つくろう、島の未来

2024年04月19日 金曜日

つくろう、島の未来

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子育てサークル「さくらんぼ」

厚生労働省発表による市区町村別の合計特殊出生率(※)が、全国的に1.3以上1.6未満を中心に分布している中、人口約2万8,000人の壱岐島(いきのしま|長崎県壱岐市)は2.14と大きく上回り、全国でも9位[厚生労働省『平成20年~平成24年 人口動態保健所・市区町村別統計』(平成26年2月13日発表)参照]と上位にランクインしている。

※15歳から49歳の女性の年齢別出生率を合計した指標。一人の女性が平均して一生の間に何人の子どもを産むかを表す。

子宝に恵まれる壱岐島の育児環境には、市が主導する子育て支援拠点施設「壱岐こどもセンター」、「かざはやひろば」のほか、育児中の母親など、一般住民が主導する、子育てサークル「さくらんぼ」や、「おひさま」、子育て支援ボランティアサークル「ちんぐ☆ちんぐ」がある。

2015年4月、同市は育児環境整備を目的に「子育て支援ボランティアグループ育成事業」を実施し、民間主導の3サークルに活動費を助成した。同事業は内閣府の定める地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)の補助事業として取り組まれた。

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子育てサークル「おひさま」

育児の孤立化を軽減する母親主導の子育てサークルを補助

母親らが自主活動として運営する民間の子育て支援サークルで、育児中の母親らが月1回以上集まり、子育てにおける悩み相談や、子ども同士を一緒に遊ばせるなど、育児の孤立化を軽減する取り組みが行われている。

今回、同市が行った「子育て支援ボランティアグループ育成事業」では、各サークルが新たに、保育士などの子育てや遊戯の専門家を招く遊戯イベントや、サークル役員が遊戯などを学ぶ研修を開催する際に掛かる、専門家への謝礼、役員の研修費、イベントの開催などの活動費を助成。各サークルで、研修やイベントが行われた。

サークル活動への助成を決定した壱岐市の「子育て支援ボランティアグループ育成事業」担当者は「市などが運営する支援拠点施設だけでなく、母親主導の子育てサークルに会員が増えることで、広く母親同士がつながり、子育ての悩み相談や交流促進が育まれることに期待しています」と話す。同市はサークル活動の活性化により、子育ての孤立化が軽減されることを期待している。

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子育て支援ボランティアサークル「ちんぐ☆ちんぐ」

助成の実施後に回収されたアンケートには、「普段体験できない遊戯の講習会に参加できた」「子育て支援のネットワークが広がった」などの感想が寄せられた。「子育て支援ボランティアグループ育成事業」担当者は「2つのサークルは会員数が増えたそうです」と喜ぶ。

一方、「壱岐市では、この事業は2015年度一杯なので、会員が増えた今年度以降も規模や質を維持したままサークル活動が継続されるようになって欲しい。役員は任期が1年の交代制なので、次期の役員を見つけやすく改善したり、会費などで資金調達が進められるようになることが大切」と話す。

壱岐市の「子育て支援ボランティアグループ育成事業」は、子育て支援サークルを運営する母親たちの声に同市が耳を傾けることで実現した。今後も行政と市民が連携する子育て支援が島の育児環境を育んでいく。


【関連サイト】
壱岐市こども家庭課ウェブサイト

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