つくろう、島の未来

2024年11月24日 日曜日

つくろう、島の未来

戦後、約8年間アメリカ軍統治下にあった奄美群島(あまみぐんとう|鹿児島県)は今年、日本復帰60周年を迎えます。節目の年にあわせて奄美ではさまざまなイベントが開催されています。2013年の秋から冬にかけて開催されたイベントの数々を麓がレポートします。

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■奄美群島日本復帰60周年!「奄美ファンサミット」等開催!

10月11~13日の3日間、奄美市内で日本復帰60周年を記念する大規模イベントが開催されました。奄美市内の複数会場では、琉球弧シンポジウムや大島紬、特産品の販売、交流会などが展開され、島人のほか全国各地から奄美出身者や奄美ファンが集結しました。

奄美市の「AIAI広場」では、奄美大島の特産品である大島紡ぎの販売会「本場大島紬大産地祭り」が開催され、6万円台から30万円を超える大島紬の反物が並びました。高価な大島紬も記念イベントとあって通常価格の1〜2割で販売。にぎわいをみせました。

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■大島紬、黒糖焼酎、熱帯果樹、島野菜…特産品を販売

奄美市体験交流館で開催された「ぐーんとまるごと市」には、喜界島・奄美大島の14業者が出店。奄美群島の特産品である奄美黒糖焼酎や島の熱帯果樹、魚介類の加工品などがずらりと並び、会場内には島人だけでなく本土から訪れたバイヤーの姿もあり、その場で商談が行われる風景も。

即完売の人気ぶりをみせたイセエビの旨味を凝縮した「エビ汁」のほか、奄美大島や徳之島に生息する毒蛇・ハブの関連商品も販売され、ハブのエキスを使ったハブクリームや、ハブオイル、ハブのキモ、ハブを丸ごと漬け込んだハブ酒など、島外からのお客さんにはめずらしい商品も並びました。

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喜界島から出店した「はなさ工房」のブースでは、昨年Iターンしたばかりという中野修さん(41)が喜界島の素材で作ったという産品を販売。「島みかん、島しょうが、島にんにくなど“島”と名のつくもので特産品を作りたいんです」と中野さん。自慢の品は黒糖焼酎の入った焼き肉のタレや島みかんのポン酢、黒糖を溶かした黒蜜、トマトソースなど。味はもちろんパッケージのセンスも光る産品を通して、喜界島の魅力が伝えられていくことが期待されます。

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■「東京オリンピックの合宿地に」奄美の未来へ提言

10月13日にはメインイベント「奄美ファンサミット」を開催。観光・スポーツ・紬特産・100人応援団・郷友会・フィールドワークの6部門で分科会を開き、各分野のエキスパートである奄美出身者と奄美ファンの人たちが参加しました。午前中の分科会を経て、午後には各代表者がまとめた意見を「奄美市奄美体験交流館」の全体会で共有。

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参加者から集まった意見では「奄美群島の魅力」について、「貴重な自然に恵まれているだけではなく、それを畏れ敬うことから生まれた文化、共生の歴史がある」「何と言っても人が素晴らしい。きもきょらさ(心が美しい)の心、おもてなしの心は日本一だ」という魅力がある一方、「奄美がどこにあるか、という地理的認識はまだ薄い。PR不足」「航空運賃の高さは観光、産業振興いずれの点においても大きな課題」という課題も浮き彫りとなりました。

会の終盤には「奄美ファンサミット宣言」を採択し、「全国の奄美郷友会の組織一元化を目指します」「観光リーダースペシャリストの育成を目指します」「東京オリンピックをにらみながら、夏合宿および海外チーム選手の合宿誘致を取り組みます」といった具体策が挙がりました。

日本復帰60周年を数える今年、奄美群島は「世界自然遺産」登録候補地となったこともあり、イベント参加者からは「奄美群島の魅力をもっと広めたい」という熱気が感じられました。

島内だけでなく国内外にもファンが広がる奄美群島。こうしたイベントを契機に、奄美ファンのネットワークから奄美群島各島の魅力が島外にも浸透していくことが願われます。

     

離島経済新聞 目次

奄美群島日本復帰60周年記念イベントレポート

戦後、約8年間アメリカ軍統治下にあった奄美群島は今年、日本復帰60周年を迎えます。節目の年にあわせて奄美ではさまざまなイベントが開催されています。2013年の秋から冬にかけて開催されたイベントの数々を麓がレポートします。

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