つくろう、島の未来

2024年10月14日 月曜日

つくろう、島の未来

離島地域への交流人口拡大や移住定住の促進を目的に開催される、島と都市の交流イベント「アイランダー2017」(主催:国土交通省・公益財団法人日本離島センター)が11月18日(土)と19日(日)の2日間催された。
池袋サンシャインシティ文化会館に設けられた展示ホールに全国の約200島から出展者が集い、島々の魅力をPRした。

「アイランダーステージ」で催された開会式でのテープカット

200島が移住・観光・特産品をPR

今年で25回目を迎えた「アイランダー2017」には、全国から約200の離島地域が85ブースを出展。島外団体による6ブースも併せ、合計91ブースが出展し、島々への移住案内や特産品の展示販売、観光PRなどを行った。

島産の海鮮とみかんをふんだんに使った「みかん鍋」や電動バイクの旅をアピール(周防大島町)

  • 3_五島市

左:椿の材を使った親子木工体験(五島市)/右:くさやなど特産品を展示販売(八丈島)

左:産地直送島バナナと田芋(トカラ列島)/右:特産の黒糖焼酎を試飲販売(奄美群島)

会場内には各地のゆるキャラも出没し、子どもたちなどに人気。地元の歴史や産物を取り入れた、目を引く衣装で個性をアピールする島も。来場者が思わず立ち止まり記念撮影を求め、島キャラが応じる姿があちこちで見られた。

左:ピカリャー(竹富町)とミス八重山/右:あさりん(佐久島)、たこみちゃん(日間賀島)

左:手づくりの被り物で養殖エビをPRする事業者(竹富島)/右:朝鮮通信使の衣装で島の歴史をアピール(対馬島)

離島地域に関わる団体のブースでは、一般社団法人日本旅客船協会が「『目と心の休日』島曜日」のキャッチコピーと共に全国の離島航路や船の模型を展示。

離島地域の月刊誌『島へ。』を発行する海風舎や離島経済新聞社のブースでは、離島情報をふんだんに盛り込んだ書籍やバックナンバー、オリジナルグッズなどを販売しながら、読者との交流を深めた。

「『目と心の休日』 島曜日」のキャッチコピーで島への船旅へ誘う(一社)日本旅客船協会

多彩なステージやトークイベント

会場内には2カ所のイベントスペースが設けられ、2日間に渡ってさまざまなプログラムが展開された。

離島地域からの出展者が出演・登壇する「アイランダーステージ」では、島外ではなかなか見る機会の少ない各島の太鼓演奏や民謡、島唄、踊りなどの郷土芸能が披露され、各島の団体などが地域の魅力をPRするプレゼンテーションも行われた。

左:粟島(新潟県)の「釜谷獅子舞」/右:青ヶ島(東京都)の島唄と太鼓

また、離島を応援する民間グループ「島系(しまけい)」によって運営される「しまステーション」では「島に渡った”移住女子”」など10テーマでトークライブが催され、「島宿ネット」による島旅の提案や、「リトウ部」による活動紹介展示、島に関連したグッズの販売なども行われた。

「しまステーション」のステージは、全国の9つの島の形状や特産物を体で表現する「しま体操」で幕を開けた。

オープニングトークでは、島旅イラストエッセイストの松鳥むうさんと、天売島(てうりとう|北海道)、新島(にいじま|東京都新島村)、佐島(さしま|愛媛県)でゲストハウス運営に関わる島人らが「島のゲストハウス&宿自慢」をテーマに、宿の紹介やゲストハウス運営の裏事情について和気藹々とトークを交わした。

左:島々の特徴を楽しく表現「しま体操」/右:オープニングトーク「島のゲストハウス&宿自慢」

下甑島(しもこしきじま|鹿児島県)を拠点に「可視化グラフィックライター」として活動する、せきこ(関美穂子)さんによる「可視化グラフィックレコード」も実施され、せきこさんが各トークの内容をリアルタイムにイラスト入りで模造紙に記録。トーク終了後は会場に掲示された。

せきこさん(下甑島)がリアルタイムにトーク内容を記録する「可視化グラフィックレコード」

新聞やインターネットを通じて離島地域の情報発信に携わる3社による「島の情報とメディア」では、五島列島の魅力を伝えるフリーペーパー『五島ZINE』編集長の田端さんが司会を務め、離島経済新聞社 統括編集長の鯨本あつこも登壇。地域で頑張る人のライフストーリーを届けるウェブメディア『another life.』の島田龍男さん、『リトレンゴ』の落合悠加(はるか)さんなどと共に、各メディアの特色や編集方針、取材の仕方などを紹介した。

『another life.』『リトレンゴ』『離島経済新聞』による島メディアトークが注目を集めた

グルメ食堂コーナーで島の味覚に舌づつみ

「島のグルメ食堂」では、キッチンカーが島料理を提供。今年は鳥羽市(答志島ほか)の「島の旅社」が、答志島で水揚げされた魚介を使った「タコ飯」と「じゃこ丼」(伊勢エビ汁付き)を、離島キッチン(海士町)が隠岐島のイカを使った漬け丼「寒シマメ漬け丼」を提供。1日100食限定で青ヶ島の「島寿司」も販売され、昼食時に来場者が島グルメを楽しむ姿が見られた。

左:答志島産の魚介がたっぷり「タコ飯」と伊勢えび汁/右:前半は丼、後半はお茶漬けで楽しめる「寒シマメ丼」

島の住宅情報や求人情報を提供。島同士のつながりも

「島の情報提供コーナー」では島々の住宅情報や島留学募集情報などを掲示。「ハローワークコーナー」では求人票の掲示と来場者の求職相談に応じた求人情報紹介が実施された。

「ハローワークコーナー」で求人票を眺めていた、現在は首都圏で働いているという20代女性2人組は、「いつかは島に移住という選択肢もありかなと思い、どんな仕事があるのか見に来ました」と話した。

求人内容は、医療・看護・福祉従事者のほか、農業・漁業の担い手、地域おこし協力隊、役場やNPO職員の募集など様々だ。島々の求人情報や島留学の募集情報は、「アイランダー2017」公式サイトでも公開されている。

島々の住宅情報や求人情報などが掲示され、移住候補地探しの参考にする来場者も

移住相談のブースを出展して5年目という「おきのえらぶ島観光協会」の古村英次郎さんは、「アイランダーでは、一人一人とじっくり話ができるコーナーづくりをしている」と語る。アイランダーでの出会いがきっかけで、毎年数人が実際に沖永良部島へ来島し、観光協会を訪ねるという。

アイランダーでは、島同士の交流も生まれている。古村さんは「普段会うことの少ない離島地域同士が知り合えるのもいい。アイランダーで知り合い、休暇に他島を訪ねたりしています」と話した。


【関連サイト】

アイランダー2017

     

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