つくろう、島の未来

2021年04月17日 土曜日

この春、日本の島々に「離島カード」なる新アイテムが登場します。第1弾として発行されるのは、日本の「国境」に位置する特定有人国境離島15地域のうち66島分のカード。離島カードの誕生を記念して、島旅の達人でありカードの制作にもご意見をいただいた3人に、国境の島々を旅する醍醐味や、離島カードの楽しみ方について聞きました。(前編「忘れられない絶景」「心温まるエピソード」はこちらから

PR・内閣府 総合海洋政策推進事務局 有人国境離島政策推進室
制作・リトケイ編集部

質問③/
島々を旅する時の滞在日数や宿泊のコツ、島の人々との交流方法など「おすすめの滞在方法」を教えてください。

加藤庸二さんの「おすすめの滞在方法」

滞在日数は島の大きさによりますが、日本最大級の佐渡島(さどがしま|新潟県)で滞在1日だとタッチアンドゴーになってしまいます。最低でも2〜3泊はしたいですね。

島に複数日いると次の日の朝が楽しめるんです。1日とか1泊では朝の時間を逃しがちですが、2泊くらいあると朝市なり、朝の漁協なりを楽しめます。水揚げの様子や人が集まる様子が観られると、獲れる魚や島の活気とかもわかります。

朝、島を散歩すると出会える島の人々(提供・加藤庸二)

僕にとってはそういう場所も情報源で、市場で島の人と話ができれば、方言を知ることもできます。「寒いですね」と尋ねて「暖かいほうだよ」と言われたら、もっと寒い日があるんだ! と知ることができる。朝、散歩をすると島の人の言葉で、いろんな情報がもらえるのです。

もう一つ、島行きの日はなるべく「ハレの日」にかかるようにしたいですね。祭りなどの行事がある日は、たくさんの人が集まり、普段はなかなか出てこない人も出てきます。その島ならではの民俗的な行事や祭祀が観られて、島の産品なども出てくる。だから、ハレの日がおすすめなんです。

大畠順子さんの「おすすめの滞在方法」

私はなるべく小さくて集落が限定されているような島で感じられる「濃さ」や「深み」が好きなので、宿泊するにも地元の人がやっている民宿がいいなと思っています。

旅人同士の交流を楽しめるゲストハウスなどもありますが、私は地元のおじいちゃんおばあちゃんやUターンの人と話したいので、インターネット上に情報がなくて電話予約しかできないような民宿をあえて選んでいます。

鹿児島の宿に電話した時には、どうしても方言の「が」と「ご」が聞き取れなくて、何度「9月」といっても電話口のおばあちゃんには「5月」といわれて(笑)。でも9月に行ったら、ちゃんと予約が取れていました。

鹿児島の離島・宝島(たからじま)の展望台からの眺め(提供・大畠順子)

島旅ではなるべく長く滞在したいと思っていますが、私は普通の会社員なのでどんなに長くても、大型連休に連続5日間の年次休暇をいれた9日間の休暇が最大です。それから移動を差し引けば、島にいられるのは7日間が最長。だけど、祝日に1日プラスするかたちで3泊4日あれば、小さな島はたっぷり楽しめます。

小林希さんの「おすすめの滞在方法」

私は周りにいる島に詳しい方に、会うべき人やおすすめの宿を教えてもらい、そこから旅をすることが多いですね。知った方からの紹介だと相手も安心なのか、すっと懐にいれてくれるようなところがあります。

昔は島で出会った方とは手紙のやりとりをしていたのですが、最近はおじいちゃんでもSNSを使われるようになってきました。手紙のやりとりは減りましたが、SNSで島の朝日や夕日、猫の写真などを送りあったりしながら、つながることができています。

五島列島(ごとうれっとう|長崎県)へお友達とその子どもの3人で行ったことがあるんです。生まれてまだ半年くらいの赤ちゃんだったのですが、子どもが一緒にいると島の人がいつも以上に優しいなと感じました。

猫のいる島に行きたくて福江島(ふくえじま|長崎県)から船で黄島(おうしま|長崎県)に渡った時、お店もなく人にもほとんど出会わないなかで、たまたま出会った島の人がお寺を開けてくれたんです。「ここにいたら」と言って、獲ってきたばかりのアオリイカも持ってきてくれて「あなたたちも食べなさい」と。すごく優しくしていただきました。

