つくろう、島の未来

2022年12月01日 木曜日

つくろう、島の未来

[2]島知学 新島「島で育むこと」。11月17-18日に開催された「小さな島からものごとを考えてみる」ことを目的にスタートした「リトルコミュニティ研究所=リトラボ」の第1回講義レポ。第1回目のテーマは「島知学(しましるがく)」。島々で活躍中の7人の島人がリアルな島事情を語ります。

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[2]島知学 新島「島で育むこと」

「島知学」最初のプレゼンは新島(にいじま)のお二人。東京から南に約160km、伊豆諸島に含まれる新島は人口2000人台の東京都新島村。船で15分ほどの距離にある式根島(しきねじま)も新島村。今回は、離島経済新聞ウェブサイトで島農業コラムを執筆いただいている新島ふれあい農園の小林恭介さんと、東京都内に暮らしながら新島に通い続け、最近は島に家を借りることができたというNieve(ニーブ)の山口和也さんにお話いただきます。

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新島に通いはじめて3年になる山口さんは、都内で会社員を続けながら2週間に1度は島に通う生活を送っています。

「日本一健康な村を目指したくて、島で畑を借りて仲間たちと農業をしています。最近はようやく家を借りることができたのでタイドプール(潮溜まり)という名前で島の方も集まれる場所づくりをしています」(山口)

1年に数十回、島に渡るには時間もお金もかかります。会社仕事を終えた週末の夜に竹芝港から大型船に乗り込み、翌朝、新島に到着すると農業や拠点づくりに勤しむ山口さんも、島からすれば「よそ者」。島にとけ込むのは簡単ではないはず。

「島で活動をはじめた当初は仲間と楽しんでいるだけのように映る部分も多くて、島の人からは『ヤル気あるのか?』と怒られたりもしました。でも、そのまま遊び続けていたら、今のような活動はできませんでした」(山口)

山口さんに続き、新島に移住して10年の小林さんにも活動内容を伺います。

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「東京農業大学を出て、オーストラリアやエクアドルなど海外でも農業を勉強しました。縁があってすすめられた新島で農業をはじめ、そのまま移住しました。新島には農業に誇りを持っている農家さんもいっぱいいて、感銘を受けています」(小林)

かつて新島は、流人(るにん)が流される流刑の島でもあったことから、流人によって運び込まれた「大踊(おおおどり)」といった流人文化も多く残されています。罪はなくても小林さん自身も何かの縁で島に流れつき、活動をしている島人。最近は、アメリカ芋を媒介にした「芋フェスタ」や島やさいのブランディングなども行っているとのこと。

「ここ数年では、島の農家や地域で活動される方、ニーブなどの新しいチカラが集結した『新島ウエディング』なども開催しています。新島の人は島にいる人を『島の人』『国の人(島の外から来た人)』『旅の人(3年に1度くらい来る人)』というように捉えていますが、最近は『風の人(外から来てアクションを起こしている人)』が与えているインパクトが大きいように思います」(小林)

島に流れ着く「風の人」は島になんらかの影響を与えます。それだけに島で家を借りるのはとても大変なことだと山口さんは言います。

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「島には不動産屋がないので、はじめはどう家を借りていいかわかりませんでした。どこの馬の骨ともわからない奴に家を貸せないという空気もありますし。島ではひとりひとりの立場が確立しているので、家を貸すといってもお金の問題ではなくコミュニティ内の体裁の問題になります。僕たちは欠航も多くてあまり人が来なくなる冬場も島に通い続けているうちに島の人との距離が縮まり、そのうち「おかえり」と言ってもらえるようになり、今の大家さんを紹介してもらうことができました」(山口)

「島に暮らしはじめて4年を超えると島人からの見る目が少し変わってきます。たとえば教員で赴任する方は3年で移動するので」(小林)

外から島に入り活動する「風の人」として、島と島人との関係を育んできたお二人は、何を大事にしているのでしょうか。

「受け入れてもらうことも大事ですが、今は受け入れることも大事だと思っています。お裾分けの魚が勝手に冷蔵庫に入っていたりと、最初はどうしていいか分からないことも多いんですが、受け入れからお返しすることが大事なんだと気づきました」(山口)

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「一人ひとりの人を大切にしながら、自分の身の丈にあった人付き合いが大切だと思います。無理のない範囲で関係を築くことですね」(小林)

新島に通い続けているとはいえ日常のほとんどは都内ですごしている山口さんに、島外から感じる島の課題について伺うと、「想像以上に縦型社会で、島内の横の連携が弱い面があります。2000人規模の島ですが自分が繋げた縁もありました」。

最後に「島での楽しみ」について伺うと「畑いじり、アメリカ芋の収穫。焼き芋パーティー」と山口さん。小林さんは「子どもたちとキャンプで他の島にも行くこと」と、農産物、島人とのコミュニケーション、それぞれの夢を島で育んでいました。

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伊豆諸島・新島の次は瀬戸内海の小豆島のプレゼンです。

[3]島知学 小豆島「島と街をつなぐ」に続く >>

離島経済新聞 目次

Little Community Labo リトルコミュニティ研究所

vol.1 「島知学」2012/11/17-18

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