つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

山口県周防大島出身の民俗学者 宮本常一氏の著書に導かれて、2013年2月より瀬戸内海の島、屋代島で周防大島町地域おこし協力隊として活動を始めた、島記者 三浦の島歩きコラム。

#06 一番近い離島、笠佐島

 e616c4d0e1d0583c64a9127929a2086d-609x404-1

[宮本常一撮影(昭和34年10月) / 周防大島文化交流センター所蔵]

周防大島には本州・山口県柳井市から大島大橋という橋が架かっているので、離島ではなく半島に近いイメージです。本島となる周防大島(屋代島)の周辺には、笠佐島、前島、浮島、情島、沖家室島といった5つの有人離島があります。

橋が架かっているということは多くの人にとってメリットと捉えられているようですが、島暮らしに憧れが強かった我が家にとってはちょっと残念なポイントでした。そんなわけで、移住前から周防大島周辺の離島に興味があったのですが、一番最初に「行ってみたいね」という話になったのが、笠佐島です。

周辺離島の中で大島大橋に一番近い離島が笠佐島です。島の外から一番アクセスしやすい離島と言えます。橋を渡りながらも見えますし、最寄りのJR大畠駅のホームからも見えるので、その存在感は大きいと思います。大島大橋を渡って島に入って2分で渡船乗り場、船に乗って6分で笠佐島に入れます。乗り継ぎがうまくいけば、島に入って10分足らずで辿り着けます。

そんな笠佐島に行ってみたい理由の一番大きなところは、もちろんアクセスの良さ……ではなく、実は、おいしい韓国料理が食べられる民宿があるという噂を耳にしたからなのです。韓国出身の女将が作る本場の韓国料理を食べてみたい!そんな思いを胸に笠佐島に向かいました。

笠佐島韓国料理体験団、今回のメンバーは、一番食べたがっていた我が妻は諸事情で来れず、島の写真家で詩人の西山喬くん、イラストレーターの砂田みどりさん、役場若手の屋敷くん、そして島記者三浦の4人です。「これは遊びになっちゃうな」と有給を取って参加してくれた役場の屋敷くんですが、船の上で早速仕事をはじめました。消えてしまっていた最大搭載人員の修復はかなりの手作り感ですが、お見事でした。有給なのにいい仕事しますね。

6f57abe3bd2e6c94dfb0ade14889d631-609x405-1

「13」の文字を貼り終えるやいなや、船は笠佐島の港へ入っていきました。港で出迎えてくれたのが、今回の目的地「漁家民泊かささ」の大将・河村さんです。御年60を過ぎて、まだまだパワフルです。 世帯数7名、島の家々は港付近に集中しているので、5分もあれば歩き回れる広さの集落ですが、その中でも港に近いポジションに「漁家民宿かささ」はあります。12時の船に乗れば、12時10分にはランチのテーブルに着くことができます。これはちょうどいい腹具合なのではないでしょうか。

かささに到着すると、テーブルではナムルの盛り合わせが待ち受けていました。「昼からちょっと豪勢にやっちゃいましょうか?」という西山喬くんの提案で「大人4人2,000円くらいずつでお任せします」とオーダー。メインは大将がオススメする餃子鍋、なんと皮から手作りです。女将さんの叔母さんが韓国で有名な餃子鍋のお店をしているとかで、連日メディアに登場しているそうです。「この冬の忘年会シーズンは餃子鍋で当てるでぇ!」と意気込む河村さん、今回のランチ取材はそのプレマッチとなりました。

068d01dac22c33d776b2a7941f019957-609x405

手作りのぷにゅぷにゅ餃子はもちろん、朝から煮込んでダシを取っているという牛のスープ、自家栽培の大きなしいたけ、エノキ、ニラ。具材の1つひとつが文句なく全部うまい。あらためて写真を見て思い出すだけで、餃子鍋依存症みたいな禁断症状です。早くリピートしなくては…(汗)。つづくご飯ものは、石で焼かないビビンパです。

国じゃ焼かんのよ。この方が食べやすいし、美味しいやろ!」

有無も言わせない雰囲気で女将さんが登場しましたが、確かに石で焼かなくても美味しい。ビビンパといえば石焼きと思い込んでいた固定観念を石鎚でたたき割られたようです。ここまででかなりいい感じの満腹感なんですが、さらにプルコギや豆腐チゲまで出していただいて、これが価格設定の内なのか、サービスなのか、半信半疑で口へ胃袋へ運んで行きました。申し訳ないんですが、全部うまい。昼からやっちまった感じです。おいしいものを食べている時って意外と口数が減るもんですね。みんな「う~ん」しか言わない。

12時過ぎからゆったりご飯を食べて、大将、女将さんを交えてみんなでお話しして、コーヒー飲んで時計を見ると、午後2時。次の船が出るのは午後5時10分、あと3時間何をするのか?何ができるのか?前回の前島と同じ課題になりますが、周防大島の渡船は間隔が長いので、行ったは良いけど帰れないという悩みがあります。次回は、笠佐島滞在5時間をたっぷり楽しむための作戦会議です。

a807fe06278ad2fdbe480df3fb5c3685-609x405-1

ちなみに、冬場は女将が教える本格キムチづくりのワークショップがあったり、忘年会プランが出てきたりするそうなので、「漁家民宿かささ」で検索してみてください。それにしても、グルメレポートの表現力には改良の余地がありそうだな…。

 

 


 

〈笠佐島データ〉

面積:0.94k㎡/外周:4.10km/人口:13人(7世帯)/高齢者比率:61.54%

※平成25年4月1日現在

 

〈周防大島~笠佐島 町営渡船〉

一般旅客運賃:大人100円/小児50円

便 小松港発 笠佐島着 笠佐島着 小松港着
1 8:00 8:07 8:10 8:17
水曜のみ 10:00 10:07 10:10 10:17
2 12:00 12:07 12:10 12:17
3 17:00 17:07 17:10 17:17

問い合わせ先:0820-74-1007(周防大島町役場

 

     

離島経済新聞 目次

【連載】周防大島、宮本常一の島をあるく

山口県周防大島出身の民俗学者 宮本常一氏の著書に導かれて、2013年2月より瀬戸内海の島、屋代島で周防大島町地域おこし協力隊として活動を始めた、島記者 三浦の島歩きコラム。

関連する記事

ritokei特集