小豆島(しょうどしま|香川県小豆郡)の県立小豆島高等学校が1月29日、岩手県立釜石高等学校と兵庫県立長田高等学校とともに、第88回選抜高校野球大会(甲子園球場、3月20日開幕)の21世紀枠推薦に選ばれた。1925年の野球部創設以来初となる甲子園出場に、島は祝福ムードに包まれた。
当日、2年生の部員は修学旅行中のため不在で、1年生が学校内の体育館で地域の関係者や保護者とともに推薦校の発表を待ち構えた。岩澤正俊校長によって吉報が届けられると、一同は喜びを爆発させた。
21世紀枠とは、第73回大会(2001年)から導入された出場枠のこと。一般選考枠とは別に、部員数や練習環境、立地、自然災害、気候などによる困難さを克服していること、地域貢献への取り組みをしていること、予選大会で戦績を残していることなどを条件として出場校を選出する仕組み。
現在、小豆島高校の野球部員数は19人(2年生8人、1年生9人、マネージャー2人)で、全員が島の出身。このチームは昨年開かれた秋季県立予選大会秋季四国地区高校野球香川大会決勝で、県立高松商業高等学校を延長戦の末2-1で破り大会初優勝を飾った。こうした戦いぶりを通じて、快挙を手繰り寄せた。
杉吉勇輝監督によるチームづくりの特徴は、部員の自主性を重視する「ボトムアップ方式」。一人ひとりに自律と自立を求めて、部員が練習メニューを考えたりミーティングを開いたりするほか、「1人1役リーダー制」を敷いて、それぞれが担当する道具の管理などに取り組む。高校生は大人であり、大人は子どもに比べて自由が多いが、それだけの責任を負うことを理解させるようにしているという。
島で生まれ、同校OBでもある松本雅文教頭は「当校は2017年度に新設校に統合され、閉校となります。それだけに、小豆島高校として甲子園出場を掴んでくれて誇らしく思います。地域の方々からいただいた支援にも報いることができたのではないでしょうか」として、「野球部員や生徒、地域の皆さんの喜ぶ姿を見て、うれしさはもちろんのこと、大変なことが起きたんだなという驚きがあります。現チームは全員が主役という意識を持って、気迫を全面に出して試合を戦うのが特徴なので、ぜひ甲子園球場でも良さを発揮して欲しいですね」と期待を寄せる。