つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

離島タブロイド紙『季刊リトケイ』の制作現場をお見せする「裏ばなし」。
創刊号の巻頭インタビュー「逢いたい島人」の第1回は、醤油とオリーブオイルソムリエの肩書きを持ち、小豆島ガールとして活動中の「けりぃ」こと黒島慶子さんにご登場いただきましたが、そのインタビュー収録時、リトケイの取材風景をこれまた取材していたという、なんとも奇特な?!島人がいました。(文・写真/mameco)

小豆島『逢いたい』レポート 鯨本✕けりぃの島女子トーク

瀬戸内海に浮かぶ「小豆島」に、ある女性がやってきました。

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鯨本あつこさん。離島経済新聞の編集長です。
「べっぴんさん」という第一印象とは裏腹に、バイタリティに溢れており、
話す内容がちょびっとぶっ飛んでいておもしろい女性です。

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わざわざ元旦に、東京から足を運んで島まで来たのは、
どうしてもこの島で会いたい人がいたから。

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黒島慶子さん。
Web&グラフィックデザイナー、醤油ソムリエール、
オリーブオイルソムリエという色んな肩書を持っています。
しっかりしているように見えて、たまにドジするキュートな女性です。

『季刊リトケイ』の「逢いたい島人」という紙面で、けりぃを取り上げたいとのこと。
「私なんて…」というけりぃですが、実際に鯨本さんが会いに来ちゃってるんだから、すごい。
取材というより、お喋りという感じでインタビューは進んでいきます。

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鯨本:

けりぃちゃんって、いろんな肩書きを持っているよね。
情報デザイナーでありながら、醤油とオリーブオイルのソムリエ。

けりぃ:

多いですよね(笑) 実は、島の産業を未来に繋げることをしているだけなんです。
「お醤油やオリーブにやたら詳しい女の子がいる」という立場で「黒島慶子に聞いたら、島のことも醤油のことも、オリーブのことも何でも分かります」っていう立場を築きたいなと思って活動を続けています。

鯨本:

おもしろいですね。でも、島はコミュニティが小さい分、目立つとなると大変なこともあるんじゃない?

けりぃ:

島では色んなことを言われますし、元々はそれが嫌だから高校から島を出ていたんですけど、美術大学に通っていたことで、「変」といわれることが褒め言葉と思えるようになったので、今では変といわれても「しめしめ」と(笑)。
実際、キャラクターに興味をもってもらえるおかげで「この子おもしろいから」と何かしらの機会に呼んでいただけることもあって、色んなご縁にも恵まれています。

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鯨本:

今後はどうしていきたいですか?

けりぃ:

「島の未来」をどうするかを考えたい。仕事で「商品が売れるにはどうしたらいい?」と相談されることがあるけど、商品のパッケージを変えて売れても、それは一時的なことが多いんです。それよりも、島の産業をしっかり知ったうえで、企業のブランディングをしなければいけないと思っています。
島の活性化というのは、結局は島がきちんと儲けられないとダメなんですよね。

鯨本:

そうなんですよね。昨年末にとあるキッカケでけりぃちゃんと出会った訳ですが、その時の話題で何よりも共感したのが「島は儲けんといかん」ということでしたね。

けりぃ:

良い物は作れても、その「情報」をうまく発信できる人は少ない気がします。
だからこそ今、私に求められているのは、情報で島の産業をつなげていくことなんじゃないかと。
例えば、小豆島のあるお醤油やさんに「どこのお醤油がおいしいですか?」って尋ねると、「うちのが一番」という答えが返ってきます。
でもそれは、外の人からすると全体的な情報ではない。だからこの島の醤油とオリーブのことは、私からきちんと伝えられたらいいなと思っています。

鯨本:

確かに、物は作れても伝えるのが苦手というのはよく聞くことで、だから最近は島には外の人ときちんと話ができる「貿易係」のような存在が大事なのかなと感じていました。
小豆島だと、けりぃちゃんがまさにそうなのかなと。…それにしても、けりぃちゃんのその原動力はどこから!?

けりぃ:

私は島のオリーブ農家やお醤油屋さんのお話を聞く時間が大好きなんです。
島の産業について、時には涙を浮かべながら熱く語ってくださることがあって、そういうお話を聞くと「伝えないかん!」と思わずにはいられない。それが私の原動力になっているのだと思います。

鯨本:

それはすごく分かる。リトケイも、辞めようかなと思うほど大変なことがあったんですが、そういう時に島でがんばっている方に「島を扱ってくれて嬉しい。自分もがんばる」というようなメールをいただいて、これは辞めるわけにはいかないなと思い、続けてこれました。

けりぃ:

そして何より一番は、「おもしろい」と思ってやっていること。自信と誇りを持ってやることが大事ですよね。

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島の人ともすぐに打ち解けて仲良くなってしまえる鯨本さん。
突然の来客でもいつもニコニコおもてなしをするけりぃ。

鯨本さんはこの取材のあとも、出会った小豆島の人たちと楽しく過ごし、あくる日に帰られました。
取材中に二人が何度か口にした、「儲けないかん!」。
男らしい、そして、心強いセリフ。自分のことだけじゃなく、周りのこと、島のことを真摯に考えているからこそ言えるセリフですよね。

二人の想いは熱く、でも、客観的に島の現状を見れていて、とても若い女性の会話とは思えません。
二人の会話を日本中のみんなに聞いてほしいぐらい素晴らしい時間でした。

数日後…「鯨本さん、届きましたよー!」
季刊ritokeiを手にした小豆島の人の表情は、ほっこり温まります。

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わー私が載ってる!この記事に見合うように頑張らねば!!」

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紙面を通して改めて黒島慶子を見て、この島にこんな素晴らしい
女性がいるんだということを、誇らしく感じました。
鯨本あつこと黒島慶子。この二人の女性によってつながれた、島と人。

「離島」っていうと、すごく遠く感じるけど、そんなことないですよね。
人がつながりを持つことによって、島と島の距離がぐーんと近くなる。そんなことを気づかせてくれました。

鯨本さん、小豆島まで来てくださって、ありがとうございました♪
黒島さん、これからも小豆島を、ぐいぐいひっぱっていってくださいね!
この2人がつなげてくれたように、島と人が、これからじわじわとつながっていきますように…。


なんとも嬉しいレポートです。
「逢いたい!」とはいえ、元旦からの取材を受け入れていただいた、
けりぃさんはじめ、mamecoさんや小豆島のみなさん有り難うございました!(鯨)

     

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