つくろう、島の未来

2024年12月03日 火曜日

つくろう、島の未来

2016年5月1日から1カ月、東京都府中市のギャラリーで美術家の平嶺時彦さん(92歳)が個展を開催。クラウドファンディング(小額支援)サイト「READYFOR?」で開催資金を集め、実現した。

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作品例。このような写真も展示される

92歳の芸術家。平嶺時彦さん初の東京個展開催

甑島(こしきじま|鹿児島県薩摩川内市)には、毎夏開催される地域アート「KOSHIKI ART PROJECT」があった。同プロジェクト代表の平嶺林太郎さんは、時彦さんの孫で、以前、離島経済新聞で紹介した東京に住む島のセガレ(参照:離島経済新聞「アートで列島をつなぐ!甑島の立役者」 2011年3月公開)。

2016年1月、林太郎さんがクラウドファディング(小額支援)サイト「READYFOR?」で「小さな島の92歳の芸術家!『平嶺 時彦』初の東京個展開催へ!」プロジェクトへの支援を募集。3月に目標金額を達成し、5月から1カ月間、東京都府中市の「GALLERY HIRAMINE TOKYO」で時彦さんの個展「生きる東京アニマル」が開催される。

同展では、時彦さんの立体作品200〜300点から、干支にまつわる作品や龍をはじめとしたサイズ大の作品が数点展示される。林太郎さんは「格子状の棚に飾り、手で持てるようにします。また、祖父の作品を野外に置いて撮影した写真も展示します」と補足する。

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個展を開催する平嶺時彦さん

甑島には、2004年から各地のアーティストが滞在。ブルーシートに砂を定着させて絵を描く作家をはじめ、自然物と人工物を組み合わせた作品が生み出されてきた。

「祖父も島の自然物を使った作品を制作していましたが、来島するアーティストが自然物と人工物を自由に組み合わせる様子を見て、旧来の素材と現代の素材を組み合わせていいんだと気付いたようです。その瞬間から祖父の創作意欲に変化が表れました」(林太郎さん)。

そんな時彦さんの作品には「人を元気にする力がある」と感じ、林太郎さんは東京での個展開催を計画した。「祖父の作品には、アニミズム(生物・無生物に関わらず霊が宿るとする信仰)を感じられます。作品を通じて、ものも生きているという感覚が伝われば嬉しい」(林太郎さん)。

同展では、バッヂやポストカードなど時彦さんの作品関連グッズの物販があるほか、甑島のアロエジャムやアロエビネガーといった産品販売も行われる。林太郎さんは「東京にいながら甑島にどう関わるのか。僕は島と関わりたい気持ちが強いので、産品も用意しました」と話す。


平嶺時彦 生きる東京アニマル
会  期:2016年5月1日〜29日(土日祝OPEN)
展示時間:12:00〜18:00
展示会場:GALLERY HIRAMINE TOKYO(東京都府中市住吉町4-35-33)

     

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