長崎県・平戸島の北方約4kmに位置する度島(たくしま)で、地元中学生を対象にした「度島まちづくり塾」が開催されている。開催の狙いや活動について特定非営利活動法人度島地区まちづくり運営協議会の森さんに話を聞いた。
地域に関わる機会を増やす「たくしま塾」の活動
度島(長崎県平戸市)は、人口772人(平成27年10月現在)の漁業が盛んな島。平戸市の二次離島であり、少子高齢化等の課題を抱えている。
「度島まちづくり塾(以下、たくしま塾)」は、地元の子どもがワークショップやまちあるきを通して、度島の魅力や課題について話し合い、地元への関心を高め、若い頃からまちづくりに関わる機会を増やすことを目的に開催されている。
今年度は市立度島中学校の1〜2年生17人が参加。中学校の総合学習や夏休み期間中に実施され、来年2月までに全6回の開催が予定されている。
7月9日に行われた第1回目のたくしま塾では、オリエンテーションとして、中学生が感じる度島の良いところや課題を出し合った。中学生からは「度島の伝統は守っていかないといけない」という意見が出た一方、「盆ごうれい(※)が大変」という意見も挙がった。たくしま塾を主催する特定非営利活動法人度島地区まちづくり運営協議会の森さんは「ひとつの物事に対して、いろいろな視点からの意見が出て、活発なやりとりが行われていました」と話す。
※盆ごうれい……度島地域に江戸時代から伝わる民俗芸能。毎年8月に行われ、島民の平和と豊年、豊魚を願う
また、夏休み中の開催となった第2回目ではまちあるきを実施。生徒は3グループに分かれ、島内の3地区をそれぞれ歩いて住民に話を聞くなど度島の魅力を探った。「普段、歩き慣れた道でも、『これ何だろう?』という好奇心をもって歩くことで、いつもとは違う発見ができたようでした」(森さん)
全6回のたくしま塾の活動を通して、生徒たちが感じたことや島への意見をまとめ、「まちづくり意見書」の策定を目指す。完成した「まちづくり意見書」は来年開催される平戸市まちづくり大会で発表する予定だ。
森さんは「たくしま塾の活動を通して、度島の魅力を教えるのではなく、自分たちで魅力に気付いてくれたらうれしい。私たち大人はそのお手伝いをしたいと思っています」と意気込みを語った。20年後、30年後、若い世代が住みたいと思える地域を目指して活動が続いていく。