地方創生のトップランナーとして知られる隠岐諸島の海士町(中ノ島)。町の第三セクターとして、ふるさと納税支援、未来共創基金支援、広報活動支援を手掛けるAMAホールディングス株式会社代表の大野佳祐さんに、「官と民」「島内と島外」「地方と都市」など境界を越えた連携について聞きました。
※この記事は『季刊ritokei』46号(2024年8月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。
AMAホールディングス代表の大野佳祐さんは、存続の危機からV字回復を達成した隠岐島前高校の魅力化コーディネーターとして海士町に移住した人。「ないものはない」を掲げる海士町で立ち上がる、さまざまな挑戦を伴走・支援しながら、島にある「余白」として「海」に注目。
「世界中の海で温暖化や資源の枯渇などが問題になるなか、小さな島だからこそ小さな実証的アプローチができる」と考えた大野さんは、今年6月に「シン・ブルーオーシャン戦略」を掲げ、環境・海洋課題に着手したい企業や団体、教育機関、海士町の関係人口と共に、海士町の海から世界の諸問題を実証的に解決していくプロジェクトをスタートしました。
第一段プロジェクトは「生鮮流通に新しい循環を」をビジョンに掲げる株式会社フーディソンと提携した藻場再生。人工礁「リーフボール藻礁」を活用した藻場再生で、磯焼けの解消と二酸化炭素を吸収する「ブルーカーボン」の増加を図り、水産資源の増大を目指しています。
地元漁協との協力体制も海士町は優位。独立した海士町漁業協同組合と、調整役を担うAMAホールディングスが、「官と民」「島内と島外」「地方と都市」などあらゆる境界を越えた連携を可能にしているのです。
「企業版ふるさと納税等の制度を活用しながら、企業の皆さんと小さな実証実験をどんどん増やしていきたい」。海士町には「大人の島留学」(※)でやってくる若者も多く、関係人口向けの「アンバサダー制度」も立ち上がった。
※7泊8日から1年単位で島に滞在できるプログラム。20~29歳の社会人や学生が対象
そこで大野さんは、島での起業や新規事業の立ち上げを志す若者に対して、海士町のアンバサダーが新規事業開発のメンター、投資家、クラウドファンディングの実行サポーターになるイメージをふくらませています。
「海士町にはまだまだ余白があります。起業に活用できる『海士町未来共創基金』 もあるので、何かに挑戦したい人に集まってもらいたいです」。
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大人の島留学