つくろう、島の未来

2024年10月27日 日曜日

つくろう、島の未来

離島の課題と可能性を学ぶオンライン勉強会開催中

11月14日(木)、東京ミッドタウン八重洲カンファレンスで「未来のシマ共創会議」が開催されます。

国内417島の有人離島は、人口減少・高齢化・地球沸騰化等の課題に対し、新旧の知恵とテクノロジーを活用した取り組みが展開される「日本の未来の先進地」。そんな離島を舞台に持続可能な世界をつくる共創を生み出す参加型イベントです。詳細は特設ページをご覧ください。

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当日まで、毎週木曜20~21時半に、共創会議の参加者を対象に、実践者や有識者から離島の課題と可能性について事前にインプットできるのオンライン勉強会を開催しております。テーマは、インフラ、資源の活用、医療、子育て魅力化、お金の話など……離島の持続可能な社会において直面するものばかり。

島々で現実に起こっている状況や取り組みを知っていただくことで、当日のセッションやワークショップがより立体的なものになるかと思います。そこで、勉強会の様子が分かる短めのレポートをご紹介。勉強会は共創会議終了前後までアーカイヴ視聴できますので、安心してご参加ください。

ここからは、リトケイのプロボノチーム「うみねこ組」の松岡由紀さんが、事前勉強会Vol.7「島の課題と可能性×防災」レポートをお届けします。

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今回は、平成12年の大噴火から4年半もの全島避難の経験を持つ平野奈都さん(三宅島地域体験工房 しまのね)、平成5年の北海道南西沖地震で震度6強の揺れと津波を経験した干場洋介さん(奥尻町役場くらし安心課)、そして台風常襲地であり国防上南西シフトが進む奄美群島徳之島から、私、松岡由紀(伊仙町社会教育課 町誌編纂室長)が、それぞれの経験を踏まえ離島の防災について語りました。

三宅島全島避難の経験とこれから

2000年に起こった三宅島噴火の際に、中学3年生で全島避難を経験した平野さんは、現在「三宅島地域体験工房 しまのね」を立ち上げ、火山防災学習ツアーも含めたネイチャーガイドを行っていらっしゃいます。最初に、有史以来現在までの三宅島の火山活動の説明がありました。

特に2000年の噴火がいかに大きくその影響が広範囲に及んだか、全島避難指示後、全国各地へと分散避難を余儀なくされた島の人々の暮らしの現実と、住民の心をつなごうと努力した行政の動きも含め、詳細が語られました。

そしてこれらの経験を経て、無事帰島した住民の間で「火山防災学習体験ツアー」「伊豆諸島間連携」「体験の記録と伝承」「企業との連携」など、過去の経験を生かした取り組みが紹介されました。

ホームページトップに「防災」が来る奥尻島

次に、1993年の北海道南西沖地震で震度6強の揺れと津波を経験した、奥尻町役場くらし安心課の干場洋介さんが登壇されました。司会の鯨本さん(リトケイ代表)からも「日本に数ある離島自治体の中でも、トップページ冒頭に『防災』がくる所は奥尻町だけだと思います」とのコメントから始まった干場さんのプレゼンでは、当時津波警報が間に合わなかったこと、震度6と表示されていたのはそれ以上計器が観測出来なかったことなど、30年前の現場の状況が語られました。

そして海抜が低く、最も被害を受けた青苗地区のその後の復興と、定期的に襲ってくる台風などと異なり30年を経て記憶が薄れゆく津波被害という自然災害の特性が、現在とこれからの防災意識の中で心配される部分というコメントがありました。

台風常襲地の徳之島で受け継がれる共助の精神

最後は私が、台風常襲地である徳之島での経験と、南西シフトが進む国防に関して、2010年の普天間基地移設反対運動も含めてプレゼンを行いました。

最も強調したことは人の意識の中で、都市部では「公助」が、島では「自助」「共助」が根本にあり、一瞬の判断が生命を左右する災害時には個々の判断が大切なのではないか、という点です。また災害後の対応としても、地域全体が被災した際、自分だけが助かるわけはなく、元々共助の精神が宿っている離島地域では、助け合いが当たり前に見られ、トータルで島は”防災強者”と言えるのではないか、とのメッセージを送りました。

また所属する伊仙町社会教育課でも、防災やそれに繋がる市民講座(火起こしや高齢者への聞き取り)を開催しており、「自然の防災訓練」としての台風経験と共に、住民意識の向上にも触れました。

そして2010年に突如降ってわいた「普天間基地移設案」に対して、徳之島の住民がどのように反応したか、その後14年を経て南西シフトが着々と進む現在、国防に対して基礎自治体として備えられる事があるのか、その点に触れました。

3者のプレゼンで共通して語られたことは、コミュニティの結束、同じ離島同士のネットワーク、そして住民個々人のサバイバルスキルをいかに経験値として上げていくかの重要性でした。離島の場合、歴史的経験上、体験や経験値として地域全体の共通基盤を持っていて、その重要性は離島に限ったことではなく、災害大国である日本全体に言えることではないか、という締めくくりでした。

文:松岡由紀(うみねこ組)

未来のシマ共創会議、参加受付中です。

未来のシマ共創会議への参加チケットは、イベント前日の11月13日23:59まで販売中です(オンライン参加は上限なし、会場参加は完売し次第終了)。繰り返しになりますが、すでに終了した勉強会についても、共創会議の終了前後までアーカイヴ視聴が可能となります。

離島経済新聞社が、「なつかしくて あたらしい ミライの島を 共につくろう」をテーマに、産学官などの垣根を越えて語り合い共創するまたとないイベントです。オンラインでの参加や後日視聴も大歓迎。奮ってご参加ください。

「未来のシマ共創会議」チケット販売ページ
「未来のシマ共創会議」特設ページ

     

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