つくろう、島の未来

2022年05月22日 日曜日

つくろう、島の未来

羽幌町立の北海道天売高等学校では、2015年度より島外からの生徒募集を開始。島の環境を生かした学習プログラムに取り組む同校の校長に、活動内容を聞いた。

■人口約370名の天売島で学ぶ。天売高校の生徒募集事業

人口約370名の天売島(北海道苫前郡羽幌町)は、絶滅危惧IA類の海鳥・ウミガラス(オロロン鳥)やウトウなど100万羽の海鳥と人間が共生する、世界的にも貴重な自然豊かな島。今年4月、天売島にある北海道天売高等学校が島外からの生徒募集を開始した。

在校生4名、教員含め約15名が集う天売高校は日本最小規模。その特性から、高校を「地域のコミュニティ」「観光資源」の一つとして位置づけ、島の魅力を生かした生徒募集活動に取り組んでいる。

町役場と協議し、教育委員会、同校の同窓生、PTA、教育振興会、一般社団法人 天売島おらが島活性化会議などが集まり、天売高等学校生徒募集推進協議会を発足。協議会が活動母体となり、羽幌町の教育振興事業の一つとして活動を展開する。

募集開始にあたり、2015年度から着任した羽幌町地域おこし協力隊メンバー1名と教育委員会が中心になり、札幌市、旭川市、留萌管内の公立中学数十校を訪問し、学校紹介を実施。7月18日、19日に天売島で開催したオープンスクールには、島内の中学生2名に加え、島外からも2名の中学生が参加した。

天売高校の田尻勝敏校長は、「天売島は知っていても、高校があることを知らない人が多かった。まず周知理解を深めることが目標」と話す。また、「保護者の中には、豊かな自然のもと、少人数で学ぶ環境が整っていることや、在学中の学費だけでなく大学への進学費用も貯めることができることに関心を持つ方がいた」と言う。

天売高校は夜間定時制のため、日中、島の地場産業に従事することで、学びながらも収入を得ることができる。「島外から進学する場合、一人暮らしになる。募集活動と並行し、職場や住環境の整備も進めている」(田尻校長)。

また、天売高校では2014年度より郷土史を学ぶ「天売学」も実施。地元住民を招いた学校開放講座として、平日夜の授業とは別に土曜日に開講している。

田尻校長は、「高校卒業後、島を離れる子もいる。島を離れる時、天売島という郷土に誇りを持って巣立てるよう、また帰島する際に郷土だと感じられるよう、『天売学』を通じて郷土を愛する心を育みたい」と話す。「島外から入学すること自体、勇気がいること。だからこそ、地域や学校は生徒の拠り所になる。働きながら学び、大きく成長してほしい」(田尻校長)。


【関連サイト】
北海道天売高校ウェブサイト

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