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離島経済新聞

 

レポート

【うみやまかわ新聞レポ】琵琶湖の水は海水?淡水?日本で唯一、湖に浮かぶ離島・沖島編

離島経済新聞社×日本財団の共同プロジェクト「うみやまかわ新聞」は、全国各地の小学生とともに、新聞づくりを通して海と島を学ぶ教育プログラムです。2014年度から2016年度までの3年間に、18地域14小学校で実施し、延べ466人の小学生が参加。プロジェクトの背景にどんな物語があったのか、『うみやまかわ新聞』制作の軌跡を、リトケイ松本がお届けします。

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淡水湖上に浮かぶ日本唯一の有人離島

3年目を迎えた『うみやまかわ新聞』2016年度版には、日本で唯一、淡水湖上にある有人離島として知られる「沖島(おきしま)」の子どもたちも参加しました。

琵琶湖に浮かぶ沖島の周囲は6.8キロメートルで、人口は285人(2016年10月1日現在)。島唯一の沖島小学校には児童19名(2017年度)が通っています。

2008年度には、島外から沖島小学校に通うことができる「離島通学」制度が始まり、全校児童19名のうち17名が毎日、船で通学しています。

『うみやまかわ新聞』づくりには沖島小学校の3年生から6年生までの9名が挑戦しました。授業は2016年6月にスタートし、約半年間かけて沖島小の児童が新聞を制作しました。

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沖島の新聞からは、琵琶湖に囲まれた島の日常がありありと見えてきます。なかでも島にいるイノシシについて書いた記事「イノシシにサツマイモを食べられた」は、大人の記者が顔負けしそうなほど臨場感に溢れていました。

 
      
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紙面制作の過程で、どのような授業が行われたのか。沖島の紹介と合わせて振り返りたいと思います。

いざ、琵琶湖上の沖島へ

昨秋のこと、僕は沖島で開催される『うみやまかわ新聞』制作の授業に合わせて島に渡りました。本土側の堀切(ほりきり)港から沖島までは通船(つうせん)に乗って約10分。沖島町自治会が運航する「おきしま通船」が1日に10〜12往復しています。

島に到着した時間はちょうどお昼時。授業の前に、カフェ「汀の精(みずのせい)」で琵琶湖の魚を使った昼食をいただきました。ちなみに琵琶湖に囲まれた沖島は漁業が盛んで、船を持っている家が多いそうです。

沖島で暮らす地域コーディネーター(※1)の富田さんから、琵琶湖の固有種であるビワマスの刺身を差し入れしていただきました!ビワマスはフライや煮付けなど、どんな食べ方をしてもおいしいそうですが、お刺身でいただけるのは琵琶湖周辺の地域ならでは。

※1 地域コーディネーター……授業のファシリテーションやICT機材の接続など、小学校と離島経済新聞社をつなぐ役割として、実施地域に詳しい方や地域で活動している方にお願いしています。

 
     
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昼食を終えて外に出ると、児童たちが何やらカラフルな旗を持って走ってきました。児童に聞くと学習船「うみのこ」が近くを通るので「旗振り」をするとのこと。

琵琶湖では、滋賀県教育委員会が県内の小学5年生を対象に、琵琶湖を舞台にした「びわ湖フローティングスクール」として、学習船「うみのこ」を使った宿泊体験型の教育を展開しています。児童らは、学習船「うみのこ」が沖島の近くを通るときは、船に向かって旗を振っているそうですが、この日はあいにく船の進路変更があり、旗振りの様子までは見ることができませんでした。

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東京都江戸川区の二之江第三小学校と交流!

島の風景を堪能した後は、いよいよ沖島小学校での「うみやまかわ新聞」授業です。この日は、新聞のテーマを決める重要な回で、さらにこのプログラムの醍醐味である、他地域の児童とテレビ会議を接続して交流するというわくわくの内容。

島の児童からすると大都会にある東京都江戸川区の二之江(にのえ)第三小学校とテレビ会議をつなぎ、交流がスタートしました。

 
     
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他地域との交流では、まず、お互いの地域コーディネーターが、人口や位置などの地域情報を説明。続いて、両地域の児童から自己紹介と、それぞれの学校でリサーチした地域の「うみ」「やま」「かわ」の情報を発表しました。

沖島小学校の児童は、島にいるイノシシの生態や琵琶湖の固有種について発表。対して、二之江第三小学校の児童は、校区に流れる「新川(しんかわ)」に千本桜と呼ばれる桜の名所があることや、新川でゴミ拾いのボランティア活動がされていることなどを発表しました。

質問タイムに移ると、二之江第三小の児童から「イノシシはどこにいるの?」「琵琶湖の水は海水?淡水?」と質問が。沖島小学校では「誰が答える?」と目を合わせながらも、「イノシシは近江八幡(本土)から泳いできました」「琵琶湖は淡水です!」と回答。

続いて、沖島小から「新川千本桜って、本当に千本もあるんですか?」と質問すると、二之江第三小から「実際には718本です!」と答えが返ってきました。

3年生から6年生合わせて9名の沖島小学校に対し、二之江第三小学校は6年生23名。二之江第三小のにぎやかな様子に圧倒されつつも、相手から質問をされたり、回答が返ってくる度、「えー」「そうなんだ!」「おー」と盛り上がりました。

テーマは「びわ湖と沖島」に決定!

