つくろう、島の未来

2020年10月28日 水曜日

はじめまして、リトケイの本間隼人です。

2月にスタッフ入りした僕は、「いつか島に住みたい」と思いリトケイを志願しました。

願いが叶い、現在はリトケイで様々な島の地域づくりをお手伝いさせていただいていますが、住まいは東京。出身も東京で、ふたりの子どもと奥さんの4人暮らし。島に住みたくて、住みたくて、仕事のかたわら、密かに自分の移住候補先となる島を見つけるべく、各島の情報にアンテナを張っています。

そんな僕のブログでは、島に住みたい僕の、住みたい島探しの一部を紹介したいと思います。

コロナ禍による外出自粛期間中は、リトケイの島での取材活動も自粛に。そこで、リモートワーク中の僕は、島の方々が集まるオンラインイベントがあると聞いて、参加してみることにしました。

「zoomショッキング」と命名されるオンラインイベントは、人をつなぐことをライフワークにされている奥祐斉さんが主催しているイベントです。

「アフリカ」「ニート」などさまざまなテーマで開催されているようで、僕が参加を決めた「離島と出会う会 vol.1」には、北海道から沖縄まで39名が参加。そのうち半数くらいが島在住の方でした。

島を愛する人たちが集ったオンラインイベントの開催風景。顔が見えると、わくわくします

参加者の住む島を並べると、利尻島(北海道)、伊豆大島・三宅島・八丈島・母島(東京)、知夫里島(島根)、豊島(香川)、江田島(広島)、中通島(長崎)、屋久島・竹島・奄美大島(鹿児島)、伊平屋島・石垣島(沖縄)。すごい!14島!!

僕は画面越しに面食らいました。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ですが、話を聞いてみたい人がたくさんいる! 14島のうち4島の方が、プレゼンテーションを行ってくれましたが、個人的には参加者みんなに話を聞きたかった……。

事前の主催者アンケートで集められたオンラインイベントのテーマは、「離島の魅力&自慢」「島の暮らしについて」「負の側面、裏事情」「移住したきっかけ」「離島の医療や福祉、教育の現状を知りたい」「離島での仕事」などなど。パソコンの前で屋久島名産の銘酒「三岳」をちびちび舐めながら、僕はひらめきました。

島で生活することを決めた人たちに、どういうきっかけで決断をしたのかを尋ねていけば、自分が暮らしたい島の最適解に近づいていくのではないか? 

…….そう考えているうちに、4島4名のプレゼンテーションがスタートしました。

登壇者は、中通島(新上五島町)でネイチャーガイドとゲストハウスを営む水村昌司さん、東京は母島で農業や野猫の捕獲、介護など何でもこなす宮城雅司(愛称:ジャイアン)さん、知夫里島でシルクスクリーンのTシャツ屋を起業し、地域の商店にも勤めている余島睦美さん、利尻島でゲストハウスをはじめ、ネイチャーガイドもされている西島徹さん。

さて、どんな島自慢があるのでしょう。

中通島の水村さんが、埼玉から島に移り住んだのは1年前。

奥さんのおじいちゃんおばあちゃん家が中通島にあったことをきっかけに、「海の色がどこよりもきれい」という島の「海に惚れた。うまいものがたくさんある」として中通島の伝統食である「紀寿司」を自慢してくれました。

鯵を一匹まるまる酢漬けにします。ちょうど良いやわらかさにするには熟練の技が肝要です

五島列島といえばグルメの宝庫(という印象)。ほかにも、かんころ餅、かっとっぽ(ハコフグの味噌焼き)、五島うどんなどのグルメ自慢に、思わずため息。水村さんのゲストハウスで求人の話が出ると、さっそく手を上げそうになります。

お次は母島です。

東京・竹芝桟橋から船を乗り継ぎ26時間(!)。都内から1,050キロも離れている母島は、元旦に海開きがあり、一年を通してイルカと泳ぐことができ、冬場にはザトウクジラの姿を見ることもできる、ここは日本? 本当に東京? という島です。

クジラの姿は島から肉眼で見えることもあるそうです(宮城雅司さん提供)

そんな母島を宮城さんは「不便な分、リピーターが多い特別な土地」と言います。宮城さんは仙台の出身ですが父島に通ううちに島に惹かれ、父島に8年、母島に10年と、人生の半分以上を小笠原で過しているそうです。

悩みの種は医療体制で、緊急搬送となれば自衛隊の協力のもと都内の病院まで最低8時間(!)、出産も島内ではできないそうです。

島根県は隠岐諸島の知夫里島に移住した余島さんは、友人が移住していた知夫里島に旅行で訪れ、まさかの一目惚れ! 旅行から3カ月後には移住をしたという島移住の先輩でした。

移住前は大阪でサラリーマンをしていたという余島さん。「情報も物も人もたくさんあるけど、なんで自分を満たす一つがないんや!」と思っていた都会暮らしに比べ、「ここには何もないけど、本当に欲しいものがすべてある」という知夫里島の暮らしを満喫しているそうです。

