つくろう、島の未来

2024年11月22日 金曜日

つくろう、島の未来

行政と高校が一体となり、島内にある久米島高校の「魅力化」に取り組む久米島(くめじま|沖縄県久米島町)。2014年度から始まった「久米島高校魅力化プロジェクト」の拠点となるべく、4月4日、離島留学生の宿泊施設となる教育寮と、町営塾を兼ね備えた久米島町地域支援交流学習センター「じんぶん館」(運営:久米島町・NPO法人NEWVERY)の開所式が行われた。

外観

久米島町地域支援交流学習センター「じんぶん館」

︎島の未来を支える人材を輩出する学びの場

人口減少と少子高齢化が進む久米島では近年、島内にある県立久米島高等学校の入学希望者の定員割れが続き、園芸科の生徒募集停止・廃科の危機に直面していた。

学科の廃止は、基幹産業である農業の担い手不足や、学びの選択肢減少に伴う島外進学者の増加につながり、島全体の将来に関わる。そこで、久米島町では2014年度から「久米島高校魅力化プロジェクト」をスタート。

同プロジェクトでは、行政と高校、民間企業・団体が協働で、高校のカリキュラム改善や町営学習塾の設置を通して、久米島高校をより魅力的なものにすると同時に、全国から生徒募集を行い、積極的に島外からの生徒を入学させる離島留学制度などに取り組んでいる。

4月4日に開所した「じんぶん館」は、島外から入学する生徒が暮らす寮と、学習センターなどを兼ねる複合施設。1階に学習センター(町営学習塾)と寮生の食堂、2・3階が寮生の居室となる。

入寮式

4月6日には入寮式を開催

学生寮というと、共同生活を行う「生活寮」が一般的だが、「じんぶん館」は寮を学びの場として捉え「教育寮」と呼称される。

島出身の生徒と島外の生徒が互いに刺激し合うことで学習習慣を身につけたり、地域の人々との関わりや文化・伝統などからたくさんのことを吸収できるなど、学校での勉強だけでは補えない人間力などが学べる場づくりを行っていくという。

「じんぶん館」のハウスマスター(寮の管理責任者・寮長のような役割)を務めるNPO法人NEWVERY教育寮事業部の中野友美子さんは、「じんぶん館のコンセプトは『自分で探し、選び、決断する力』。生徒が、共同生活のなかで切磋琢磨しあいながら、様々なことに挑戦するためのエネルギーをためる場所として、地域の方々に愛される寮にしていきたいと思っています。離島留学生用の宿泊施設が主な目的にはなりますが、地元の高校生も含めて島内外から様々な人が集い、久米島の文化を育む拠点にしたい」と話す。

今年度の入寮生は、13名。今後、入寮生たちが寮生活を通じて、島への愛着を育み、島の未来を支える人材を輩出する学びの場を目指していくという。

     

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