つくろう、島の未来

2019年05月23日 木曜日

2018年、ユネスコの世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に登録された黒島(くろしま|長崎県佐世保市)。島のシンボル「黒島天主堂」だけではない、じんわり温かな魅力があふれています。

こんにちは、山中彩香です。黒島に暮らす3人が“島の住民だからこそ知っている島の魅力”をご紹介してきた「させぼ黒島の秘密」も今回が最終回となりました。最終回の今回は、「島の飲み会」に焦点を当ててご紹介したいと思います。

さて、皆さんの住んでいる地域の「飲み会」にはどんな特徴がありますか?

前回、ほとんど自己紹介をしていませんでしたが、実は私、黒島在住2年の初心者です。 黒島のある佐世保市内(長崎県)に住んでいたこともありますが、人生のほとんどを神奈川県で過ごしてきました。

そんな私の地元、神奈川で飲み会といえば「居酒屋」が普通。たまに友人宅で飲むこともありましたが、それほど頻繁ではありませんでした。地元ならではの飲み会定番メニューなんてものも記憶にありませんし、宴会芸なんてサークルの飲み会か会社の飲み会でやるもの?という感じ……。

そんな私にとって、黒島の飲み会は驚きの連続でした。

黒島の飲み会は「場所」が変!?

黒島には居酒屋がありません。だから飲み会が開かれる場所はたいてい3つに分かれます。

まず、一番多いのが個人宅。どこかのお宅に集まる飲み会です。これは仲間で集まって飲むときに多い場所です。

次に旅館・民宿。島内には3つの宿があるのですが、そこの大広間を使って開催されます。職場や町内団体(町内会長会など)の新年会、忘年会などに使われることが多い場所です。

職場や町内会などかしこまった酒の席は宿で

そして3つ目は集会所。催し物や集会の後に打上げ場所として使われます。

えっ?どこが変な場所だって?うちの地元と変わらないじゃないかって?

そう、これ以外の場所が変な場所なんです。

そのひとつが、商店の中。
普通に日頃買い物に行く商店の中で開催されます。お酒もつまみもなくなれば、お店の中から持ってくれば良いので非常に便利です。もちろん、お店の中なので5~6人が限界。夜、うっかり飲み会中に買い物に来てしまったらもう帰れないかも?
ちなみに私の知る限り島に5軒ある商店のうち中で宴会が繰り広げられているのは1軒だけです。

そして、商店の前。
また商店?と思われた方、今度は店の「前」です。
黒島にはコンビニ前にたむろするヤンキーではなく、商店前にたむろする善良な島民が存在するのです。夏の夜中には、適度に酔っ払った人たちがお酒を片手に2次会・3次会を繰り広げている光景に出会えるかもしれません。

こんなところで飲み会が開催されることも。心地よい潮風にお酒も進みます(蕨展望所)

とにかく豪華な肴(さかな)

飲み会に欠かせないおつまみは黒島では大抵「持ち寄り」です。
料理が得意でない私にとって毎回頭を悩ませる問題でもありますが、漁師の多いこの島では持ち寄る肴も豪華!

あまりにも普通に、何てことないお皿やザルに盛られているので、意識しないと普通に食べてしまうのがちょっともったいないくらいです。

定番は何と言っても季節の魚。サバや鯵、鯛、クロ(メジナ)、バリ(アイゴ)のお刺身や塩炊きがテーブルに並びます。

定番の刺身。たまにはイセエビも

冬にはナマコや鮑、春にはウニや貝類がつまみに、そして常に各家庭の冷凍庫にストックされているイカ(漁師さんでなくても皆釣るので、各家庭にあります)は1年通しての定番です。

その中でも驚いたのが、サバの刺身となまこ。関東にいたときはサバの刺身など食べたことのなかった私、生で食べるのは危険という認識もあったため、初めは「あたらないかな?」と毎回びくびくしながら食べていました。でも、お刺身でサバの食べる美味しさは格別で今では率先して食べています。

