つくろう、島の未来

2025年09月15日 月曜日

つくろう、島の未来

リトケイでは、理念や取り組みに共感した仲間たちのコミュニティ「うみねこ組」を運営しています(詳しくはこちら)。仕事や活動はもちろん、島に住んでいたり、行き来していたり、いつか住みたかったり、島との関わり方もさまざま。本記事は、そんなうみねこ組メンバーによる週替りのミニコラムです。

第3回は、勤務地とヘアスタイルから、シティーボーイならぬ、シティーボーズを名乗る鈴木良壽さんです。鈴木さんは、行政、企業、NPOなどが、地域の課題解決に協働で取り組む下支えネットワーク「環境パートナーシップオフィス(EPO)ネットワーク」(全国8拠点)の全国事務局「地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)」のスタッフとして渋谷で勤務しています。その立場から、「離島」に限らずに見えてくる、「シマ」づくりについて書いていただきました。


うみねこ組のシティーボーズ鈴木がお届けします。

約10年前、3か月間キビ狩りと島酒飲みを繰り返した南大東島での生活経験はあるものの、現在の職場は花の都・大東京。渋谷。そんな私のお仕事は、これまであった「ムラ」の限界を超えて、これからに合わせた「シマ」づくりを支えることです。と、この場を借りて初めて言葉にしてみました。(笑)

あえて「ムラ」と「シマ」を対比してみたのは、リトケイが言う「シマ」が、「ムラ」に比べて、しなやかさや広がりをもっているように感じているからです。そして、離島に閉じ込めない発想を、大事にしたいと思っていることもその理由。「ムラ」にしろ「シマ」にしろ、どちらも限られた環境の中で支え合おうとするのは、共通している気がするのだけど…。

例えば、人口約200人強の沖縄県・阿嘉島。村議会議員として「シマ」づくりを進める西田吉ノ介さんは、「関係者全員を一回話し合いのテーブルに乗せること」を鉄則にしています。テーブルに乗せた結果、意見の食い違ったら「あの人は分からず屋だ」なんて言って村八分。そんなことにはなりません。

西田さんは、お互いに納得ができるところが見つかるまで、丁寧に対話し続けます。そういった柔軟性って、「シマ」づくりにおいて結構重要なことに感じます。

村議会議員として「シマ」づくりを進める西田さん

こちらは以前、リトケイに書いた西田さんのインタビュー記事です。

「この島に何しに来た?」の一言が、今でも自分の道標【インタビュー|阿嘉島・西田吉ノ介】

一方、内地(本土)でも、子どもも大人も心豊かに過ごせる「シマ」づくりを進めている人たちがいます。関東エリアの下支え拠点が一緒に歩みを進める、子どもの自然体験活動に取り組む民間団体「とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク」さんです。

彼らとのコミュニケーションから見えてきたのは、地域の子どもたちを中心に据えることで、普段は接点をなかなか持てない子ども福祉関係者や自然体験提供者が、一堂に介する場をつくれるのではないか?!ということ。「別の分野だからしーらない!」じゃなくて、「シマ」の中で分野が違くとも重層的に人がつながっていることも、「シマ」づくりには欠かせない要素かな。

そんな話し合いの「とちぎの環境と子どもの未来を考える会」の様子を知りたい方は、以下のリンクからお読みいただけます。

【報告】7/3(木) 第3回 とちぎの環境と子どもの未来を考える会 ―「自然体験×子ども福祉」連携の可能性を探る― 2025年8月7日

このように、離島に限らず「シマ」づくりを進める方々が、全国各地にいらっしゃいます。じゃあ!ということで、「シマ」づくりを進める方々の集いを定期的に開催しているのが、私たち「地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)」です。

西田吉ノ介さんも参加された全国の集いの集合写真

2025年2月にGEOCが主催した2日間の集いでは、離島も内地も含む全国26エリアから「シマ」づくりを進める45名が集まり、交流しました。

そんな全国の集いの詳細については、以下のリンクからお読みいただけます。

【開催報告】令和6年度 地域循環共生圏づくり支援体制構築事業 第2回中間支援ギャザリング 2025年3月7日

今って、「ムラ」でも「シマ」でもない、支え合いの精神を失った「マチ」が全国に増えてしまっているのかも?!だとしたら、各地にかつての「ムラ」を再生するんじゃなくて、西田さんや「とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク」が進めているような、柔軟で、重層的な、これからに合った「シマ」をつくっていくことなんじゃないかな?!

そんな「シマ」づくり職人のみなさんを、これからもゆるやかにつなぎ合わせていけたら…

鈴木良壽(千葉県)





     

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