つくろう、島の未来

2020年08月05日 水曜日

先日、リトケイは Twitter を介してある島バンドをみつけました。
それは「ペペンコビッチオーケストラ」という五島列島福江島のバンド。
「五島人の五島弁による五島の為の地産地唱バンド」というコピーのもと、
すべての曲を五島弁で歌い、
「ナイスミドル音楽祭2010決勝大会」の予選を勝ち抜き、
東京で開催される決勝大会に出場するため上京するとのこと。
彼らが掲げる「地産地唱バンド」とは一体??
11 月某日、大会前夜に都内で行われた単独ライブに、おじゃましました。

b17

「地産地唱」のバンド活動とは??

イサモト:ライブ前にお時間をいただきありがとうございます。 みなさんは、五島列島福江島出身のバンドということですが、
まずはお名前を教えてください。

ベ:

ボーカルのベベンコビッチです。

バ:

バ:ベースのバップンドンクです。

ボ:

フルートコーラスのボッバボバルバです。

ド:

ドラムのドスグロカッチです。

ギ:

ボーカルフルート、ギッコンバッコンです。

イサモト:

不思議な名前ですね・・・由来はあるのですか??

べ:

ベベンコビッチは、ベベンコは「子牛」ですね。

バ:

バップンドンクは、「ひきがえる」「かえる」。

イサモト:

「ひきがえるかえる」なんですね・・・。

ボ:

ボッバボバルバは、「かぼちゃ」と「大きいかぼちゃ」で、
ボルバというのが「小さいかぼちゃ」です。
時々、ボルバボッバボバルバというんですが、それが本名です。

Exif_JPEG_PICTURE イサモト:

本名もあるんですね…。

ド:

ドスグロカッチは「どすぐろい」という感じで。

イサモト:

そこはそのままなんですね。

ギ:

ギッコンバッコンは「足ブランコ」のことですね。
お父さんが子どものブランコを押してくれるときに言うような。
あと、テレンパランというメンバーがいて、
全部で6名ですね。今は忙しくて外にいるけど。

イサモト:

・・・面白いですね。このバンドができたきっかけは??

べ:

:昨年4月に、僕が20数年ぶりに島にUターンでもどって、
その後の8月にスタートしました。

イサモト:

ご年齢も幅広いようですが、メンバーはどのように集まったんですか?

べ:

飲み屋さんですね。島にはライブハウスとかないけんね。

バ:

島にはアンプもないし、マイクもなかったです。

イサモト:

みなさん、もともと音楽をされていたんですか?

ギ:

そうですね。他のバンドだったり、ブラスバンドだったりで。

b16 イサモト:

曲はすべて「方言」だそうですが、その理由は?

べ:

方言って愛着がわくじゃないですか。
しかも、五島弁って意外にリズムにのるんですよ。
ラップ的な感じで。 それで面白いのができたから、やっていこうかなと。

イサモト:

どなたが作っているんですか?

べ:

ぼくですね。

イサモト:

主にどんな活動をされているのですか???

べ:

島を中心に1年間で50くらいライブをやっていて、
島以外では、長崎市内にいったり、大阪の五島人会にいったり。

イサモト:

話に聞くと、演歌からロックまでさまざまなジャンルをされるとか。

べ:

お客さんに喜んでもらうことが目的やけん、
場所に合わせていろいろやりますね。
老人ホームとか、小学校とか、お祭りとか。
ぼくらのこだわりは、目の前の人に喜んでもらうこと。
それで、五島人の人に楽しんでもらう、五島人のための五島弁のバンドです。

イサモト:

なるほど。

べ:

昨年、下甑をずっとまわってみて、
あの、五島弁てね、五島人にしか伝わらんたい。
島って、内地の田舎より離れとるから、郷里への想いもすごいんです。
その想いをネットワークにして、町おこしをするのは、
島だからできる特権かと思っていて。
真面目に演説するのはなんか堅苦しいけど音楽なら楽しくできる。
で、僕らは方言で、地産地唱バンドを。

イサモト:

そうだったんですね。

べ:

五島人のためになるっちゅうのが一番の目的だったんだけど、
やってると、結構いろんなところからの反応があって、
外国人のリピーターも多いっちゃんね。

イサモト:

へぇぇ!

