つくろう、島の未来

2019年12月10日 火曜日

2012年に八重山諸島の黒島で放流されたウミガメのタイマイが屋久島の海で確認された。黒島への放流時から関わる日本ウミガメ協議会 黒島研究所に話しを聞いた。

■屋久島の地元ダイバーにより生存確認。野生に近い状態で飼育されてきたウミガメ

2012年に八重山諸島の黒島(くろしま|沖縄県竹富町)で放流された、名古屋港水族館生まれのタイマイ(ウミガメの一種)が、屋久島(やくしま|鹿児島県)付近の海で地元ダイバーによって発見された。このタイマイは、愛知県の名古屋港水族館と日本ウミガメ協議会 黒島研究所が共同で取り組む「タイマイ野生復帰プロジェクト」によって放流されたウミガメ。前足の付け根につけていた目印を見たダイバーが同水族館に連絡を寄せたことで生存が発覚した。

タイマイは甲羅がべっ甲細工の素材として使われてきたが、今では絶滅危惧IB類に分類されるサンゴ礁の海域に生息する亀。サンゴ礁に囲まれている黒島にはウミガメの研究施設があり、タイマイの産卵も確認されていたため、放流場所に選ばれた。

放流に向けて野生に近い状態での飼育を行うため、エサの与え方にも工夫が施されてきた。「名古屋港水族館で飼育していた時から、野生復帰を視野に人工飼料を与えずにイカや魚を与えていました。ところが黒島には鮮魚店がないため、タイマイを黒島に移してからは、石垣島のスーパーに通い人間用の食材を餌として調達していました」と黒島研究所の若月元樹さんは、飼育当時を振り返る。

若月さんは、「今回放流されたタイマイを見つけ、連絡しようと行動した意義は大きい」と地元ダイバーの行動を讃える。

「自然環境の調査は50年、100年継続して初めて成果を得られるもの。たとえば、ある1日にウミガメの産卵がゼロだったことを発表するだけでも、海岸全体を調査する必要があるんです」(若月さん)。調査データの背景には、日々行われている丁寧な調査業務の積み重ねと、長い年月がある。

「ウミガメをはじめ、調査されている生物には標識が付いている場合があるので、今回のように、発見したら連絡を入れてくれる人が増えてほしい」と期待を寄せた。


【関連サイト】
名古屋港水族館
日本ウミガメ協議会付属 黒島研究所

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