島に住み続けられる取り組みを行う団体。海社の東馬場さんは「島には高齢者も多く、運動会は大変だと言う人も多い。一方で、島民同士が顔を会わせるよい場でもある。お互いの島を知ることで発見があれば」と話す。運動会の準備は、会場となる飛島の島民、海社、笠岡市が協力して行う。

2003年から毎年、運動会に参加している六島の三宅千代美さんは「運動会に参加して、他の島に顔見知りの方ができた」と話す。運動会が開催される以前は、島と島の交流はほとんどなかったという。「今でも、船や待合所で他島の人に会えば『お元気ですか』と声をかけます」(三宅さん)。

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会場となる飛島は、東西の潮がぶつかる瀬戸内海の要所に位置することから、かつては船の航行に適した潮を待つ「潮待ち」の場所とされ、銅鏡や土器も出土している。当日のプログラムは、「潮待ち綱引き」や「飛島資料館見学」といった、飛島ならではのプログラムを用意している。また、会場には各島がどのような取り組みを行っているかを掲載した掲示板も設置予定。東馬場さんは「他地域の成功事例はなかなか真似できなくても、隣の島がやっていることなら、自分の島でも取り入れやすいのでは」と話す。

今年で第17回目の開催となり、参加者の高齢化も進んでいるため、島民の一部からは「“運動会”ではなく“交流会”でもいいのでは」という声もあがっている。一方、昨年の運動会で行われた、島対抗のソフトボール競技は若い人たちに好評だったという。運動会当日は、島外から出身者も帰ってくるため、にぎわいも増す。今後も、諸島に暮らす島民が一堂に会する機会の継続に期待したい。

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