「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録を見据え、長崎県の平戸(ひらど)市・小値賀(おぢか)町・新上五島(しんかみごとう)町の3市町と観光団体で構成する「平戸・小値賀・上五島観光ルート形成推進協議会」が、チャーター船を使い島々に点在する構成資産を効率的に周遊するコースを企画。3月22日から23日にかけて、離島専門メディアや出版社を招きプレスツアーを実施した。
かつて3つの集落に600人ほどが暮らし、今はほぼ無人となった野崎島の旧野首教会堂
平戸・小値賀・上五島観光ルート形成推進協議会は、2018年夏に世界文化遺産登録を目指す「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産(※)を持つ平戸市・小値賀町・新上五島町の3市町と観光団体により2017年に結成された。
※「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は12の資産で構成され、そのうち「野崎島の集落跡」「頭ケ島の集落」「春日集落と安満岳」など4資産が平戸市・小値賀町・新上五島町の3市町に点在する。
同協議会では、チャーター船を使い島々に点在する構成資産を効率的に周遊するコースを企画。3月22日から23日にかけて、離島専門メディアや旅行雑誌などの出版社を現地に招き、実際にツアーを体験してもらうプレスツアーを実施した。
ツアー行程は、現在の長崎市西部の東シナ海に面した外海(そとめ)地区から、五島列島(ごとうれっとう)、野崎島(のざきじま)、生月島(いきつきじま)、平戸島(ひらどじま)などへ島伝いに移住していった潜伏キリシタンたちの足跡をなぞるもので、定期航路のない小値賀島と平戸島間をチャーター船で結ぶコースを新たに企画。
チャーター船は約30人乗りと小型のため、フェリーなどの大型船に比べ海況により欠航などのリスクは上がるが、定期航路のみを利用した場合に比べて移動時間を約1時間45分短縮することができる。
左:チャーター船を利用した移動の様子/右:平戸島の酒蔵で説明を受けるプレス一行
同ツアーには、協議会の呼びかけに応じた離島専門メディアや出版社など7社が参加し、一部移動にチャーター船を利用しながら、1日目は五島列島の中通島(なかどおりじま)と頭ケ島(かしらがしま)、小値賀島(おぢかじま)の潜伏キリシタン遺産や観光スポットを視察。2日目は野崎島と平戸島、生月島を視察し、長崎空港でツアーを終えた。
「平戸・小値賀・上五島観光ルート形成推進協議会」メンバーでプレスツアーの事務局を務めた小値賀町役場の担当者は、「自治体をまたいで点在する構成資産を効率よく見ていただけるよう1市2町が連携し、1年間かけてツアー内容を企画し、磨き上げてきました。今後、旅行会社などにツアー造成を働きかけていきたい」と話す。
プレスツアーの詳細については、後日『離島経済新聞』にてレポート掲載予定。