つくろう、島の未来

2022年09月27日 火曜日

つくろう、島の未来

2015年4月、粟国島(あぐにじま|沖縄県)に「あぐに薬局」が開局した。島に1軒ある診療所と連携し、チーム医療に取り組む。粟国島の医療について、関係者に話を聞いた。

■8月から調剤開始。粟国島の医療ニーズを知るきっかけに

2015年4月、人口約760名の粟国島(沖縄県島尻郡)に島内初の薬局「あぐに薬局」が開局した。島に1軒ある診療所と連携し、粟国島の医療の充実を図る。7月までOTC医薬品(一般用医薬品)を取り扱い、8月3日から調剤を開始した。

薬局を運営するリエゾン株式会社と島の診療所は、2014年から意見交換を開始。島のチーム医療の実現を目指し、協力関係を築いてきた。リエゾン株式会社代表取締役の生駒雅宣さんは、「喘息の吸入薬を出すとしても、島のご高齢者に吸入器の使い方を教えるだけで1時間はかかる」と粟国島の医療事情を話す。「往診に薬剤師が付いていけば、医師と看護師の負担は軽くなる。粟国島には、医師、看護師、保健師が各1名いて、新たに薬剤師が加わり、各医療施設の事務員2名を含めて医療従事者が6名になりました」(生駒さん)。

「あぐに薬局」誕生のきっかけは、以前、生駒さんが勤めていた外資系製薬会社の先輩に背中を押されたことだった。現在はリエゾン株式会社で顧問薬剤師を務める先輩の加藤久幸さんは、生駒さんに薬局運営を勧めた経緯をこう語る。「東日本大震災の被災地に薬剤師として支援に行き、薬剤師の必要性を実感した。日本には薬剤師のいない僻地が多くある。島もそのひとつであり、リエゾン株式会社は沖縄県に薬局を開設していたので、『島にも出してみては?』と声をかけた」(加藤さん)。

小さな島には薬局がないことも珍しくない。加藤さんは「薬局をつくることで、今まで島の人々が享受できていなかった社会福祉を届けることができる。社会貢献に繋がると思った」と、開局の意義を語る。

8月から始まった調剤開始に、生駒さんは「粟国島の医療ニーズを知ることができ、予防の働きかけを開始できる」と期待を語る。「薬局の隣にある小中学校の生徒が遊びに訪れ『はじめて薬剤師を見た』と言われた。将来、薬剤師になって戻ってきてくれると嬉しい」(生駒さん)。


【関連サイト】
「あぐに薬局」ウェブページ

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