つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

9月8日から3日間、鹿児島県奄美大島(あまみおおしま|鹿児島県)南部の瀬戸内町・加計呂麻島(かけろまじま|鹿児島県)を舞台に、島外から独身女性7名を招き独身男女の交流ツアー「島コンin瀬戸内町2017」が開催された。(写真提供:瀬戸内町)

島の人口減少に歯止めをかけたい

鹿児島県奄美大島(あまみおおしま)南部に位置する瀬戸内町は、古仁屋(こにや)など奄美大島南部の23集落と、2次離島の加計呂麻島(かけろまじま)30集落、請島(うけしま)2集落、与路島(よろしま)1集落からなり、4島に5,231世帯9,026人(※1)が暮らしている。

※1…2017年8月末時点

瀬戸内町の人口は、1980年以降一貫して減少傾向にあり、2060年には現在の約4割の3,911人になると推計されている(※2)。この人口減少に歯止めをかけるために、瀬戸内町は「瀬戸内町まち・ひと・じごと創生総合戦略」を策定し、合計特殊出生率の向上、転入者の増加、転出者の抑制に取り組み、基本目標の一つに「若い世代の結婚・出産・子育ての希望を叶える」が掲げられている。


※2…参考資料:「奄美大島人口ビジョン」(20016年/奄美市、大和村、宇検村、瀬戸内町、龍郷町)

瀬戸内町は、人口減少に少しでも歯止めをかけるため島コンを企画。旅行業免許を持つ一般社団法人奄美群島観光物産協会の主催で、9月8日から3日間のプログラムで町内男性と島に興味を持つ島外女性が交流する2泊3日の島巡りツアー「島コンin瀬戸内町2017」が開催された。

島外女性のツアー参加費は、2泊5食付きで15,000 円(奄美大島までの往復交通費は自己負担)
。ツアー開催にあたり、奄美大島の市町村が観光振興を目的に出資する奄美満喫ツアー実行委員会のイベント・コンベンション開催助成金も活用した。

広報活動は、五島列島などで婚活イベント開催の経験があるSHIMAKON JAPAN(島コンジャパン)の協力を得て、SNSでの告知など島に興味のある女性をターゲットに告知を行い、関東・関西・鹿児島から20〜40代の参加者7名を集めた。

和気あいあいと男女が交流

「島コンin瀬戸内町2017」のツアー初日、参加者女性7名が奄美空港に降り立った。空港からは司会者と瀬戸内町地域おこし協力隊の長紘子さんが同行し、マイクロバスで初日の宿泊地・瀬戸内町古仁屋(こにや)に移動。車中では互いに自己紹介などをし、女性同士打ち解けた雰囲気で古仁屋に到着した。

その夜は古仁屋でウェルカムパーティーが開かれ、瀬戸内町出身の30〜50代男性10名が女性たちを歓迎した。男性陣は初め緊張した様子だったが、司会者の機転の利いた進行で盛り上げ、お酒も入り少しずつ打ち解けていったという。

左:加計呂麻島でのマリンレジャー/右:海を眺めながらのBBQ

翌日は、国立公園に指定されているヤドリ浜など瀬戸内町内の観光スポットを巡り、チャーター船で加計呂麻島へ。自然豊かな加計呂麻島でシーカヤックやシュノーケリングなどのマリンレジャーを楽しみ、交流した。夜のバーベキューでは、参加男性の1人から島で獲れたイノシシ肉も振る舞われた。

ツアー中は、瀬戸内町の職員や地域おこし協力隊が同行しツアー全般のサポートを行った。また、参加女性一人ひとりと面談し、楽しい雰囲気づくりやメンバーのつなげ役として大いに貢献した司会者のおかげで、和気あいあいとした雰囲気でツアーが進行した。

イベントをきっかけに島が身近に

2日目夜のカップリングタイムでは、4組のカップルが誕生した。イベント終了後のアンケートでは、「多くのアクテビティがあって大満足」「もっと島のことを知りたいと思った。次回は長く滞在したい」などの感想が寄せられた。

「気さくに話せる雰囲気をつくってくれて、安心してすごせた」「メンバー同士も仲良くなれた気がする」と、スタッフの気配りも高評価。アンケートに協力した参加女性全員が「また瀬戸内町に訪れたい」と回答した。参加女性同士が連絡を交換し合ったり、男性陣はツアー後も飲み会を開くなど、ツアーをきっかけに新たな交流も生まれている。

瀬戸内町への移住も見据え、真剣交際中のカップルもいるという。島コンを担当した瀬戸内町地域おこし協力隊の長紘子さんは、「婚活イベントとしては手応え充分でした」と振り返る。長さんは、人口減の進む島に交流人口を増やすことも大切だと考えている。「この機会に瀬戸内町を知ってもらい、地元の方と交流することで地域を身近に感じていただけたのでは。また島を訪ねてほしい」と話した。

     

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