小笠原諸島・母島(ははじま|東京都)のキッズサッカークラブ「FCフォルサ母島」が、この夏開催された「KWNグローバルサミット2017」(主催・パナソニック株式会社)に小学生部門の日本代表として参加。世界18の国と地域から集まった子どもたち約100名とともにフィールドワークや発表を行い交流した。最終日にはKWNグローバルコンテストの表彰式も行われた。
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世界の子どもたちが対話の中で理解を深め合う
2016年、パナソニック株式会社が主催する映像制作を通じた教育支援プログラム「キッド・ウィットネス・ニュース(KWN)」に初参加した母島のサッカーチーム「フォルサ母島」は、KWNで
日本コンテスト小学生部門の「最優秀賞」を受賞
し、この夏開催された世界大会への切符を手にした。
約100名のキッズジャーナリストたちが東京に招致された。8月1日から5日間にわたり開催された「KWNグローバルサミット2017」の2日目は、8グループに分かれ、「食・衛生」「伝統と革新」「異文化理解」などをテーマに
フィールドワークを実施。
小学生部門の日本代表として参加した「フォルサ母島」の寺戸藍波(あいな)さんと宮澤波生(なるう)さん、和田莉奈さんの3名は、マレーシア、カナダ、香港の子どもたちと7名で「日本科学未来館」(江東区)や浅草の版画工房などを取材した。
続く3日目は、グループごとにカードを使いながら子どもたち自身が未来へ残したい「大切だと思うもの」をディスカッション。スタッフらによる通訳サポートなどを受けながら各グループの子どもたちが話し合い、用意された地図に厳選したカードと前日の取材で撮影した写真を貼り、より良い未来へ向かうための社会へのメッセージをまとめた。
香港の都市に住むSteve Lamさんの「すぐに配達してくれるネットショップがあるので、スーパーマーケットは不要」との発言に、東京から船で片道26時間かかる母島の波生さんが「島だと注文した商品が届くのに時間がかかるから、スーパーは必要」と応じるなど、子どもたちは意見を交わしながら互いへの理解を深めている様子だった。
英語を日常的に使うカナダや香港の子どもたちに比べ、母島の子どもたちには言葉の壁があったものの、片言の英語や表情をつかって、何とか自分の考えや気持ちを伝えようとしていた。
小笠原諸島の衣装で発表会と授賞式に参加
最終日は、参加者が各々の民族衣装で出席した。「FCフォルサ母島」のメンバーは東京都指定無形民俗文化財でもある小笠原の「南洋踊り」の衣装で登場。「どこから来たの?」と各国の参加者から注目を集めた。
子どもたちから世界へ向けた「未来への提言」の発表では、小学生たちが前日に制作した地図を掲示しながら、一人ずつ未来へ向けたメッセージを発表。中学生以上は、各グループが渋谷や秋葉原、浅草など東京の各地などで視察し感じたことも踏まえ「スポーツ」「環境」「クールジャパン」など、各グループのテーマ別に英語で発表を行った。
続いて、各国のKWN映像コンテストで優勝した26作品を集めたKWNグローバルコンテストの表彰式が行われた。表彰式では18カ国26作品の中から、小学生部門、中学生・高校生部門別に、グローバルシティズン賞などの部門賞7賞と共に、各グランプリが発表された。
「FCフォルサ母島」は惜しくも小学生部門で入賞を逃したものの、2日間同じグループで活動したマレーシア代表のロング・セピリング小学校の作品「THE POWER OF HANDS」が「ベスト・ストーリーテリング賞」を受賞。母島の子どもたちは舞台上のIgat Nyamunさんに拍手を送り、共に過ごした仲間の受賞を祝った。
中学生・高校生部門では、日本代表の福島県立磐城高等学校の作品「Open.」が「グランプリ&ベスト・Kファクター賞」を獲得し、優勝した。発表会の後にはレセプションが開かれ、各国の子どもたちや引率の教師らが交流した。
「FCフォルサ母島」代表の宮澤 貫(とおる)さんは、「はじめは気後れしていた島の子どもたちが、最終夜はホテルで各国代表の部屋へ押しかけていくほどコミュニケーションに積極的になった」と振り返る。
世界の子どもたちと交流した数日間を経て、母島の子どもたちは「もっとたくさん英語で話したい!」「気持ちを伝えたい!」との思いを強め、母島で英語クラブを結成しようとの声も上がっているという。
宮澤さんは「最高の挑戦の場をつくってくださったKWN事務局に心から感謝します。2017年も子どもたちに参加を呼びかけたい」と話した。
【関連サイト】
キッズ・ジャーナリストの「未来社会への提言」〜KWNグローバルサミット2017
KWNグローバルコンテスト2017