バ:

あと、島外から仕事でくる転勤族なんかも。

べ:

この前もかなりいたね。

バ:

五島以外の人からのほうが、ウケがいいかも。

イサモト:

島外の人にはわからないコトバも多いと思いますが。

べ:

リスペクトがあるんやないかな。大事にしてるっちゅうか。
なんかこの人たち、意味わからないけど、
自分達のコトバで楽しそうにやってるとか。

バ:

音楽という媒体というのは、
必ずしもコトバが先にくるものじゃないから、
その音とかリズムとかメロディーとかが優れてないと人は反応しないんですよ。

イサモト

それで、方言が分からない人からも共感を得ているんですね。

五島の人と五島のことと。

イサモト:

五島の人ってどんな人ですか?

ベ:

がさつでシャイ。照れ屋やけど、がさつやし。

バ:

がさつな人はすげーがさつやね。笑

バ:

成功する人は多いよ。東京とかきても成功するような。

べ:

そうそう。

イサモト:

へええ。いま、五島を中心に年間50回されているということですが、
これからどういう活動をされていくのですか?

べ:

子どもたちのいる小学校とかやっていきたいですね。
五島の中にも島はたくさんあって、それぞれ小さい小学校とかがあるんですが、
そこにいる子どもたちが、生まれ育ったところに誇りとか自信を持てないと
何事もうまくいかないと思うんですよね。

イサモト:

何事も?

べ:

観光にしろ、何にしろ、方言にしろ。
外に向けてだけ身だしなみを整えるんじゃなくて、
自分たちの内輪だけの盛り上がりでもいいから、
盛り上がっていけば、それが誇りとか自信につながっていったりね。
たとえ内輪でも輝いていれば、結果として、外からも注目されるんじゃないかと。
やっぱり、外に向き過ぎなんですよね。

イサモト:

観光とかは特にそういう印象がありますね。

べ:

祭りとかでは違う土地の伝統をもってきたりもするけど、
もともと地元にあるものだけでも、良いものってあると思います。
それで、ぼくらは地域に根ざしたものを掘り起こすということで
方言だけで音楽をやってみているんです。

b12 イサモト:

なるほど・・・。

べ:

それで、いろんなメディアに取り上げられたりできるちゅうことは、
島をPRすることにもなるしね。

イサモト:

みなさんが楽しそうな島は、行ってみたくなりますね。
島は比較的閉鎖的なイメージがありますが、
みなさんを見ていると福江島は閉鎖的なイメージが少ないような。

バ:

おおらかだとは思います。まだ人も多いから。

べ:

でも、どんどん減りようけんね。年間600人は。

イサモト:

結構減っていますね。

べ:

:この10年くらいで47000人から40000人に減ってるけんね。
将来的には人はもっと減ると思う。

イサモト:

人が減ると経済も縮小しそうですね。

べ:

なんか、キューバみたいに思えばいいっちゃんね。 いかにお金を外に逃がさず、自分たちの中でまわしていくかとか。

イサモト:

それでたまに外貨が入ってきたらいいですね。

バ:

そうそうそう。輸出はどんどんしてね。

べ:

でも、いらんもんは輸入せんようにせなね。農産物とか。野菜とか。

b09 イサモト:

五島は海鮮がたっぷりとれますしね。輸出する材料も多いような。

バ:

五島はマグロの養殖もやってますからね。
これは、はじまったばかりだから、市場はこれからかな。

イサモト:

真面目なお話がきけて嬉しいです。
私たちは島の人の声からひろったもので、
島のカタチを伝えていきたいと思っているものでして。

べ:

根っこは真面目やけんね。

イサモト:

(笑)

べ:

でも、やっぱ楽しむことやね。

イサモト:

バンドをされる前と後でかわったことはありますか?

