つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

奄美群島本土復帰60周年関連イベントレポート第2弾。10月19・20日の2日間、奄美市笠利町にある奄美パークで島内外のアーティストらが出演する大規模な音楽イベントが開催されました。奄美群島(あまみぐんとう|鹿児島県)が日本に復帰して60周年を数える今年。“音楽を通じて奄美を盛り上げよう”という想いが溢れた2日間を麓がレポートします。

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19日:「Setting Sun Festival vol.4」

「その年の最後の夏を飾る夏フェス」として2010年にスタートし、今年で4回目となった「Setting Sun Festival vol.4」。地元奄美大島出身アーティストである、元ちとせさん、中孝介さん、カサリンチュらを中心に、繋がりのあるアーティストを招き、毎年開催しています。今年の目玉となったゲストは、出演4回目のキマグレンと、奄美初上陸のDEENの2組。

天候にも恵まれ、広がる青空と海を臨む会場に吹き抜けるやや冷たい風は心地よく、まさに「最後の夏フェス」にふさわしい幕開けとなりました。

トップバッターは全国ツアーも開催中の中孝介さん。しっとりとした旋律にのせ、優しい歌声が奄美の空に広がります。代表曲である「花」では、圧巻のアカペラに始まり、声、歌詞、メロディどれもが叙情感にあふれ、観客を魅了しました。

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奄美を代表する歌姫であり、地元アーティストの姉的存在でもある元ちとせさんは真っ赤な衣装で登場。陽が沈み、薄闇が会場を包み込む幻想的な空間に響くのは、海を思わせる独特の抑揚と島唄に由来する裏声。バラード、アップテンポ、洋楽メドレーを交えた全6曲は、誰も追随できない独特の「ちとせワールド」。満月が煌々と照らすなか、会場は歌姫の世界観に染まりました。

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ゲスト陣もパワフルなパフォーマンスで会場を盛り上げます。キマグレンの登場に、会場は手拍子で歓迎。吉川友さんを交えた「きっかレン」としても2曲を披露しました。
DEENは、90年代の大ヒット曲「このまま君だけを奪い去りたい」や新曲を披露。誰もが知るヒット曲と、軽妙な笑いを交えたMCで観客を楽しませました。

トリを務めたのは会場のある笠利町出身アーティスト「カサリンチュ」。QUEEN「We Will Rock You」の替え歌「We will 60」で会場の心をつかむと、アニメ主題歌となる新曲「New world」なども披露し、会場のボルテージは最高潮。アンコールには出演者全5組が登場し、奄美の祭りに欠かせない「六調」で熱い夜を締めくくりました。

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20日:「夜ネヤ、島ンチュ、リスペクチュッ!!」

「夜ネヤ、島ンチュ、リスペクチュッ!!」とは「今宵は島人に敬意を!!」という意味で、2002年に地元ラジオ局とアーティストが立ち上げたイベント。島内外で開催され、19回目を数えます。
奄美パーク内の会場には2つのステージが用意され、奄美群島12市町村の青年団と各市町村出身のアーティストとがリレー形式でそれぞれの舞台に立ちました。

オープニングは奄美を代表する若手唄者らが並び、島唄にのせて「♪みんなでつなぐ復帰の思い」「♪しまっちゅ魂忘れるな」などを熱唱。奄美群島復帰60周年の節目の年として島への想いを歌い上げました。続いて群島内から集まった出演者が次々に登場。ときに笑いがわき起る楽しい舞台に、拍手をおくり歓声をあげながら楽しむ観客の姿が目立ちました。

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奄美群島は終戦後、約8年間に及ぶ米軍政府統治下を経て、1953年に日本復帰を果たしました。日本復帰は、島人たちが熱い思いを抱いて一致団結し、勝ち取った島人の誇り。「がんばってきた人たちのつながりがあるから、今、私たちはここにいる」という元ちとせさんの言葉通り、60年前から続く島人の熱いエネルギーは、消えることなく脈々と今につながっている。そう改めて感じる2日間でした。

     

離島経済新聞 目次

奄美群島日本復帰60周年記念イベントレポート

戦後、約8年間アメリカ軍統治下にあった奄美群島は今年、日本復帰60周年を迎えます。節目の年にあわせて奄美ではさまざまなイベントが開催されています。2013年の秋から冬にかけて開催されたイベントの数々を麓がレポートします。

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