つくろう、島の未来

2020年12月03日 木曜日

離島経済新聞社は、10月22日に10周年を迎えます。
10年間の感謝を込めて、10月22日(木)夜に全国の島々のゲストと中継をつなぎ、音楽ライブやトークをお楽しみいただくオンライン生配信イベント「シマナイト ON LINE」を開催します。(※)。

※TwitCasting(ツイキャス)有料配信。生配信終了後、録画再生可能

ここでは、2012年に創刊した『季刊ritokei』のバックナンバーより、シマナイトのゲストが登場した記事をWEB上で特別に掲載。第5回は、奄美大島(あまみおおしま|鹿児島県)でライブハウスとコミュニティFM局を運営する麓 憲吾さんへの取材記事、2012年4月『季刊ritokei』2号「島で働く」企画をお届けします。
(文・さわだ悠伊/写真・石神和哉)

※記事内容は、全て『季刊ritokei』vol.2(2012年4月発行)』掲載時のものになります

実は故郷を恋しく思っているシマッチュの心をくすぐりたい

奄美大島でライブハウス「ASIVI(アシビ)」とコミュニティ放送局「あまみエフエム」を運営する麓 憲吾さん。どちらも奄美初の試みであるが、「初めて」という功績以上に気になるのは、麓さんが持つ目的意識の高さだ。

「ASIVIは当初、音楽好きなシマッチュ(島人)が一芸を披露する場としてつくったんですが、今は若者が島唄などの奄美の文化と向き合う機会を提供したいという思いが強いです。

ラジオであれば、さらに島口(シマグチ・奄美の方言)や歴史文化を伝えられるし、奄美の最新情報も伝えられますよね」

かつて麓さんがそうであったように、奄美大島では約9割の若者が高校を卒業すると進学や就職のために島を出る。島の文化を守るのに不可欠な若者を呼び戻すためには、奄美の魅力を伝えなければならない。

イベントやラジオは、彼にとってそれを実現する手段だ。2002年に渋谷(東京)にあるライブハウス「クラブ クアトロ」で開催した島唄イベント「ヨネヤシマッチュリスペクチュ」はその好例だった。

「反対の声もあったけど、東京在住のシマッチュが900人も集まった。これは都会志向の強い若者も、実は故郷を恋しく思っているということ。そんなシマッチュの心をくすぐりたいんですよね」

麓さんのもう一つの仕事である「あまみエフエム」は、奄美初のコミュニティFM。「ディ!ウェイヴ」の愛称で親しまれる番組は、島口で語られる。

「ありのままのダサさがカッコいいんですよ。それに、島の文化を内地から逆輸入するというこれまでの構図は悔しい。

『ディ!ウェイブ』は、シマッチュのシマッチュによるシマッチュのためのラジオ。だからこそ2年前の災害時(※)に、避難者リストを読み上げるという前代未聞の情報提供もできたんです」

※2010年10月におきた奄美豪雨災害

仕事を通じて麓さんが目指すのは、「夢や可能性は島外にしかない」という若者の固定概念を覆し、島でも夢が叶う事実を証明することだ。

麓さんは、奄美大島北部・笠利(かさり)地区在住のミュージシャン「カサリンチュ」を世に送り出すことでそれをやってのけた。カサリンチュの二人は現在も、島内で働きながら音楽を楽しむ大勢の島人と同じスタンスで、プロ活動を続けている。

「『井の中の蛙大海を知らず』という言葉があるけど、大海を知った若者が井戸に戻る。そして内地の人が、井戸で楽しむシマッチュの営みを覗き込むというのが理想の構図ですね」

麓さんがつくる島という井戸は、内地から訪れた我々の想像を超えるほど、賑やかなものだった。

【話を聞いた人】
麓 憲吾(ふもと・けんご)

有限会社アーマイナープロジェクト/ROADHOUSE ASIVI 代表取締役、NPO法人 ディ!代表理事(あまみエフエム放送局長)
奄美大島名瀬生まれ49歳。奄美大島にてライブハウスとラジオ局を運営。島に生まれ育ったことを誇りに思える「島アイデンティティ」をテーマに音波・電波を伝って、島の空気屋として活動している。内閣府地域活性化伝道師。
http://www.npo-d.org/

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【島Topics】ラジオの島、奄美大島|「あまみエフエム ディ!ウェイブ」の10年
(前編)方言交じりでにぎやかに島文化を発信。島ラジオ
(中編)全島でコミュニティFMが聞ける「ラジオの島」奄美大島。島内での広がり
(後編)「ラジオの島」奄美大島から、奄美群島内外に広がるラジオの輪


さまざまな島のゲストが登場するリトケイのオンライン生配信イベント「シマナイト ON LINE」は10月22日に開催。麓憲吾さんのトークもお楽しみいただけます♪ 下記の【チケット申し込み】URLよりお申し込みのうえ、ぜひご視聴ください。

【シマナイト ON LINEイベント概要】
日時:10月22日(木) 19:30〜22:00
料金:1,500円(ツイキャス有料配信 別途手数料あり)
出演者:okei(小笠原諸島)、黒島慶子(小豆島)、大口久(小値賀島)、山下賢太(上甑島)、麓憲吾・渡陽子・楠田莉子(奄美大島)、宮良賢哉・池城安武(石垣島)、リトケイ一同
チケット申し込み:https://twitcasting.tv/tokyoculture2/shopcart/26611

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