奄美群島(あまみぐんとう|鹿児島県)の民謡であるシマ唄が、4月1日よりApple社のiTunesStoreでダウンロード配信されるようになりました。 販売元の奄美大島(あまみおおしま|鹿児島県)のセントラル楽器さんに、どんな思いでシマ唄と関わってきたのか、お話をうかがいに行ってきました。
奄美群島の民謡であるシマ唄が
4月1日よりApple社のiTunesStoreで
ダウンロード配信されるようになりました。
島の外では手に入りにくかった楽曲が、
国内だけでなく世界中どこでも気軽に購入できるとあって、
奄美のシマ唄をいろいろな方に知っていただけるチャンス。
そこで販売元である奄美大島のセントラル楽器さんに
お話をうかがいに行ってきました。
数々のシマ唄のレコード・CD制作を
昭和31年より60年近くも手がけてきたのが
奄美大島の中心部、
奄美市名瀬の商店街にあるセントラル楽器。
ピアノだけでなく、
奄美の三味線やチヂン(太鼓)など
さまざまな楽器販売を中心に、
地元アーティストのCD販売・シマ唄の音源制作をしています。
今回のiTunesStoreでのダウンロード販売は、
社長の指宿俊彦さんが進めてきました。
「これまでに100人近くの唄者(シマ唄の歌手)、
約1000曲の録音をしてきました」。
4月1日よりiTunesStoreで配信開始されたのは、
アルバム10タイトル、約200曲。
同社が昭和31年に初めて録音した
「福島幸義・朝崎郁恵傑作集」や、
メジャーデビュー前の高校生時代の元ちとせさん、
伝説の唄者と呼ばれる武下和平さんなどの作品などが配信されています。
アルバム1作品1500円で、
1曲150円で購入可能です。
もともとシマ唄というのは、
奄美群島で歌われてきた民謡を指す言葉。
シマとは、islandの島ではなく、
自分の生まれた”集落”や
”ふるさと”を意味するもの。
薩摩藩の圧政に苦しんだ
庶民の気持ちを歌ったものや
恋、祝い歌、人生訓など
さまざまな想いが込められており、
奄美の暮らしや歴史そのものを反映しています。
唄はそれぞれのシマで歌い継がれ、
シマグチ(集落の方言)を使ってるため、
歌詞や曲調などに違いがあり、
同じ曲でも歌い方はさまざま。
「シマグチや歴史が分からないと
とっつきにくいものも多いですが、
無料で1分半も試聴ができるので、
まずは気軽に聴いてほしいですね。
坪山豊さんの『ワイド節』や『豊年節』などから
聴き始めるのがおすすめです」。
これまでシマ唄の楽曲は、
島の外の大手CDショップや
Amazonでもほとんど販売されていませんでした。
今回のダウンロード配信に
踏み切ったキッカケはなんだったのでしょうか?
「CDがなくなっていく危機感もあり、
シマ唄をどうやって届けていくかということで、
5年前から楽曲のダウンロード販売を考えていました。
沖縄のりんけんバンドの照屋林賢さんに
いろいろ教えてもらったのもあって、
iTunesStoreで配信することになりました。
まさか自分たちが登録できるとは思っていなかったんです(笑)。
でも世界配信できるという魅力は
やはり大きかったですね」。
セントラル楽器にあるシマ唄は
レコードやカセットのまま絶版になっているものも多い。
昔の楽曲はオープンリールテープという物に保存されていて、
デジタルファイルに変換して行く作業もひと苦労だそう。
ダウンロード配信を始めて、
特に古い楽曲に興味を持たれている方が多いそうで、
絶版ものの掘り起こしは、
これからの重要な作業と言えそうです。
「今後は月にアルバム2タイトルずつ配信を増やしていって、
新民謡の楽曲、
方言で面白おかしく主張する弁論大会みたいな
『シマグチ大会』などの音源も配信していきたいですね」。
島の外に住んでいるシマッチュには
とっても「なてぃかしゃ(懐かしさだけでなく、
心の琴線に触れるさまざまな想い)」。
また”奄美病”を患っている(!?)かたには、
島の風を感じられる嬉しいニュース。
奄美シマ唄未体験の方にも、
まずはぜひ試聴して
島の雰囲気を味わってほしいと思います。
■セントラル楽器サイト「奄美島唄学校」 http://www.simauta.net/
※トップページにiTunesStoreで配信されている
シマ唄の一覧がご覧になれます。