つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

沖縄本島の北約21kmに浮かぶ、奄美群島(あまみぐんとう|鹿児島県)最南端の与論島(よろんじま|鹿児島県)で、子育て中の母親たちが集まり「よろん出産子育て応援隊あんまぁ〜ず」を結成。「制服リユース」や「お産を待つための施設」をオープンさせるなど、出産・育児環境の改善を図っている。

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「子宝の島」は、お産もしやすいのか

厚生労働省が2014年に発表した「平成20~24年 人口動態保健所・市区町村別統計」の「市区町村別にみた合計特殊出生率」によれば、上位1位に輝くのは奄美群島の徳之島(とくのしま|鹿児島県)南部の伊仙町(いせんちょう)で、合計特殊出生率(※)は2.81。

同町を筆頭に、同じ鹿児島県の奄美大島(あまみおおしま|奄美市)・長島(ながしま|出水郡長島町)・屋久島(やくしま|屋久島町)、長崎県の対馬島(つしまじま|対馬市)・壱岐島(いきのしま|壱岐市)、沖縄県の久米島(くめじま|島尻郡久米島町)・宮古島(みやこじま|宮古島市)・石垣島(いしがきじま|石垣市)・南大東島(みなみだいとうじま|島尻郡南大東村)・多良間島(たらまじま|宮古郡多良間村)などの自治体が上位20位に並ぶ。

一方で、産婦人科があり島内で出産できる環境を備えた島は数少ない。統計上で「子宝の島」が目立つ陰で、島の母親たちの多くがお産のために海を渡り、家族と離れて不慣れな島外でお産を迎えている現状がある。

ママ友たちが集まり子育て出産応援隊を結成

約5,000人が暮らす与論島も、産婦人科のない島の一つだ。島の合計特殊出生率は2.10で全国の上位11位に位置しているが、生まれてくる子どもたちの多くは、海を隔てた対岸にある沖縄本島で産声をあげる。

2016年4月、与論島で子育て中のママ友たちが集まり「よろん出産子育て出産応援隊あんまぁ〜ず」を結成した。「あんまぁ」は、「お母さん」を表す方言。与論島出身で代表の内野正世さんはじめ、6名いるメンバーの出身地は関東や九州など様々で、全員が働きながら子どもを育てている。

メンバーは同じ年の子どもを持つ母親として知り合い、島での子育てや出産の悩みを話すうちに、「こんなことしてみたいね」「こんなサービスがあったらいいね」と浮かぶアイデアを形にしてきた。

制服の譲り合いプロジェクト

制服の譲り合いプロジェクト「attara(アッタラ※)」も、メンバーの雑談から生まれたサービスの一つ。

※「もったない」を表す与論島の方言

与論島では知り合いや親戚同士などで着なくなった制服を譲り合う人たちが多かったが、「希望のサイズがみつからない」「譲れる人がいない」というミスマッチや、移住して間もない住民は「譲ってもらえる人がいない」などの悩みがあった。

そこで、「あんまぁ〜ず」が島内の商店に回収箱を設け、卒業などで不要になった制服を寄付で集め、必要に応じてシミ抜きなどのメンテナンスに対応。種類・サイズごとに管理し、随時ブログやSNSで在庫状況を発信している。

中学の制服は一式約2,000円〜2,500円、高校の制服だと一式約3,000円〜3,500円と格安の手数料で制服を譲り受けることができる。
この春、「attara」で見つけた制服を着た子どもたちが初めて入学式を迎えた。

ママのためのイベント企画

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透明感抜群の海でリフレッシュ「ママSUP」

「あんまぁ〜ず」では、映画の自主上映会や落語会なども開催し、島内のママ限定のSUP(スタンドアップパドル)体験や、親子で参加できるピラティス講座も開いている。

「講座はメンバーが企画してプロに講師を依頼。キッズコーナーをつくって私たちが子どもの面倒をみるなど、お母さんたちが参加しやすいように工夫しています」と代表の内野さんは話す。
記事後編「安心してお産を”待てる”施設をつくりたい」へ続く


【関連サイト】

よろん出産子育て応援隊あんまぁ~ず

     

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