つくろう、島の未来

2025年08月22日 金曜日

つくろう、島の未来

島で過ごす時間で感じる 「腹落ち」の瞬間。観光で訪れた時のこと、 日々の生活で感じたこと、離島という場でふと得られた深い納得の感覚「島で腹落ちしたこと」をテーマに、リトケイ読者の声を集めました。

※この記事は『季刊ritokei』49号(2025年5月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の公式設置ポイントにてご覧いただけます。

リトケイ読者に聞きました!島で腹落ちしたこと

「誰にでも先祖がいて子どもの頃が
あったんだなぁ」という当たり前を実感

広島県福山市の横島には今もお盆に海へ灯籠を流す行事があります。 初盆の人は船の形をした灯籠、そうでない人はシンプルな四角い形の灯籠を流すのですが、波に灯りが揺られて岸を離れて行く様子は、本当にご先祖様が帰っていくように感じました。

近所の人たちも灯籠を用意して流して、誰にでも先祖がいて子どもの頃があったんだなぁと当たり前のことの尊さも改めて感じました。新興住宅地で育った自分にとって、 先祖が帰ってくるお盆という期間の意味を実感した出来事でした。これからも大切にしていきたい行事の一つです。(中尾圭)

観光は「航路の確保」
島民の交通の足を確保するために必要と腹落ち

近頃島でも観光業・インバウンドとかをよくに耳にするようになった。これまで観光って宿泊業者や飲食業をやっている方が考えることで、一般島民には関係ないことと思われていて、両者の関係性もあまり良くなかった。

しかし、島の人口が激減する中で、500人いた人口が250人に半減するとたちまち航路の問題が出てくる。人口が減った分を何処かから補わないと航路は守れない。

観光で外から人を呼び込むのは単なる関係業者の利益だけの問題はなく「観光=航路の確保」 となり島民の交通の足を確保するために必要という話。(kaientai)

島で働きながら腹落ちした
「暮らすように働く」ということ

屋久島で働いていてふと気づいたことがある。宿や農業のような、暮らしと仕事の距離が近い仕事は、カレンダー通りに休むことが少ない。けれど、自然がすぐそばにあって、海や空を眺めるだけで数分で気分転換できる。

そんな環境では、都会でよく言われる「華金の開放感」や「月曜の憂鬱」があまりない。曜日に縛られず、心と体の感覚に従って働き、休む。ああ、これが「暮らすように働く」ってことか、と腹落ちした。 (あみぽん)

「島はセーフティネット!」
「すごいことやん!」と気づいた

家島にて、 あるタレントさんが食事のために、あまり手際の良くない、コミュニケーションがやや苦手な店主がきりもりする島のお店を訪れて「あの店主は都会ではやっていかれへんかなあ」と揶揄するような発言をした。

それを聞いて、なんだかなあとモヤモヤしていたものの、その数日後にふと「都会でやっていかれへん人でも、この島でやっていけてる!ということは、この島がセーフティネットとして機能してるってこと。それってすごいことやん!」と気付いたこと。 (家島のコンシェルジュ)

島のうわさ話は電報よりも早い!
行方不明の犬が秒で保護され納得

多良間島の観光コンシェルジュ波平雄翔さんの父が「噂話は電報よりも早い」と言ったあとで雄翔さんが「ぼくは島民のことをFBIと「呼んでいます」とすかさず返したそのテンポと、その日行方不明になった犬がLINE上で秒で保護されたこと。 (森川すいめい)

水を大事にするために生まれた
伝統食と島人のたくましさに納得

伊豆大島のクサヤ製造業者さんを訪問した際に、川のない島の貴重な水をいかに大事にしていたか、その結果生まれたクサヤの技術であるという事実に、島人のたくましさを感じました。(En-Gawa 店主)

昔は飲み物の代わりがスイカだった
漁師の営みに腹落ち

下甑島に移り住み、 漁師さんからスイカをたびたびいただいた。船には魚を活かしておく生け簀があり、そこにスイカを入れ、海水で冷やしながら運ぶとのこと。

飲料水代わりにスイカを持っていくのが昔からのやり方とか。漁師が耕す畑が多いのはそんなわけがあったと知った。( 山猿 )





     

特集記事 目次

気づき、受け入れる。腹落ちる島へ

インターネットには情報があふれ、AIが私たちの思考を肩代わりする現代、どこにいても即座に情報が得られるようになった反面、五感を通じて身体で得る経験が足りなくなっていると感じることはありませんか。

あふれるほどの人や情報が存在しない小さな島には、自然の恵みと限られた資源の中で生きる人々の創意と工夫が息づいています。かつて偉人たちが流れ着き、深い気づきを得た島々で、自分の奥深くに響く「腹落ち」をもたらす何かに出会えるかもしれません。

「気づき、受け入れる。腹落ちる島へ」特集では、島々で出会える「腹落ち」体験の仕組みを、さまざまな島の事例からひもときます。

ritokei特集