つくろう、島の未来

2024年12月10日 火曜日

つくろう、島の未来

28年間伊豆諸島と都心を結んだ「かめりあ丸」に替わり、「橘丸」が6月27日(金)から新しく就航した。6月19日(木)東京、竹芝桟橋で橘丸の就航レセプションが行われた。

■「かめりあ丸」から「橘丸」へ。伊豆七島航路に新船就航

5月23日より引退記念として、日本郵便からオリジナル切手も販売されたかめりあ丸(写真/渡邊和弘)

東海汽船株式会社の定期客船「かめりあ丸」は、老朽化に伴い6月7日(土)夜、最後の航海に発ち28年間の役目を終えた。

かめりあ丸は伊豆大島の名産ツバキの英名から名付けられ、全長102メートル、3,837トン、旅客定員638名の大型客船として1986年に就航。主に東京~三宅島・御蔵島・八丈島間、東京~大島・利島・新島・式根島・神津島間で運航してきた。7日(土)の夜に東京・竹芝を出発し8日(日)の朝に大島着。その後利島、新島、式根島、神津島を順に回った。関東は梅雨入りし雨の中の就航と思われていたが、伊豆諸島に着くころには晴天に恵まれ、各島では多くの島民が港でかめりあ丸を出迎え、横断幕や紙テープ、和太鼓で花道を飾った。

「この日を無事に迎えられて本当に良かった。それが1番の喜びです」

かめりあ丸船長の加藤治樹さんは語る。
「ファイナルには多くのファンの方も乗ってくださり、各島では役場をはじめ観光協会、島民と盛大にお見送りをしてくれた。お客様の中には最終の神津島まで行き、東京に引き返す方もいらっしゃり、最後までこの船とスキンシップを取ってくれました」と最後の航海を振り返った。

「ハイブリッド方式」によって低燃費、低騒音、低振動を実現した橘丸

かめりあ丸に替わり、同社が22年ぶりに建造したスーパーエコシップ「橘丸(たちばなまる)」が6月4日(水)、三菱重工業株式会社下関造船所で行われた引き渡し式を経て、19日(木)に東京・竹芝桟橋で就航記念披露式典が行われた。

橘丸は全長118メートル、5,681トン、旅客定員1,000(596)人(※)。主に東京~三宅島・御蔵島・八丈島の航路に就く。

※東京~御蔵島まで1,000人、八丈島までは596人。

橘丸の船名は昭和48年まで活躍し、かつて当時流行の最先端を行くブリッジの形状やアールデコ調の船内装飾の美しさから「東京湾の女王」と呼ばれた2代目橘丸を継承し命名。船体のカラーリングも先代に使用されたイエローオーカーを基調として、オリーブ色を織り交ぜたツートンのカラーリングを採用した。

式典ではトリスウイスキーのCMキャラクター等で有名なイラストレーターで、東海汽船名誉船長の柳原良平さんがカラーリングとネーミングを担当。記念式典でも柳原さんによる就航宣言が行われた。

同社代表取締役社長の山﨑潤一さんはあいさつで「人に優しい船、環境に優しい船、安全性を兼ね備えた船」の3つのコンセプトを掲げた。橘丸はバリアフリー化や個室の増設、和室の隣席との間に簡易衛立を設けるなどプライベートの充実も図った。推進効率と着離岸の安全性向上、低燃費、二酸化炭素の低排出などを実現する時代の先頭を行く船であると自信を表す。

橘丸船長の石井孝仁さんは「橘丸で快適な船旅を楽しんでほしい」と期待を込めた。橘丸は6月27日(金)に竹芝を出発、三宅島・御蔵島・八丈島行より運航を開始した。

(離島経済新聞社編集部)

     

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