つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

与那国島から利尻島まで10島10人の島人へ編集長からの質問。Q1からQ9まで連載でお届けします。

編集長・鯨本は田舎育ちであるもののいわゆる本土出身。
小さな島で聞く島人の話に感慨深く思うことが多くあります。

「ガジュ下会議」は、エリア・大きさ・人口の異なる島々から、
立場や年齢の違う島人たちをお招きして
ガジュマルの木の下で話される会話のように、
飾らないご意見をいただく架空の会議です。
初回は与那国島から利尻島まで10名の島人にお集りいただきました。

※この内容は2011年11月発行『季刊リトケイ』創刊準備号
掲載記事のノーカット版になります。


鯨本Q1.

  • 「最近、いわゆる都会に暮らす人で”島”や”島的な暮らし”に目を向けている方が増えているように思います。
    それにはどんな理由があると思いますか?」

島人A1.

  • 猪俣 哲(与那国島・沖縄)

    離島は陸上のネットワークが海で隔てられているので、独自の文化も色濃く残っておりますし、海に浮かぶ船のような共同体としての人と人との繋がりがとても密です。人間はよく言われるように社会的な動物であるので、無意識のレベルで人と人との繋がりを島に求めているように思います。

  • 宝島トシエ(宝島・鹿児島)

    島には昔ながらの良さが沢山残っているからだと思います。今日本の-島-には、大量生産、大量消費をベースにした物質的な豊かさを優先してきた社会でなくもっと違った意味での豊かさや人々の繋がりがあると思います。そうした良さを、気付きはじめてきたからではないかと思います。自然を身近に感じ、感謝する。その素晴らしさを大切にする気持ち、この意識が高まっているからこそ島的な暮らしが注目されているのではないでしょう。

  • ミセスたんかん(徳之島・鹿児島)

    いわゆる「結(ゆい)」への憧れかと思います。3月の地震によりさらに人と人とのつながりを求めている人が増えているような気がします。

  • ヤマシタケンタ(上甑島・鹿児島)

    僕は、甑島という地域に対して、ものやお金や人との関係を見直すことで社会の仕組みを再構築していきたいと感じてきました。社会全体の流れの中で必要とされているような大きな指標ではなく、それぞれの地域や家庭などの小さな単位の中にあるような、幸せのものさしを大切にしたいということの表れなのかなと思ったりもします。

  • ベベンコビッチ(福江島・長崎)

    島は、食べるために作り、採り、売り、稼いで暮らすという、暮らしの原型が見えやすいこと。物質的な豊かさから、人とのつながりを重視した、心の豊かさを求める傾向などもあるのかなと思っています。また、グローバル経済に対する反発、島という小さな経済単位にある工夫とか、そういった点にヒントを得ようとしているのかもしれません。総じて、日本全体が、生きるために必要な優先順位を見直そうとしているのではないかと思っています。

  • 古崎公一(岩城島・愛媛)

    他人との関係を遮断するのではなく、むしろ相手と打ち解ける事により自分を守るという選択。機密性の高い静かな空間とは違い、鳥や風の音、人の話し声さえ心地よく感じる雰囲気。欲しいから探すという短絡的な行為に比べ、自分が作るという立体的な考え方ができる面白さ。

  • 大野圭司(周防大島・山口)

    都会で暮らす事、働く事だけが日本で生きる方法ではないと感じる人々が増えたため。

  • 沖山雄一(三宅島・東京)

    島は昔から憧れの場所だった。だって島っていうだけでワクワクしませんか?世の中の人たちはみんな生活の中に”!”を求めている。島という響きにはその ”!”があるんです。

  • IKKO(八丈島・東京)

    島での暮らしは、都会とは違う独特な時間の流れがあり、比べるととてもゆっくりで、のんびり自分本来の生活リズムで活動できる。それが都会で暮らす方には魅力的なのだと思う。

  • 横山知己(利尻島・北海道)

    島暮らしには”限られた制約”が多くあります。たとえば、どうしても島を出たくても天候によって交通手段が鎖されることがある。そこでどう騒いでも人間の力ではどうすることも出来ません。しかし、人間は自然界の恩恵によって生かされているという認識も確かに生まれます。時にそれは、水産物の豊漁など、我々が生きていくための源を作り上げてもいるのです。また、内地のように何でもすぐに手に入らないので、今あるものを出来るだけ大切にする気持ちが自然と強くなります。つまりは、人間の生活の原点が”島暮らし”にあると思います。

Q2.島に「なくていい」と思うものは?(12月8日UP)>>

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