【#01はじまりは世田谷「株式会社 ものづくり学校」秋元さんインタビュー】今年4月、島根県隠岐郡隠岐の島町で新しい試みが始まりました。廃校となった小学校を利用して、島に若手起業家やクリエイターを呼び、島の魅力を発信する「隠岐の島ものづくり学校」。そのその開校までの道のりと、現在のチャレンジをお伝えしてゆきます。第1回は、運営を手がける秋元さんへのインタビュー。このプロジェクトが目指すものとは?
2012年4月、島根県の隠岐の島町に(=道後「どうご」とも呼ばれます)
「隠岐の島ものづくり学校」が開校しました。
隠岐の島ものづくり学校とは?
「ものづくり学校」と聞いて、
「えっ、職業訓練学校?」と思われた方。違います。
「隠岐の島ものづくり学校」は、隠岐の島でものづくりを行ったり、
島の地域資源を生かした新しい事業をはじめたいと考えている
「若者の挑戦」を応援するための施設。
共同オフィスや会議室、最新の映像配信スタジオなどが設置されており
都市と隠岐の島、2拠点で活動する人にとっても便利な施設が揃っています。
また、ギャラリーやイベントスペースも設置され、
隠岐の島の新しい地域のコミュニティスペースにもなっています。
なぜ、「学校」と名付けられたのか。
それは、この施設が、廃校となった隠岐の島町の
「旧・中村小学校」の跡地を改装して作られているため。
2011年、少子化によって統廃合が決定された4つの小学校の中から、
「地域の経済を活性化させる拠点」として中村小学校が選ばれ、
島民と、島外から来た人との新しい交流の場所となるべく
「隠岐の島ものづくり学校」へと生まれ変わったのです。
来年4月には、開校を記念し全国からクリエイターや
隠岐の島町に関心のある人々を招致するオープニングイベントを検討中。
島外の人を呼び込み、島の魅力を発信していく
島の中継基地として色々な活用の方法を探っていこうとしています。
東京↔島根、850KMの距離を乗り越えて
「隠岐の島ものづくり学校」の姉妹校は、
東京・世田谷にある「IID 世田谷ものづくり学校」。
「旧・池尻中学校」の跡地を活用し、
クリエイターのオフィススペースと、
地域の方々のためのコミュニティスペースとして生まれ変わらせた、
民間主導の廃校再生利用では、初の成功例として注目されています。
2校の開校を手がけ、管理運営を担当する
「株式会社ものづくり学校」は島ではなく、東京・世田谷にある企業。
東京と隠岐の島、850kmの距離を越え、
隠岐の島町と手を取り隠岐の島の魅力を発掘しながら
「隠岐の島ものづくり学校」を創りあげてきた
株式会社ものづくり学校の秋元さんに、
「隠岐の島ものづくり学校」開校のきっかけをお聞きしました。
島の少子化から、どうプラスを生み出すか
秋元さん:
「少子・過疎化問題に伴い、
全国で小中学校が次々と廃校になっています。
誰もが慣れ親しんだ教室や校舎といった地域の中心にある
広大なスペースをどのように活用していくか。
少子化という深刻な状況がある一方、
町のなかに出現する跡地の可能性を考えることは、
私たちを非常にわくわくさせます。
島根県の離島・隠岐郡隠岐の島町も例外ではありません。
小中学校が相次いで統廃合され、
その跡地の活用が重要課題となっていました。
『隠岐の島ものづくり学校』の始まりは、
2008年に私たちが東京で開催した『ものづくり学校の作り方』
というセミナーで、来場いただいた隠岐の島町町長から
依頼を受け2010年に隠岐の島で、同セミナーを開催しました。
島と私たちで、繰り返し話し合いながら活用のプランを練り上げ、
施設の改修などを終え、2012年4月にスタートしました。
先例となる『IID 世田谷ものづくり学校』では、
クリエーターが働きながら学び、遊び、異業種間で交流することで、
この場所ならではの事業を生み出し、
新しいコミュニティと地域再生モデルの先駆けとなっています。
この事例で培ったノウハウや、
東京と隠岐の島のネットワークをフルに活かしながら、
隠岐の島町の魅力を引き出し、
新しい価値を生み出していく「場」として活用したいと思います。」
隠岐の島の魅力を発信する情報基地に
秋元さん:
「具体的には、施設内にある24の教室を、
オフィススペースとして貸し出します。隠岐の島在住以外の人でも、
気軽に立ち寄れる、一部は短期間利用が可能な
コワーキングスペースにする予定です。
隠岐の島町でがんばりたい、と本気で考えている企業や、
ものづくりを生業とするクリエーターが集うことで、
互いに刺激を受けあい、新たなビジネスが生まれる場になれば。
オフィス以外にも、観光客が立ち寄れるギャラリーやイベントスペース、
映画の撮影などでの教室の使用も可能ですし、
また、隠岐の島の資源や人材を活用する方法を考えるコンサル事業、
隠岐の島の伝統や資源の価値を伝えるPR事業も手がける予定です。
観光情報やパンフレットでは見えてこない
隠岐の島の魅力を、情報発信していきたい。
そのプラットフォームとして、開校に先駆け
『隠岐の島ものづくり学校』のホームページを開設しました。
学校の紹介やイベントの開催予定がチェックでき、
さらに隠岐の島の『島情報』『島の人』『島の仕事』ページを設け、
ものづくり学校のスタッフが一軒一軒通ってインタビューを行っています。
ぜひ、ご覧ください。」
秋元さん、ありがとうございました。
来年4月に開催予定の、隠岐の島ものづくり学校の
オープニングイベントの紹介ページには、
さっそく、世田谷ものづくり学校のクリエイターと
隠岐の島町の有志が協力して作った隠岐の島のプロモーションムービー
「スマイルアゲイン」が公開されています。
企業と離島が手を結ぶことで、島々の課題をこえ、
古い施設が島の宝物として生まれ変わる可能性もある。
『隠岐の島ものづくり学校』がどのようにして作られ、
どうなっていくのか離島経済新聞からお伝えしていきます。
次回は隠岐の島町サイドより、
町の定住対策課の方のインタビューをお届けします。
「隠岐の島ものづくり学校」公式ウェブサイト
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