【#3 電子書籍ガイド、制作のきっかけ〜完成】今後ますます増えそうな離島の電子書籍利用。三宅島の電子書籍ガイドは、いかにして作られたのか?企画開始のきっかけから制作過程、そして公開までの過程をご紹介頂きました。「みやけエコネット」は、東京・三宅島(みやけじま)の自然情報を発信する三宅村のインターネットプロジェクト。地元の自然ガイドと一緒に、三宅島を歩いて楽しむiPhone/iPad用のガイドブックアプリ「三宅島を歩こう~火山と森と野鳥の島~」を制作・公開しました。みやけエコネットの山下さんに、その魅力をご紹介頂く3回連載です。
地元の自然ガイドと三宅島ファンのクリエーターの出会い
こんにちは、『みやけエコネット』です。今日は、三宅島のiPhone/iPad用ガイドブックアプリ『三宅島を歩こう~火山と森と野鳥の島~』ができるまでの道のりと、関わったスタッフや担当者の声をお届けします。
このアプリをつくるそもそものきっかけは、三宅島の情報を発信するWEBサイト『みやけエコネット』の開設当初から協力いただいていたカメラマンの方が、iPhone/iPad用のアプリ開発を始めたことでした。それを聞いた私、みやけエコネット編集担当・山下聡子(東京在住)と、三宅島自然ガイドのみなさん、三宅島の自然観光施設「アカコッコ館」のレンジャーさんは、火山観光用の電子書籍をつくりたい!と意見が一致。企画を立て、翌年度から制作に入りました。
ページ構成は私が作成。本編の写真と文章は、自然ガイドの皆さんに手分けして担当してもらいました。火山の楽しみ方を分かりやすく解説する一方、「アシタバの茎の汁は服につくとなかなかとれないので要注意」などローカル視点も魅力の、素晴らしいコンテンツが揃いました。
デザインは、東京のデザイン会社ソックス・ビジュアルデパートメントの林香世子さんにお願いしました。林さんは、三宅島のランニングイベントに出場した経験の持ち主。
「デザインにあたり、三宅島での経験はとても役に立ちました。実際に行くまでは落ち着いた静かな島を想像していたのですが、島自体が“豊かでダイナミック”であること、島民の方々の“とにかく明るくて温かい感じ”を肌で感じることができたからです。三宅島を知らない人たちにもこの素晴らしさをイメージしてもらえるように、優しくてナチュラルな中にも風景をダイナミックに見せる部分や、魅力的だった土の印象などを意識して制作しました」(林さん)
出来上がったページは、カメラマンで「3on3 Publishing」の寺川真嗣さんが、最後に電子書籍リーダーに組み込み、アプリが完成。
「このアプリの特徴は、写真から動画を見たり、地図と連携したりできるように、開発余地を残してあること。アプリは、書籍のように完結しておらず、バージョンアップによりコンテンツを育てながら、段々とユーザーの輪を広げていけるところが魅力です」(寺川さん)
島の観光担当者も期待
このアプリには、発行元である三宅村の、観光産業課観光商工係長・北川進一郎さんも期待を寄せています。
「現在、三宅島に来島される観光客は、釣り、ダイビング、イルカウォッチング、バードウォッチング、いずれかの目的を持ってこられる方が多く、この4つを体験したいマニアにとっては最高の島であると考えられ、リピーターが多いことが特徴です。
今回のアプリ開発は、この4つ以外の目的で来島する観光客を増やしていこうという試みから始まりました。それは、三宅島独特の景観であるジオスポット(火山景勝地)や動植物などの自然を、歩いて見てまわる観光客の方々です。
これからの観光は、名所などをただ巡るだけでなく、その成り立ちや意味、地域にどう影響しているかなどを学習し、知識を深めることにも関心が高まっています。このアプリはそのニーズにも応えてくれると考えています」(北川さん)
最後に、監修をお願いした自然観光施設「アカコッコ館」の、チーフレンジャー・江崎逸郎さんから、このアプリを使用してくださる皆さんに向けて、メッセージをいただきました。
「今回のアプリ制作の背景には、永く三宅島の自然の魅力を探る努力をしてきた島民たちの想いが込められています。特に旅プランの紹介や、火山景観を巡るコースなどは、実際に歩くなどして蓄積された知識や経験をもとに生み出されたもので、非常に充実した内容になっています。島の魅力がギュッとつまった、とっておきのアプリです。ぜひご堪能ください!」(江崎さん)
多くのクリエーターや島を大事に思う人々の手で生まれた、電子書籍ガイド。みなさんも三宅島にお越しの際はぜひダウンロードしてみてくださいね!