 
     
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二之江第三小学校との交流後、沖島小学校では紙面のテーマを決める授業を行いました。

児童らがリサーチしてきた情報を教室内で発表すると、「やま」や「うみ」のことはたくさん出てきましたが、身近にない「かわ」の情報が中々出てこず、苦戦。

一方、琵琶湖と沖島の関係は切っても切り離せないため、紙面のテーマ候補には「びわ湖の中にある沖島」「びわ湖と沖島」などが挙がり、最終的に「びわ湖と沖島」に決定しました。

それからテーマに沿って、新聞に掲載する5つの記事を決定。「うみ」に関する記事は琵琶湖にしかいない「固有種」、ブラックバスをはじめとした「外来魚」について、「やま」に関する記事は元服や豊漁を願う「お祭り」と本土から泳いで島に渡ってきた「イノシシ」について、「かわ」に関する記事は、校長先生から「沖島小学校歌の3番の歌詞に『世界に続く琵琶の湖』という言葉がありますね」とアドバイスがあり、歌詞の意味について探る「校歌」に決まりました。

この後の授業で取材や原稿、イラスト制作を行い新聞が完成しました。子どもたちが制作した記事はうみやまかわ新聞のオフィシャルホームページからご覧いただけます。

「自分の住む地域を客観的に見ることができた」

2016年度初めて「うみやまかわ新聞」の授業を実施した沖島小学校。白嵜(しらさき)教頭先生は「他地域の学校との交流では、自分の地域との違いに気づき、自分が住む沖島を客観的に見ることができた」と振り返りました。

また、地域コーディネーターの富田さんは「完成した新聞は島内全戸に配布しました。普段、小学生と接することが少ない島民もこの授業を通して児童と関わることができました」と語りました。

次回は長崎県対馬の小学生による新聞づくりの模様を紹介します。

(対馬編につづく)

【関連サイト】
うみやまかわ新聞公式ホームページ
※実際の紙面に掲載された記事はこちらから読むことができます。

離島経済新聞 目次

島と海でできた日本を学ぶ 『うみやまかわ新聞』プロジェクト

『うみやまかわ新聞』は小学校高学年向けの教育プログラムとして、「地域への愛着の醸成」「同年代児童とのコミュニケーション機会の提供」「情報の基本知識(メディアリテラシー)」などを目的に小学校の総合的な学習の時間や地域活動の一環として導入しています。2016年度は7つの離島地域を含む全国14地域の児童が「うみやまかわ新聞」を制作しました。


<2016年度参加離島地域>

利尻島(北海道利尻町)/沖島(滋賀県近江八幡市)/弓削島・生名島・佐島・岩城島・高井神島・魚島など(愛媛県上島町)/対馬島(長崎県対馬市)/口永良部島(鹿児島県屋久島町)/沖永良部島(鹿児島県和泊町)/津堅島(沖縄県うるま市)


<プログラム概要>

このプログラムでは1年間に20コマ(1コマ×45分)ほどを使い「メディアリテラシー」「地域情報のリサーチ」「取材」「原稿制作」「校正」などを学びながら、自らが暮らす地域を紹介する新聞を制作。離島経済新聞社が講師を担当し、学校の先生や地域コーディネーター(※1)と連携して授業を行います。

毎回の授業は「テレビ電話システム」も活用。関東や沖縄など各地にいる講師陣と小学校とを接続して実施。テレビ電話を使うことで、遠く離れた地域ともリアルタイムな授業ができ、参加地域同士を接続した交流授業も行います。

新聞完成後には、東京スカイツリーで「2016年度うみやまかわ新聞完成発表会」を開催。各地域の代表児童が東京に集まり、地域のことや制作した新聞について発表しました。

※1 地域コーディネーター……授業のファシリテーションやICT機材の接続など、小学校と離島経済新聞社をつなぐ役割として、実施地域に詳しい方や地域で活動している方にお願いしています。

詳細は『うみやまかわ新聞』公式サイトをご覧ください
http://umiyamakawashinbun.net/

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