べ:

人のつながりというか、どんどん広がってきていますね。
ライブに来てくれお客さんが、そのままスタッフになったり(笑)。
ライブでも、お客さんや子どもたちをステージにあげて、みんなで盛り上がったりしています。

イサモト:

みなさん、和気あいあいとしていて、楽しそうですね。

べ:

今日は五島人が沢山集まるし、かなり盛り上がると思うんよね。

イサモト:

いいですね。

べ:

普通の県人会で集まるより、やっぱ音楽だからね。
聞く側も楽しくて、しかも五島弁やし。

イサモト:

ぜひ、聞かせていただきたいと思います。

五島をうたうベベンコビッチオーケストラ

– メンバーが楽屋に戻ったあと、 ライブ会場には
続々と島出身の方や島に縁のある方が集結してきました。
「わーひさしぶり!かわってない!」「こっちに住んどうるとー?」
再会を喜ぶ声や、島を懐かしむ声が聞こえるなか、
赤いつなぎにヘルメット姿のベベンコビッチ率いるメンバーが登場。
ハイテンションな曲からライブがスタートしました。

Exif_JPEG_PICTURE (MC)べ:

どうも〜ベベンコビッチオーケストラです!
よお〜来てくれました! いつも五島弁はしゃべりよらんでしょ?
皆さん、今日は五島弁ばりばりしゃべっていいけんね。

会場:

はははは。

べ:

次ん曲は、五島ん人はみんな
「あがんことまっちょんけん(あなたのことをまっているから)」
という曲「とどひかよ(ひさしぶり)」です。

– 明るくやさしい曲にのり、ギッコンバッコンさんが歌います。

“とどひかよ〜(ひさしぶり〜)”
“あがんいっちょん帰ってこんね(あなたが全然帰ってこないから)”
“さみひかよ〜(さみしいよ〜)”

– 会場内に温かな空気が流れ、2曲目が修了。

(MC)べ:

次の曲は、全国に散らばった五島人のために歌いま・・・?
(ベースのバップンドックンさんが感極まった様子)

べ:

おいも泣けてくっちゃん!今泣きよったらもっと泣くけん。
(よくみると、会場前列の女性が号泣している様子)

バ:

勘弁してください・・・。

会場:

ははははは。

-やさしい空気の中、次に歌われた「春夏秋冬」は、
お盆と正月にしか帰れない人が「春と秋の風景をわすれてしまった」という曲。

“島ば遠く離れて暮らしていて~(島を遠く離れて暮らしていて)”
“春と秋の景色ばわすれてしもったっち~(春の秋の景色を忘れてしまったって)”
“おっだはここで、あがば待ってるから(私はここで、あなたを待っているから)”
“もどりとーなったらいっでん帰ってくればいい(戻ってきたくなったらいつでも帰ってくればいい)”

-ベベンコビッチさんの歌声と詩に、お客さんの目にも涙が浮かびます。
方言とは、お国言葉。だから、地域の中の共通語として、
その地域外の人には理解できないものもあります。
でも、たとえ理解できなくても、
ベベンコビッチオーケストラに感動してしまうのは、
「土地を大切にする」「大事な故郷がある」ということが、共通するからでしょう。

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ライブの途中、ベベンコビッチさんが言いました。

べ:

ぼくは五島に生んでもろちょうけん、
五島のためになんかせんば。おっどんが五島人をくっつけて、
五島を盛り上げる接着剤になる。

-島にとっても、五島人にとっても、こんな風に、
故郷への想いを大声で歌うバンドがいることは、すごく嬉しいでしょう。
ライブの休憩時間、会場のお客さんからは
「泣いた~」「五島帰りたくなった~」という声が聞こえてきました。
東京に移り住み、なかなか帰れない故郷をライブで思い出し、懐かしみ、
その大切さを再確認されたようです。
ベベンコビッチオーケストラの曲には、温かく島を想う曲があれば、
切ない曲もあり、明るく楽しい曲もあれば、
おもしろおかしく島を歌う曲もあります。

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ちなみに、「ドッパーン&ザッブーン」という曲では、
天候によって船や飛行機がとまってしまうという、
おそらく他の離島にも共通する島事情が歌われます。

“海がシケったら島からでられな~い♪”
“生鮮品がたべれな~い♪”
“金持ちもビンボー人もでられな~い♪”

島の生活を楽しく歌い、問題までも明るく歌ってしまう。
音楽の力で島と人をコネクトしていく地産地唱バンド。
ベベンコビッチオーケストラは、
この翌日の「ナイスミドル音楽祭2010決勝大会」でみごと準グランプリを獲得。
某ニュース番組で紹介されるなど、みごと「五島のPR」にも成功し、
「五島のため」のバンドとして大活躍されていました。
島を想い、島のためにがんばるバンドの活躍を リトケイも期待しています。

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  • 「ベベンコビッチオーケストラ」
    公式サイトhttp://www.bebencobicci.jp/
    (Text : isamoto)

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