つくろう、島の未来

2024年11月23日 土曜日

つくろう、島の未来

「われは海の子プロジェクト」は、海と魚の大切さを伝える活動を推進するNPO法人「海のくに・日本」(白石ユリ子理事長)が主宰するプロジェクト。東京都内各地の子どもたちが全国の離島を訪ね、暮らしや漁業、土地の歴史のことを学んでいます。
2012年度にスタートし、2015年度までに、奥尻島(おくしりとう|北海道)や粟島(あわしま|新潟県)、対馬島(つしまじま|長崎県)、与那国島(よなぐにじま|沖縄県)など、のべ17島で活動を実施。
2016年度は伊豆諸島の利島(としま|東京都)をテーマに、西新宿小学校(東京都新宿区)で出前授業が行われ、選抜された児童が実際に利島での現地取材を行いました。2017年3月18日に西新宿小学校で開催された「われは海の子フォーラム2016」におじゃましました。

ニュース番組仕立てで島を紹介「利島取材班」

2017年3月18日、西新宿小学校の講堂で、「われは海の子プロジェクト」の参加児童2グループ8名による発表と、島旅作家・写真家の河田真智子さんによる講演が行われました。

人口300人の利島を取材した「利島取材班」は、角田龍河さん、吉良美侑さん、秋元華奈さん、金剛寺咲綾さん、金剛寺真綾さんの5年生5名。班の名前を「カメリア報道局」と命名し、動画や画像を交えたニュース番組仕立てで、利島の取材報告が始まりました。

まずは特産品の紹介。島は椿の一大生産地で、20万本もの椿が植えられていることや、椿油の精油所で取材してきた椿油の製造工程が紹介されました。

続く漁業の紹介では、「荒波に揉まれた利島の魚介は味が良いこと」「網に小さい魚が掛かったら海に戻して資源管理を行っていること」「獲れた魚の一部は築地市場へ運ばれていること」などを報告。
利島村漁協でイセエビを網から外す作業に参加し、まだ生きているイセエビを傷つけないように気をつけながら、黙々と網に向き合う子ども記者の姿が、動画で紹介されました。

取材期間中に開催された、島の伝統芸能「宮塚太鼓」大会の報告も。「太鼓の発表会があると島の住民が総出で聴きに行く」など、取材班は島の文化についても、感動と驚きを込めて伝えていました。

他にも、利島の小学生との交流で、英語の授業で歌を一緒に歌う姿などが動画で紹介されました。家庭科の調理実習では、伊豆諸島の特産品「明日葉」を使った「ツナマヨネーズ和え」をつくったこと、また、明日葉の生産者は島に1軒しかいないことなども報告しました。島の子どもたちと一緒につくった料理は「利島を訪ねた思い出の味になりました」と取材班。

利島の「水」について伝えるレポートでは、島には地下水がなく、かつては大変水に苦労していたことや、雨水を貯めるために「四手(シデ)」という笹の枝を木の幹に結わえ、壺などに水を集めた先人の知恵が紹介されました。

カメリア報道局の5名は、「島の人たちは一人ひとりが主役で、協力し合っていた」「島の人たちが声を掛けてくれたり、知らないことがあると教えてくれたりしてうれしかった」と、各々利島での発見や所感を語り、発表を締めくくりました。

(後編に続く) 

     

関連する記事

ritokei特集