黄島の風景と島の猫たち(提供・小林希)

島旅は人との出会いが一番の楽しみです。ごはんとか絶景もあるけど、人との思い出がないと、なかなか「また行きたい」という風にならない。人との出会いがあった島には、通うようになるのです。

国境離島から生まれた「離島カード」の話

島を旅する3人から島旅のポイントを伺ったところで、この春、特定有人国境離島地域(※)に登場する「離島カード」について、ご自身も島にルーツがある内閣府総合海洋政策推進事務局 有人国境離島政策推進室の狩野良介さんに聞きました。

※内閣府では平成28年4月に成立した有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法(略称「有人国境離島法」)に基づき、関係地方公共団体や関係省庁と連携し、交付金等を通じて特定有人国境離島地域の地域社会の維持等に取り組んでいる。

「離島カード」は日本の島旅を楽しむ方に、現地で手に入れてもらえる(無料配布される)新しいアイテムで、第1弾として特定有人国境離島15地域のうち66島分のカードを制作しました。

こだわったポイントは、離島ならではのユニークな情報をできるだけ小さなカードに詰め込むこと。島のおもしろ小ネタ情報は、大畠さん、加藤さん、小林さんの3名の方にご協力いただきました。

また、アクセス難度が乗り物マークでわかる「最短ルート表示」も入れています。たとえば、二次離島は乗り換え分だけマークが増えてマニア心にも響くはず(笑)。さらに、写真の枠をフォトフレームのように加工し日付も書き込めるようにしたことで、島旅の思い出を形に残せるよう工夫しています。

日本の領海等の根拠となる「基線」を有する地域の中でも、本土から遠く離れていて、人口も大きく減少し、これから先も人々が住み続けられるような環境を整えることが、特に必要な地域を「特定有人国境離島地域」として指定しています。

対象地域は、利尻島(りしりとう|北海道)や礼文島(れぶんとう|北海道)、南は鹿児島県の吐噶喇列島(とかられっとう)まで(※)。国境というだけあって海外が近く、歴史的にも文化的にも外国との関わりが深い地域も多く、本土とは違った歴史文化を感じられる島もあります。

※小笠原諸島(おがさわらしょとう|東京都)、奄美群島(あまみぐんとう|鹿児島県)、沖縄地域にも領海の基線があるが、それぞれ異なる特別措置法の対象であるため特定有人国境離島地域からは除外されている

2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、離島は医療体制も脆弱なことから「ぜひ来てください」との呼びかけが難しい場合も多くありました。コロナ禍からの脱却を願いつつ、特定有人国境離島地域全体で準備できるプロモーションをあれこれ模索。そして、島を訪ねる楽しみを形に残せる「離島カード」の制作にトライすることになりました。このカードが島を旅するきっかけになったり、さらに別の島に行ってみようと思う誘いになってくれたらと願っています。

今回、「離島カード」は特定有人国境離島から発行がスタートしますが、他の島々にも活用してもらうためにフォーマットを公開予定です。ぜひ、個性あふれる日本の島々にたくさん参加してもらえたら嬉しいですね。

特定有人国境離島の「離島カード」は国として国境を守っていく意義ある取り組みですが、私個人としてはルーツが島にありますので、ふるさとを守る取り組みに携わっているとも感じています。

「離島カード」をきっかけに、少しでも多くの人に島にふれてもらえたらと願っています。

3人に聞いた「離島カード」おすすめの楽しみ方

離島カードには島で訪れるべき基本的な情報が書かれているので、現地で手に入れたカードの情報を参考に、島内の巡り方を決めるのもいいですね。(加藤庸二さん)

離島カードには日付を書けるようになっているので、島旅の記録や思い出のアルバムとして集めてもらえたらいいなと思います。(小林希さん)

離島カードを集めることは、知らない島を訪ねるきっかけにもなると思います。毎年ちょっとずついろんな島を訪れて、カードに書かれていない現地の情報を自分で集めるような楽しみ方をしたいですね。(大畠順子さん)

気になる離島カードの最新情報は、国境の島ポータルサイト「日本の国境に行こう!!」でも公開しています。ぜひチェックを。


【関連サイト】
日本の国境に行こう!!
「離島カード」のご案内

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