こりこりとした食感が癖になるなまこも黒島に来て初めて食べたもの。長崎ではお正月の定番なのだそうですが、こちらも初めてはちょっと口に入れるのに勇気が必要です。ちなみに黒島ではポン酢や青じそドレッシングで食べるのが主流のようです。

写真は販売用のウニですが、春先には酒の席にウニが出ることも。魚の塩炊きは、味付けは塩のみですがシンプルで美味しい

    

また、日常的な飲み会でなく、お祭りや新年会、忘年会など特別な酒の席で定番となるのが、黒島で手作りされている「島豆腐」です。昔から現在まで変わらず黒島では、「島豆腐の煮付け」はお祝いやお客様を迎える席など特別な場には欠かせない一品となっています。

その他にも、仲間内の飲み会は持ち寄りなので和洋中バラエティ豊かな食材が並びます。色々なジャンルの料理が楽しめるのも居酒屋のない島(土地)の飲み会ならではかも知れません。

    

祭りのときは肴も豪華(おくんち)

 

お酒はビールと焼酎の2択!?

乾杯はビール、その後は焼酎、それ以外のアルコールはありません!
……ということはないですが、黒島の飲み会にマストなお酒がこの2種類(ビールと焼酎以外のお酒がない!という時も本当にあります)。おかげで島に来るまで飲むことのなかった焼酎も飲めるようになってしまいました。

黒島には島の水と島で栽培されたさつま芋からつくられる焼酎もあり、島のお土産として重宝されていますが、島民が普段飲むのは麦焼酎。お酒は安くてたくさん飲めることが人気の秘訣かもしれません。

ちなみに、そんな島なのでワインやシャンパン、ハイボール用の炭酸水などを島内の商店で見つけるのは至難の業です。黒島でおしゃれなお酒が飲みたいときは外で買ってきましょう。また、それを酒席に持込めば場は盛り上がり、あなたはヒーローになること間違いなし? です。

女性が多い席ではチュウハイも並びます

 

「十八番」が大切な島の宴

お酒が進み、場が盛り上がれば始まるのが歌と踊り。

黒島は老いも若きも女性も男性もよく歌い、踊ります。小皿を手に皿踊りをしたり、鼻に割り箸を刺したり、顔に落書きしたり、胸やお尻に物を入れたり……思い思いの格好で踊り、笑わせます。

時には記事に書くことのできないネタが入ることもありますが、それもまたご愛嬌。カラオケのあるお宅もあるので、カラオケ大会になることも。いざというときのために鉄板ネタ(十八番)は必須です。

以上、黒島2年生の私が感じた、黒島の飲み会の特徴やおどろきを紹介してきましたが、皆さんの住んでいる地域と比べてどうだったでしょうか?同じところ、おどろいたところ、自分の地域のほうが凄いところ、色々あったと思います。

実は神奈川から佐世保市内に移り住んだときも、二次会の場所や歓楽街の様子などに地域差を感じ、おどろくことがありました。お酒の席はその地域の色が濃く出る場所。その地域を知りたければ、地元の店や地元民の家で酒を飲め! ですね。

ちなみに、黒島に来て新鮮な刺身ばかりを食べているせいで、関東より新鮮!と思っていた佐世保市内の居酒屋の刺身も美味しく思えなくなってしまいました。もう、どうしましょう。

そんな黒島には、これまでの記事に書ききれなかった魅力がまだまだ隠れています。みなさん、ぜひ遊びに来てくださいね。

離島経済新聞 目次

世界遺産・させぼ黒島の秘密(PR)

2018年、ユネスコの世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に登録された長崎県は佐世保市の離島・黒島(くろしま)。「させぼ黒島の秘密」では黒島に暮らす3人の女性が、“島の住民だからこそ知っている島の魅力”を、様々な角度からご紹介します。
【おすすめリンク】
・"花群れる"祈りの島 黒島(佐世保・小値賀「海風の国」観光情報サイト)
・黒島へ旅する(黒島観光協会HP)

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