つくろう、島の未来

2024年12月14日 土曜日

つくろう、島の未来

離島の課題と可能性を学ぶオンライン勉強会開催中

11月14日(木)、東京ミッドタウン八重洲カンファレンスで「未来のシマ共創会議」が開催されます。

国内417島の有人離島は、人口減少・高齢化・地球沸騰化等の課題に対し、新旧の知恵とテクノロジーを活用した取り組みが展開される「日本の未来の先進地」。そんな離島を舞台に持続可能な世界をつくる共創を生み出す参加型イベントです。詳細は特設ページをご覧ください。

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当日まで、毎週木曜20~21時半に、共創会議の参加者を対象に、実践者や有識者から離島の課題と可能性について事前にインプットできるのオンライン勉強会を開催しております。テーマは、インフラ、資源の活用、医療、子育て魅力化、お金の話など……離島の持続可能な社会において直面するものばかり。

島々で現実に起こっている状況や取り組みを知っていただくことで、当日のセッションやワークショップがより立体的なものになるかと思います。そこで、勉強会の様子が分かる短めのレポートをご紹介。勉強会は共創会議終了前後までアーカイヴ視聴できますので、安心してご参加ください。

ここからは、リトケイのプロボノチーム「うみねこ組」の鈴木良壽さんが、事前勉強会Vol.8「島の課題と可能性×企業との共創」レポートをお届けします。

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うみねこ組のシティーボーズ鈴木です。2回目のレポートになります。

勉強会も8回目になり、行きたい離島がどんどん増えてきています。どこからお邪魔しようか、非常に悩ましいです…。

さて、今回のテーマは、「島の課題と可能性×企業との共創」。

人口約150名の飛島でさまざまな島外の企業と事業を進める合同会社とびしまの松本友哉さん、離島を専門とした引越し業を行うアイランデクス株式会社の池田和法さん、神集島でドローンの運用体制を構築された尾崎郁哉さんの3名をお迎えして、島の課題解決のための企業との共創についてお話しいただきました。

クラウド化で「一部離島」行政区分からコミュニティに拡大解釈

山口県出身の松本さんは、大学卒業後に飛島に移住。もともとデザインが専門だそうですが、移住後は漁師さんに弟子入りしたこともあり、今は漁業権も持っているとのこと。

松本さんが業務執行社員を務める合同会社とびしまでは、飲食施設や宿泊施設の運営など3次産業が主な業務。しかし、それだけでなく、水道施設や観光施設の管理など、行政からの委託事業なども行う島には欠かせない存在です。

毎年春に行われる例大祭で披露される神楽の楽人(がくじん)は、飛島での暮らしや歴史文化を支える担い手が人口減少に伴い減っていく中、新たな担い手となっているのもとびしまスタッフのみなさんです。

飛島で雇用をつくるために幅広く事業を展開してきた松本さんですが、「いち企業で事業に取り組むだけでは、離島に持続可能性はない」と感じたと言います。

そこで、もともとは山形県酒田市の一部である「一部離島」を拡大解釈。飛島がクラウド化して、共創を通じて、さまざまなコミュニティの一部となる状態を目指すことになります。

その拠点になるのは、「Cloud island」という名のオンラインコミュニティ。リモート技術を活かした海ごみ回収ロボットや、環境センシングを活かした漂着ごみの海岸モニタリングなど、テクノロジーで飛島の課題解決に取り組むプロジェクト「テックアイランド」を立ち上げ。現在は法人化されています。

また、「グッドライフアイランド」というプロジェクトでは、飛島のようなGOODな暮らしをデザインして発信するコミュニティが生まれています。

どこの地域においても人口減少が進む今、離島に限らず既存の枠組みの解釈を拡大していく必要があるように感じました。一方で、地域ならではの独自性をどう承継していくかも、同時に必要かなとも感じました。

感動の離島暮らしを叶える実働部隊

次にお話しいただいたのは、日本で唯一の離島引越し事業を展開するアイランデクス株式会社代表取締役の池田さん。立ち上げたきっかけは、11年前に離島へ引越す相談を友人から受けたことでした。

そして今では、離島でのその後の暮らしも守っていくため、引越し事業だけでなく、宿泊事業やシェアハウス事業、学生寮運営など、多層的に事業を展開されています。

離島引越し便事業は、主に3つの共創パターンがあるそうです。その違いは、離島で作業する業者さんの違い。引越しの流れにおいて、それぞれの離島で対応できることにアイランデクスさんが合わせる形で引越し作業を進めていきます。

他の事業でも他社と共創して、離島の暮らしを守るアイランデスクさん。

池田さんからは「行政の対応範囲が狭まるときに、住民が求めるサービスをどう共創で埋めていけるか」が、今後の共創を考える上で1つの論点になるのではないか、と参加者へ問いかける場面もありました。

行政の対応範囲が狭くなり行政サービスに空洞が生まれる中で、離島の暮らしを守っていくために、誰と誰がどのように共創してその隙間を埋めていけるのか。

池田さんの問いかけの視点に、これからの行政が担うべき役割はなんだろうか?と考えさせられました。また、ないものから創造し、離島での暮らしをどう守っていくかという、シマ思考に自然といきつく問いかけでもあったなと感じました。

持続可能であるため島民自身が魅力を感じられる共創を

最後にお話しいただいたのは、尾崎さん。

2023年度に立ち上がった離島をデジタル実証フィールドとして官民学連携で地域課題の解決に取り組む「SAGAスマートアイランドプロジェクト」の実証調査の担当者として、神集島に発足したドローン隊の事例を共有していただきました。

ドローン隊の発足を主導したのは、九電ドローンサービス。九州電力として、社内でドローンを使った設備の点検などをしていたノウハウを、世間に広く提供しています。

実証調査を進める上でのポイントは、「島民自らの手で、解決できる体制を整える」ことだったと語る尾崎さん。ドローンの運用を、将来にわたっていかに島民のみなさん自身が担っていけるかについて考えながら進めていったそうです。

神集島で構築された運用体制の中心は、地域企業であるかしわ産業さん。社内でドローン事業を立ち上げ、ドローン講習受講者12名によるドローン隊を発足。島民の方々からの依頼を伝えるほか、機体管理も行います。

また、災害発生などの非常事態時には、自治体が求める被害状況確認に対して、地元消防団にドローンを貸し出すことで、迅速に報告できるような仕組みも構築しました。

島民自治による運用体制構築の上で欠かせなかったのは、ドローンを飛ばす楽しさだったそうです。

地域課題の本質やその解決方法について、関係者間で丁寧にコミュニケーションをとることが土台にはなっているものの、その過程における純粋な楽しさも重要だと感じた時間でした。

文:鈴木良壽

未来のシマ共創会議、参加受付中です。

未来のシマ共創会議への参加チケットは、イベント前日の11月13日23:59まで販売中です(オンライン参加は上限なし、会場参加は完売し次第終了)。繰り返しになりますが、すでに終了した勉強会についても、共創会議の終了前後までアーカイヴ視聴が可能となります。

離島経済新聞社が、「なつかしくて あたらしい ミライの島を 共につくろう」をテーマに、産学官などの垣根を越えて語り合い共創するまたとないイベントです。オンラインでの参加や後日視聴も大歓迎。奮ってご参加ください。

「未来のシマ共創会議」チケット販売ページ
「未来のシマ共創会議」特設ページ

     

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