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【島News】再エネを無駄なく活用。隠岐諸島で日本初のハイブリッド蓄電システム実証事業開始

9月30日、中国電力は隠岐諸島で国内初の実証事業「隠岐ハイブリッドプロジェクト」を開始した。特性の異なる2種類の蓄電池を用いたもので、自然条件により変動する太陽光・風力・水力発電などの再生可能エネルギーの出力に対し、蓄電池およびディーゼル発電を最適に制御し、効率良く運用する技術の実証を行う。(画像提供:中国電力株式会社)

島しょ地域での再生可能エネルギー普及へ向けた課題

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写真提供:西ノ島町役場

9月30日、中国電力は隠岐諸島で中国電力が国内初の実証事業「隠岐ハイブリッドプロジェクト」を開始した。

環境省が離島での再生可能エネルギー(以下再エネ)導入量を拡大するため公募した「平成26年度離島の再生可能エネルギー導入促進のための蓄電池実証事業」に採択されたプロジェクトで、特性の異なる2種類の蓄電池を組み合わせ、必要に応じて電気を貯めたり放電するシステムを構築。自然条件により変動する太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーの出力に対し、蓄電池及びディーゼル発電を最適に制御し、効率良く運用する技術の実証を行う。

現在、隠岐諸島は本土と送電線がつながっていないため、諸島内の発電設備だけで電気をまかなっている。島前と島後にある2カ所のディーゼル発電所を中心に、2カ所の水力発電所、県営の風力発電所、住宅用太陽光発電などの設備が稼働し、そこでつくられる電力が島前〜島後間を結ぶ海底ケーブルを通って隠岐諸島全体に届けられる。

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家電や工場の機械などを正常に動かすためには、電気の発電量と使用量を一定に保つ必要がある。両者のバランスが崩れると周波数や電圧が乱れ、最悪の場合停電につながってしまう。

電気の使用量は電力会社側で調整ができないため、電力会社はディーゼル発電所などで発電する発電量を調整することで常にバランスを保っている。しかし、太陽光発電や風力発電などの再エネは、天候などの自然条件により発電量が大きく変動するため、発電量の不安定な再エネが増えすぎると電気の需給バランスを保つことが難しくなるという課題を持つ。

隠岐諸島のように本土と送電線でつながっていない島しょ地域では、電気の使用規模が小さいため、再エネによる発電量の変動の影響をより大きく受けやすい。そのような地域でより多くの再エネを導入するには、自然条件の変化による変動への対応と、需要の少ない昼間に生産した余剰電力を夜間に活用することが求められる。

日本初のハイブリッド蓄電システム

「隠岐ハイブリッドプロジェクト」のシステムでは、再エネの安定利用のため「リチウムイオン電池」と「NAS電池」という2種類の蓄電池が組み合わせられる。雲の動きや風速など、刻々と変わる自然条件の変化による「早く小さな変動」を調整するためには小容量で高出力の「リチウムイオン電池」が、昼間に生産した余剰電力を夜間に活用するなど「遅く大きな変動」を調整するためには大容量の「NAS電池」が用いられる。特性の異なる2種類の蓄電池を組み合わせて協調制御するのは、国内初の試みだ。

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今回設置したハイブリッド蓄電池システムの総工事費は、約25億円。リチウムイオン電池(出力2,000キロワット、容量700キロワット/時)とNAS電池(出力4,200キロワット、容量25,200キロワット/時)の合計6,200キロワットの蓄電池、送電線に蓄電池を接続するための連系設備、電力需要を予測して蓄電池の充電・放電を行うとともにディーゼル発電の発電量を制御するEMS(エネルギー・マネージメントシステム)一式などが設置された。実証事業終了後も、設備は継続して利用される。

ハイブリッド蓄電池システムにより、隠岐諸島では再生エネの大幅な導入拡大が可能になる。プロジェクトでは、既存の再エネ導入量(約3,000キロワット)に加え、旧隠岐空港メガソーラーや海士風力発電など、隠岐諸島全体で約8,000キロワットの再エネを新たに受け入れる計画。再エネ接続量は、現在の隠岐諸島における最低需要の約10,000キロワットを上回る、合計約11,000キロワットを目指す。

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本土と隔絶された島々では、電力供給をディーゼル発電に頼るケースが多く、台風などの荒天時には本土からの燃料輸送が長期間止まる恐れがある。今回の実証事業が成功すれば、離島地域での電力の安定供給と災害時の大きな安心につながり、CO2の大幅な削減も可能となる。

プロジェクトを支援する環境省地球環境局地球温暖化対策課の担当者は「この実証事業による成果は、隠岐諸島以外にも応用が可能です。全国に100か所ほどある、本土の電力系統に接続していない島々や、海外の島しょ国への展開が期待されます」と語る。実証の成果に注目したい。


【関連サイト】
中国電力 隠岐ハイブリッドプロジェクト

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