離島地域と島外企業向けに対話重視の商談・交流の場を提供し、島の活性化事業創出をめざす「しまっちんぐ」。今年度、試験的に始まったこの取り組みの一環として、2月13日に「しまっちんぐワークショップ」が開催され、離島地域7自治体と18企業の各担当者が参加した。
自治体・企業から約40名が参加し、グループワークを実施
離島地域の7自治体と一般企業18社が参加
「しまっちんぐ」(主催:国土交通省国土政策局離島振興課、運営:株式会社JTB総合研究所・株式会社イトーキ)は、「島を活性化したい」「島の魅力をもっと活かしたい」「島外企業と交流したい」と考える離島地域と、「島で事業を立ち上げたいが島のニーズがわからない」「島に貢献したいがつながり方がわからない」とする島外企業に、商談・交流の場を提供する取り組み。
島側のニーズを把握し、島とともに課題解決を担う企業の募集を段階的に進めながら、「しまっちんぐ2016」という交流・商談会を3月12日(土)に開催。両者をつなげることで、離島地域の活性化施策となるプロジェクトを創出し、島での事業実現につなげていくという。
2月13日に開催された「しまっちんぐワークショップ」は、その第一弾となる。島の課題やニーズの把握を目的に、離島地域の7自治体[佐渡島(新潟県佐渡市)/粟島(新潟県粟島浦村)/沖島(滋賀県近江八幡市)/大崎上島(広島県大崎上島町)/弓削島・生名島・佐島・岩城島・高井神島・魚島など(愛媛県上島町)/地島・大島(福岡県宗像市)/中通島・頭ケ島・桐ノ小島・若松島・漁生浦島・有福島・日ノ島など(長崎県新上五島町)]と一般企業18社の担当者が集合。東京のイトーキ東京イノベーションセンターSYNQA(シンカ)にて、グループワーク形式のディスカッションが行われた。
島の課題やニーズ、未来の島のあり方を考える
冒頭、長崎県五島列島の魅力を東京から発信するメディア『五島ZINE』編集局や、地域活性事業「島キャン」を運営する株式会社カケハシスカイソリューションズなどから、それぞれの事業を踏まえて、離島地域で企業ができることについて、事例の紹介・共有が行われ、ワークショップがスタート。各自治体担当者とその地域に興味を持った企業担当者でグループワークが進められた。
模造紙や付箋を使い、まとめた内容を発表
2時間半程度のワーク終了後には、各グループで話し合われた内容が全体に共有された。「島にとって、本当に大切な資源である『人』を活かしたい」と発表した粟島は、特産品の販路拡大こそが自らの地域に必要と考えていたという。しかし、企業担当者たちとのディスカッションを通じて、もっと島外の人を島に呼びこむ施策の必要性や、それをどうPRしていくのかなど、特産品を広めるだけでなく、別の視点で島の課題やニーズを俯瞰できたとのこと。
中通島、若松島など複数島を管轄する長崎県新上五島町は、「地域資源を活かした、自立した島になる」というビジョンのもと、長崎県が進める海業プロジェクトと関連した、島の戦略づくりやPRなどを民間企業と連携できないかという内容を発表した。
限られた時間のなか、参加地域にはそれぞれに、どんな課題があり、どのような企業と連携していくことが必要なのか、再考するきっかけが生まれた。
今後、参加地域は運営事務局のサポートのもと、今回議論されたアイデアなどをブラッシュアップし、2月中に立ち上げられるWEBサイト上で、島の課題やニーズ、将来的なビジョンなどを公開。3月の「しまっちんぐ2016」に向けて、島と連携できる企業の公募を行う予定だ。今年度から試験的に始まった新たな取り組み。今後、どのように展開していくのか注目したい。
【関連サイト】
国土交通省ホームページ