近年、美しい島の景観を汚す「海ごみ」が増えています。人の営みから排出されるごみが海へ流れ出し、漂流・漂着する海ごみ問題は、地球規模の課題として問題視され、日本の沿岸地域でも多様な清掃活動が行われています。そんななか、人口わずかな島々は海ごみ問題にどのように立ち向かっているのか?実態を調査すべく約100島を取材しました。
※この記事は『季刊ritokei』39号(2022年8月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。
どうやって解決する?小さな島の海ごみ問題
海辺に散乱するペットボトルやプラスチック片、ビニール袋に注射器、波消しブロックの隙間に入り込んだ漁具や発泡スチロールなど、年々と増加する「海ごみ」が沿岸地域の美観を脅かしています。
国内各地で大規模な清掃活動が行われるなか、人口わずかな小規模離島地域では、どのように清掃活動を行なっているのか。離島経済新聞社では日本財団「海と日本プロジェクト」との共同で、2022年6月から8月にかけて小規模離島(人口規模は数名から500人程度未満)を取材しました。
【アンケート回答(一部抜粋)】
調査概要:調査対象島および対象者:人口概ね500人以下の小規模離島(101島)を管轄する行政の担当課職員または自治会長、漁協や学校関係者など
調査方法:電話・FAX・メール・オンライン回答フォームを使用した聞き取り調査
調査期間:2022年6〜8月
Q1 お住まいの島で海ごみの清掃活動を行なっていますか?
「はい」の具体例
●公民館活動として海岸清掃を定期実施
●海開き前に学校関係者が清掃活動を実施
●地域の地縁団体と島内に事業所を持つ企業が協力して定期的に清掃活動を実施
●都道県による委託事業、国の直営事業、漁協受託事業などの海岸管理として清掃を実施
実施主体や団体は?
地元および国や県などの行政機関、自治会(青年団・子ども会・公民館活動等)、ボランティア団体(環境保護団体や学生団体、島外企業など)、学校関係者(児童生徒、保護者を含む)、まちづくり団体、漁業従事者や観光事業者、委託業者など
「いいえ」または「把握していない」理由
●住民は草刈りなど集落の清掃活動で手一杯なので漂着ごみまで手が回っていない
●遠隔地にあり、清掃活動を行おうにも協力者がいない。また、島に住んでいる世帯も数える程しかおらず、皆が高齢者である
●コロナ禍以降は清掃活動を行っても島外の搬出や処分方法が難しいので行っていない
●ビーチが少なく漁港が多いため
●やってもきりがないうえに人手がない
小さな島の海ごみ問題に取り組むサポーターを募集
離島経済新聞社ではこの問題を一緒に考え、行動してくださる個人・団体(企業や学生団体など)を大募集。まずはオンライン上での意見交換や勉強会からスタートし、小さな島の海ごみ問題に対応できるアイデアを集め、実行していく基盤をつくります。参加希望は離島経済新聞社(www.ritokei.org)のお問い合わせフォームよりお寄せください。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/