つくろう、島の未来

2024年10月10日 木曜日

つくろう、島の未来

近年、美しい島の景観を汚す「海ごみ」が増えています。人の営みから排出されるごみが海へ流れ出し、漂流・漂着する海ごみ問題は、地球規模の課題として問題視され、日本の沿岸地域でも多様な清掃活動が行われています。そんななか、人口わずかな島々は海ごみ問題にどのように立ち向かっているのか?実態を調査すべく約100島を取材しました。

※この記事は『季刊ritokei』39号(2022年8月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

【アンケート回答(一部抜粋)】

調査概要:調査対象島および対象者:人口概ね500人以下の小規模離島(101島)を管轄する行政の担当課職員または自治会長、漁協や学校関係者など
調査方法:電話・FAX・メール・オンライン回答フォームを使用した聞き取り調査
調査期間:2022年6〜8月

Q2 海ごみ清掃活動を今後拡大したいですか?

Q3 民間企業や団体、社会人や学生ボランティアなどの協力が得られる場合、希望しますか?

※ Q2で「はい」と答えた地域のみ回答

Q4 海ごみ清掃活動に島外からの協力者は参加していますか?

※ Q1で「はい」と答えた地域のみ回答

「はい」の具体例

●来島した観光客が、久高島離島振興総合センターでごみ袋をもらい、海岸やその付近のごみ拾いを行う。ごみを拾いながら海岸から上がると道があるので、ごみが溜まったら道においておくと島内の役員や委託された人がごみを回収し仕分け、沖縄県南城市に搬出する

●黒島(沖縄県竹富町)においては、回収ステーションを海岸に設置し、いつでも誰でも漂着物を回収できるよう取り組みを行っている。分別表を作成する等、ボランティア団体が管理を行っている

●伊吹島(香川県観音寺市)は浜辺がなく崖ばかりのため、一般市民参加型の清掃活動は実施していないが、水産庁の「水産多面的機能発揮対策」として、伊吹島の漁業者団体が主体となって伊吹島における漂流・堆積ごみの回収処理を行っている

●前島(岡山県瀬戸内市)では牛窓ウォータートレイルのエコロジーディスカウントとして、ツアー参加者がごみ拾いするとツアー料金から300円引きしている

●愛媛県松山市の離島(二神島、野忽那島、中島、興居島、釣島)ではNPO団体松山北高校興居島ボランティアチームが主催、企画し、島嶼部での海岸清掃活動や定期的な海岸状況調査を実施

「いいえ」または「把握していない」理由

●新型コロナウイルスの影響による活動自粛

●清掃活動を行うNPOから協力の打診があったがコロナ禍のため実現していない

●島外からの参加者に対し交通費等を工面できない

●人手は募集すれば集まると思うが、回収したごみの処理(島外への搬出)に費用がかかり難しい

●定期的にやろうと思っても、変則的な日常や仕組みの弱さによりなかなか続かない

●自治会で必要と考えていない

>> Q5 海ごみ清掃活動に関する悩みは?に続く

小さな島の海ごみ問題に取り組むサポーターを募集

離島経済新聞社ではこの問題を一緒に考え、行動してくださる個人・団体(企業や学生団体など)を大募集。まずはオンライン上での意見交換や勉強会からスタートし、小さな島の海ごみ問題に対応できるアイデアを集め、実行していく基盤をつくります。参加希望は離島経済新聞社(www.ritokei.org)のお問い合わせフォームよりお寄せください。


日本財団「海と日本プロジェクト」

さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/

     

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