つくろう、島の未来

2020年07月06日 月曜日

伊豆諸島の八丈島(はちじょうじま|東京都)では、1999年より地下のマグマがもたらす熱を利用した地熱発電が行われ、ベース電源として再生可能エネルギーが利用されてきた。全国で再生エネルギーの活用が進むなか、地熱を活用したエネルギー自給と産業振興の取り組みでモデル地域を目指す八丈島の取り組みを追った。

■火山島の特性生かし、地熱活用でエネルギー自給と産業振興

東京・竹芝港から南方海上287キロメートルに位置する八丈島では、火山島である特性を生かし、1999年より地下のマグマがもたらす熱を利用した地熱発電が行われてきた。東京都と八丈町は、地熱発電を現在よりも拡充し、発電事業と関連した島内の産業振興を構想。発電事業者の公募も想定し、今年度中にも事業の枠組みを固める見通しだ。

約8,000人が暮らす八丈島の電力供給は、東京電力の内燃力発電所(ディーゼル発電 総出力11,100キロワット)、地熱発電所(同3,300キロワット)が主に担っている。地熱発電所は、島の最低需要電力相当の約2,000キロワットを昼夜問わず発電することが可能なベース電源(※)であり、電力需要等に応じてディーゼル発電機を組み合わせて運転している。深夜など電力需要の少ない時間帯は、ほぼ地熱発電だけで島の電力をまかなうことができる。

※ベース電源:
季節、天候、昼夜を問わず、一定量の電力を安定的に低コストで供給できる電源。電源には、このほかに「ピーク電源(季節や時間帯によって高まる電力需要に応じて供給する電源)」と「ミドル電源(中間的役割の電源)」がある。

八丈島の地熱発電所は三原山の中腹にある。地中に掘られた深さ1,650メートルの井戸から地中の隙間に溜まる約300度の熱水を取り出す。その際、地中にあった高圧の熱水は気化して約170度の蒸気に変わり、この蒸気でタービンを回し発電している。発電を終えた温水は40度程になり、園芸温室の暖房などに利用されてきた。

2013年、東京都と八丈町は、地熱発電による島のエネルギー自給率向上と、観光や農業などの産業振興を目的とし、地熱発電の規模を6,000キロワット程度に拡大する構想を発表。今後も地熱発電の拡大に向けて検討を進めている。

地熱発電所のある三原山(写真提供:八丈町企画財政課)

町の基本構想の指標の一つに「クリーンアイランドを目指す町」を掲げる八丈町は、2014年に「八丈町地域再生可能エネルギー基本条例」を制定。併せて事業者が島内で再生可能エネルギーを利活用する際の基本ルール「八丈町再生可能エネルギー事業に関するガイドライン」を策定した。ガイドラインには事前に実施した町民からのパブリック・コメントが反映され、事業の検討段階での地域へ向けた事前説明会の実施や、自然環境や住民の生活環境への配慮など、事業者が守るべき事項が示されている。

地熱発電の拡大へ向け、八丈町では新規の発電事業者の公募を想定する。「当面は現行の送電網を利用した現在と同規模以上での事業化を目指し、島内の電力需給バランスに応じて徐々に拡大を図っていくほうが、新規の事業者も応募しやすいのではと考えています」(八丈町企画財政課担当者)

東京都と八丈町による検討と並行して、地域の商工会を中心に、発電で出る温水の農業利用や水産物養殖など、地場産業への地熱活用についても検討が進められた。「環境の保全とともに、地域住民に適切な利益がもたらされるよう、新規の発電事業者と町が結ぶ協定のなかでは、温水利用を含む地域の取り組みへの協力も求めていきたいと考えています」(同担当者)。地熱発電の拡大を島全体の活性化につなげたい考えだ。

関連する記事

ritokei特集