船越英◯郎ばりのサスペンス感あふれる冬場の日本海

放牧が盛んで、道は牛で通れないのが知夫里島の常識(!)とのこと。おすすめの食べ物は、チャンバラ貝で「食感はイカ、味はカニみたいな、ぐろいけど美味しい貝」という情報に、イベント参加者一同、興味津々になりました。

最近は移住者が増え、ベビーラッシュが続いているという知夫里島には、島に惚れ込む人が「ニュージーランドのよう」と感じるような大らかな良さがあるそうです。

最後のプレゼンテーションは利尻島です。

北国の島としても知られる利尻島には、利尻町、利尻富士町という2つの町があり、あわせて約4,500人が暮らしています。

利尻島に移住して16年目という西島さん曰く、2町で行政サービスが微妙に違うとのこと。その両方に住んだことがある西島さんが「相談にのりますよ」と言ってくれるのは心強い。

利尻町が誇るものといえば利尻山。日本百名の1つ、さまざまな高山植物を見ることができるそうです。大きな動物はイタチとシマリスくらいで、エゾジカやクマはいないため、安心して山登りを楽しむことができます。

昆布干しのアルバイトを募集している話も出ました

特産品はもちろん利尻昆布。ウニも有名。こちらもグルメの宝庫です。

北海道なので、人の背丈ほどまで雪が積もることがありますが、魚には困らない利尻島。親しい漁師さんから樽(たる)で魚をいただき、カレイやホッケなどを一晩中さばくことも(!)あるそうです。

ここで4島4名のプレゼンテーションが終了。

どの島も魅力的。知れば知るほど住みたい島の選択肢が広がってしまうのは、あな恐ろしや。

「島に惚れる」というキーワードが心に引っかかります。

プレゼンテーション後は、ブレイクアウトルーム(ZOOMのなかで数人のグループに分かれておしゃべりできる機能)に分かれてさらに深い話が聞けるとのこと。

このチャンスで、島に移住したきっかけを聞くことができるか…….。

ブレイクアウトルームには6名が参加。知夫里島に恋をした余島さんに、香川県の豊島、鹿児島、新潟から参加する人もいて、東京に暮らす僕の方がマイノリティーに感じられました。

ブレイクアウトルームは少人数でじっくりと語らう時間となります

余島さんが暮らす知夫里島の人口は約650人。2019年の人口増加率が全国トップレベルとなった知夫村には移住者も多いそうですが、なぜ人が増えているんでしょう?

余島さんのお話からポイントとして浮かんだのは「オフシーズンの過酷な時期に行って、決断をした人は定住率が高い」ということ。

春夏の観光的ベストシーズンをみて移住を決めるのではなく、オフシーズンの日本海の荒波を体験しながら、「島の人の温かさ」を感じた人が、島に定着しているように感じました。

豊島在住という参加者にも移住のきっかけを尋ねてみました。

「豊島は産業廃棄物の不法投棄の島として知られていました。学生時代に環境問題の研究で訪れて、だんだん好きになって気づいたら移住したパターンです。工夫して道具を作る姿勢とか、技術力・精神力が強い人が多くて、すごいなと。たまたま島に出会っちゃった、恋愛みたいな感じです」

なるほど。島に恋したわけですね。すると余島さんも「私も旦那より島の方が好きやで」と島愛があふれ出ます。

「知夫里島は抱きしめる力が強い。同じマンションの住人みたいな近さ。自分にとって会う島がきっとあると思います」という余島さんは、「ただ、噂の回り方がツイッターより早い」という島あるあるな裏話も。

まだまだ聞きたいことはありましたが、惜しくもここでタイムアップ。「コロナが落ち着いたらぜひ遊びにいきます」と、ブレイクアウトルームは閉会を迎えました。

他のブレイクアウトルームでは、「移住者に牛一頭プレゼント!」という話題もあったとか。自分の決断次第で、牛をいただける人生もあると知り、多様な選択肢にくらくらしました。

ブレイクアウトルームは二次会へと続き、さらに道に迷うわけですが……

最近、島に行くことは、島で生活する人に会いに行くことだとつくづく思うようになりました。

今日出会った魅力的なたくさん人の顔を思い浮かべながら、私の島への移住は、また一歩遠のきました。


【関連サイト】

▼登壇者
中通島(なかどおりじま|長崎県新上五島町)
水村昌司さん
Goto Adventure Inn

母島(ははじま|東京都小笠原村)
宮城雅司さん
「宮城自然農園」ブログ

知夫里島(ちぶりしま|島根県知夫村)
余島睦美さん
知夫里島UIターンサイト内「移住者の声」

利尻島(りしりとう|北海道)
西島徹さん
利尻うみねこゲストハウス

▼主催
奥祐斉さん
オンラインコミュニティ「となり」

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