つくろう、島の未来

2024年12月22日 日曜日

つくろう、島の未来

島内全ての猫推定3,000匹に不妊手術を施す「徳之島ごとさくらねこTNR事業」が、奄美群島の徳之島(とくのしま|鹿児島県)で行われた。5回目を迎えたアマミノクロウサギと猫と人が調和して共生する島の取り組みを取材した。

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アマミノクロウサギと猫と人が調和して共生する島を目指して

11月5〜8日の4日間、島内全ての猫推定3,000匹に不妊手術を施す「第5回徳之島ごとさくらねこTNR事業」が、奄美群島の徳之島(鹿児島県)で行われた。

公益財団法人どうぶつ基金(兵庫県芦屋市)が、島の天城(あまぎ)町、伊仙(いせん)町、徳之島町と協働で実施。奄美群島が世界自然遺産登録を目指す取り組みの一環で、国の特別天然記念物アマミノクロウサギも、クロウサギを捕食する猫も殺さず共生する島の実現のために、昨年11月からこれまで約1,800匹のノラ猫、飼い猫に不妊手術、ワクチン投与、ノミダニ駆除等を無料で行ってきた。

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TNRとはTrap:トラップ=捕獲、Neuter:ニューター=不妊手術、Return:リターン=元の場所に放す(クロウサギと生息域を共にする猫は元の場所に戻さずRemoval:リムーバル=引っ越し)の一連の作業で、猫の殺処分ゼロ実現に最適な手法とされている。「さくらねこ」とは不妊手術の印として、手術の麻酔中に猫の耳先を桜の花びら形にカットすることで、この2つの組み合わせが、同法人の目指す「殺処分することなく人と犬や猫が幸せに共生する社会」へのメッセージとする。

同法人の佐上邦久理事長は「徳之島では毎年、猫に殺されたと推測されるクロウサギが十数匹発見されてきたが今年はわずか2、3頭まで激減した。今回のさくらねこTNRの成功は今後、世界で起こっている猫による希少種絶滅回避のグローバルスタンダードになるだろう」と話す。

     

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