つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

近年、美しい島の景観を汚す「海ごみ」が増えています。人の営みから排出されるごみが海へ流れ出し、漂流・漂着する海ごみ問題は、地球規模の課題として問題視され、日本の沿岸地域でも多様な清掃活動が行われています。そんななか、人口わずかな島々は海ごみ問題にどのように立ち向かっているのか?実態を調査すべく約100島を取材しました。

※この記事は『季刊ritokei』39号(2022年8月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

どうやって解決する?小さな島の海ごみ問題

海辺に散乱するペットボトルやプラスチック片、ビニール袋に注射器、波消しブロックの隙間に入り込んだ漁具や発泡スチロールなど、年々と増加する「海ごみ」が沿岸地域の美観を脅かしています。

国内各地で大規模な清掃活動が行われるなか、人口わずかな小規模離島地域では、どのように清掃活動を行なっているのか。離島経済新聞社では日本財団「海と日本プロジェクト」との共同で、2022年6月から8月にかけて小規模離島(人口規模は数名から500人程度未満)を取材しました。

人手不足・資金不足・ごみの島外搬出費用等に悩む島々

有効回答のあった101島のうち、海ごみの清掃活動を行なっていたのは76島。8割近い島で清掃活動が行われていた一方、高齢者率が高く、行政機関が立地しないなどの理由により、海ごみ清掃の実態そのものが把握されていない地域も1割程度存在しました。

清掃活動のある島々でも、人手不足や資金不足などさまざまな問題に頭を抱える実態が見えてきました。人手不足の問題では、高齢化により海ごみを拾える住民が不在である島や、コロナ禍によりボランティアの受け入れを中止せざるを得なかった島などがあり、資金不足の問題では、ボランティア受け入れのための交通費の捻出や、島内で処理できないごみの島外搬出費用の負担が重たく、清掃活動を拡大できない島が多くありました。

海ごみ回収箱を設置する島やボランティアを受け入れる島も

一部の島では、観光などで訪れた来島者がごみを拾うためのごみ袋や回収箱を設置するなど、日常的に海ごみを拾えるアイデアを実践。

社会貢献を目的にした企業や大学サークル等によるビーチクリーン活動を定期開催するなど、活動に力を入れる島もありますが、拾っても拾っても流れ着くのが海ごみ。有効な打開策が見つからない中、海ごみ問題に立ち向かい続けるには人手や資金、仕組みなどを補強することが重要です。

多くの島が島外からの支援を希望

今後、海ごみ清掃活動の拡大を希望する島々に、民間企業や団体、社会人や学生ボランティアなどの協力が得られる場合に希望するか尋ねたところ、9割が受け入れを希望しました。

人口わずかな島では、島外ボランティアの受け入れそのものが容易でない島も多くありますが、美しい海と島々を守るためには、清掃活動の活性化が重要。離島経済新聞社では引き続き実態調査を行い、海ごみ問題に取り組んでいます。

>>101島のアンケート回答に続く

小さな島の海ごみ問題に取り組むサポーターを募集

離島経済新聞社ではこの問題を一緒に考え、行動してくださる個人・団体(企業や学生団体など)を大募集。まずはオンライン上での意見交換や勉強会からスタートし、小さな島の海ごみ問題に対応できるアイデアを集め、実行していく基盤をつくります。参加希望は離島経済新聞社(www.ritokei.org)のお問い合わせフォームよりお寄せください。


日本財団「海と日本プロジェクト」

さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/

     

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