つくろう、島の未来

2024年10月06日 日曜日

つくろう、島の未来

奄美大島(あまみおおしま|鹿児島県)で奄美群島内における葬儀の香典記帳に特化した業務用ソフト「みんなの香典帳」が開発され、好評を得ている。地域固有の事情に特化したソフト開発で、住民の不便や悩みを解決しようという試みだ。

■奄美群島で島事情に特化したサービス「みんなの香典帳」提供。

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奄美大島のソフトウェア開発会社奄美ICT株式会社が、奄美群島内における葬儀の香典記帳に特化した業務用ソフト「みんなの香典帳」を開発。2014年12月より、葬祭事業者向けに発売を開始し好評を得ている。

葬式や祝い事の度に大勢の人が集まる奄美群島では、香典の金額を把握し、香典返しや相手の弔辞の際に見合った対応をするために、香典帳が重宝され、各家で10年20年と大切に保管される。しかし、「高齢化が進む近年、香典帳の管理に問題が生じている」とソフトを開発した奄美ICT株式会社の前田守さんは語る。

奄美大島では、集落内で葬儀を行う際、地域住民が協力して執り行う風習がある。葬儀の受付は集落の60代の住民を中心に30代40代の若手が担うことが多い。しかし、高齢化が進む集落では作業負担が特定の人員に集中し、葬儀が続けば連日のように事務作業に追われる現状があるという。

また、奄美群島全体の傾向として、若者の多くが高校卒業と同時に島を離れ、島外で進学や就職をするため、葬儀で島に戻ってきた家族が香典記帳をする際に、島内の集落名が読めず戸惑うことも多いという。さらに、香典袋に市町村名の記載がなく集落名だけが書いてあるなど、持参者の住所が不完全なケースもある。職場や自治会組織などの団体から連名で届くケースや、後日になって香典が届くケースも多い。

そこで、同ソフトには、複雑な香典内容を適切に管理できる機能を搭載。読み方の分からない集落名はボタン操作で入力でき、十数名の連名にも対応。タッチパネルにも対応し、パソコンの操作に慣れていない利用者でも簡単に香典のデータベースを作成でき、喪中ハガキや法事の案内状などを出す際にも使用できる。

奄美大島で実際にソフトを導入した早川福祉葬祭の早川陽一郎さんは「これまでに比べ半分ほどの人数で香典記帳ができるようになり、ミスも減りました。香典帳管理がしやすくなったと喪家の方からも好評です」と語る。

「自治会運営費の管理や、慶事の御祝儀管理に同ソフトを活用できないかというお問い合わせもいただいています」(前田さん)。前田さんは現在、新郎新婦の同級生らが集まり企画する、手造りの結婚式をサポートするための個人向けソフト「皆のシマの結婚式」を開発中で、この夏に発売の予定だそうだ。

全国各地に多種多様な生活文化があり、とりわけ離島には個性的な文化が残る地域も多いが、そうした文化の継承が危ぶまれるケースは少なくない。こうしたアイデアが地域の課題を解決する一助となるよう期待がかかる。


【関連サイト】
奄美ICT株式会社「みんなの香典帳」紹介ページ

     

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