つくろう、島の未来

2024年12月14日 土曜日

つくろう、島の未来

中学校を卒業した子どもを世話役が預かり、寝屋親宅で寝泊まりさせて実の親兄弟のように絆を深める「寝屋子」の制度が残る答志島(とうしじま|三重県)で、2018年春より「寝屋子の島留学生」の受け入れを始める。担当者に、答志島初の島留学に向ける思いを聞いた。(写真提供:鳥羽市教育委員会)

鳥羽市立答志中学校

伊勢湾に面する三重県鳥羽市は、神島(かみしま)、答志島、菅島(すがしま)、坂手島(さかてじま)の4つの有人島を有し、最も大きな答志島には約2,100人が暮らしている。

答志島では島外への人口流出や少子高齢化が進行し、人口がピークだった1960年の約4,500人から半減。島内には鳥羽市立答志小学校と答志中学校があり、現在小学生66人中学生53人が在籍するが、5年後には中学生の数が統廃合計画の対象となる30人を下回る見込みとなっている。

寝屋子の精神生かし島留学受入

こうした状況を何とかしようと、2016年7月に住民有志らが中学校存続に向け「答志コミュニティスクール実行委員会」を発足。島留学制度の導入などを求める「地域未来宣言」を鳥羽市長に提出し、市へ対策を求めていた。

これを受けた鳥羽市教育委員会は、同実行委員会との話し合いを重ね、全国で実施されている島留学制度を参考に島留学の受け入れに向けて制度を設計。島民の協力を得て、2018年春からの島留学受け入れスタートに至った。

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伊勢湾に浮かぶ答志島の風景

古くより血縁関係のない子を預かり、実の家族のように育てる寝屋子制度(※)が受け継がれてきた答志島の離島留学制度は「島の仲間として留学生を迎えよう」との思いを込めて「寝屋子の島留学事業」と名付けられた。

※寝屋子制度……中学を卒業した男子数名を「寝屋親」に選ばれた地域の世話役の大人が預かり寝泊りさせるなど面倒をみる風習。世話をする家を「寝屋」、預けられる男子を寝屋子と呼ぶ。

かつて自身の実家でも寝屋子を預かっていたという、実行委員会の濱口正久さんは、「島外から来てくれるお子さんを預かる島留学も、寝屋子がある答志島ならなじみやすいと考えました。留学生には、温かな地域に見守られて自然の中でのびのびと学んでほしい」と話す。

「里親留学」「家族留学」「孫留学」を募集

留学生の受け入れは、2018年4月1日〜翌3月末までの1年単位。参加者の希望により児童・生徒が島の里親宅から通学する「里親留学」、親子で島に移住し通学する「家族留学」、島の祖父母宅から通学する「孫留学」が選択でき、里親への受け入れ負担金など、費用の一部を鳥羽市が助成する。

鳥羽市教育委員会では、12月に事業の説明会と島のPRを兼ねた現地見学ツアーを企画。「島民餅つき大会」と答志小学校の学習発表会に合わせて開催され、見学に訪れた家族らが餅つきに参加するなど、島の住民と交流した。

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左:「島民餅つき大会」の様子/右:答志小学校の学習発表会

2018年度は「里親留学」で小学生2名程度、「家族留学」で小・中学生とその家族1家族程度、「孫留学」で小・中学生1名程度を募集している。第一次募集期間はいずれも2017年12月15日(金)まで。鳥羽市教育委員会では、学校見学や島内見学を随時受け付けている。申し込み・問い合わせは鳥羽市教育委員会学校教育課へ(電話:0599-25-1265)。



【関連サイト】


鳥羽市教育委員会 離島留学ページ

     

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