今年7月、島内外問わず参加希望者に向けて佐渡島(さどがしま|新潟県佐渡市)加茂湖で刈り取られたイネ科ヨシ属の多年草・ヨシを材料にワークショップとレクリエーションで遊ぶイベント「ヨシ舟づくりに挑戦しよう!」が開催された。主催は佐渡島加茂湖水系再生研究所と一般社団法人生きもの語り研究所。刈り取ったヨシを廃棄せず有効活用する目的で企画された。
目指すはヨシ原による湖の自浄作用再生。5年5艘でレース開催にも期待
「ヨシ舟づくりに挑戦しよう!」は参加人数30名を目標に告知されたが、2日間で述べ100名以上が参加。子ども連れ家族も参加し、ヨシ舟が浮かんだ瞬間には「浮いた!」と歓声があがり盛況だった。
同イベントを主催した佐渡島加茂湖水系再生研究所は、両津湾とつながる汽水湖の水質調査・再生に取り組んでいる団体。漁業者と市民が連携して、湖岸のヨシ原再生を進めている。
同研究所代表の藤井英樹さんは「ヨシ舟は古代から移動手段として活用されてきたと言われています。加茂湖のヨシを刈っていたので、実際にその舟をつくってみようという話になりました」とワークショップ開催のきっかけを話す。
湖にヨシが群生する一帯をヨシ原という。昔から水の自浄に一役買ってきた。近代化に伴い、現在の加茂湖の湖畔には、鉄の護岸が増え、ヨシ原のような自然の護岸が減っている状況にある。湖の自浄力を高めるヨシ原の再生のためには、綺麗なヨシを繁殖できるよう、毎年刈り入れが必要だった。同イベントの開催により、ヨシを廃棄せず有効活用する見通しが立った。
ヨシは茅葺き屋根の素材として利用されるほど非常に耐久性に優れた植物。ヨシで編んだ舟は5年保つと言われ、「毎年1艘ずつつくり続けて5年後にヨシ舟レースを開催してもおもしろそう」(藤井さん)。
「加茂湖の活動に参加する人たちは、みんな子どもの頃に湖で遊んでいたことがあります。水辺で子どもたちが遊べるように保全していきたい」(藤井さん)。藤井さんにとって、「ヨシ舟づくりに挑戦しよう!」で楽しく遊ぶ子どもたちの声を聞き、うれしそうな顔をする大人たちの姿は印象的だったという。
【関連サイト】
佐渡島加茂湖水系再生研究所
生きもの語り研究所