つくろう、島の未来

2021年12月03日 金曜日

つくろう、島の未来

2020年に広がった新型コロナウイルス感染症は、人々のふれあいや移動に制限をかけた。そんな中、直接手がふれられない距離にいる人と人の間で、さまざまな支え合いがみられた。ここでは新潟県の佐渡島と粟島、鹿児島県の獅子島の動きを例に、”海にも隔てられない支え合いの輪”を紹介する。(編集・ritokei編集部)

※この記事は『季刊ritokei』34号(2021年2月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

島の生命線を守るため GCFに寄せられた想い

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佐渡の北東に浮かぶ人口約350人の粟島(あわしま|新潟県)では、コロナ禍の影響で島と本土を結ぶ航路が存続の危機に直面していた。

粟島は粟島浦村が行政を担う1島1村の島。漁業と観光を基幹産業とし、毎年約2万人の来島者を受け入れていた。そこに到来したコロナ禍。医師が常駐しない小規模離島では住民の命を最優先するべく、村は来島自粛を呼びかけるほかなかった。

新潟県村上市の岩船港から粟島までの所要時間は高速船で55分、フェリーで85分。粟島汽船の航路は島の人々にとって必要不可欠なインフラだ

人流が止まれば船の収入も止まり、粟島汽船は経営難に陥る。人はもちろん物流も担う粟島汽船の航路は、島の生命線でもある。粟島浦村では財政調整基金を取り崩し3,000万円の融資を決定したが、必要な資金には届かない。そこで村は、島外に支援を求めるべくふるさと納税を活用したクラウドファンディングを開始した。

12月18日、クラウドファンディングサイトに粟島の支援募集情報が掲載されると、「負けないで!」「船がなくなると遊びに行けない」「応援します」というメッセージと共に資金が集まり始め、わずか14日間で目標金額の1,000万円を達成。2月19日の最終日には総勢500人を超える支援者から1500万円以上の支援金が寄せられた。

粟島浦村が支援を求めたクラウドファンディングの画面。ふるさと納税の仕組みを活用した「ガバメントクラウドファンディング®️」上で実行された

どんな人が支援に加わったのか。粟島浦村役場の竹内徹真さん(35歳)に聞くと「住民の親族など血縁関係のある方はもちろん、元役場職員や学校の先生など仕事で関わったことのある方、大学の授業で島に来たことのある方などの名前があり、本当にありがたかったです」と教えてくれた。

支援者のひとり、武田知浩さん(32歳)は2018年までの2年間、粟島浦村で地域おこし協力隊として活動していた。任期中は島の漁師から魚を仕入れ、島の女性たちと共に干物に加工するなど、島の住民らとの交流を通じて「多くのことを学び、本当に貴重な人生経験をさせてもらった」という。島を離れた今も、島を想う武田さんは「金額面ではささやかな支援ですが、気持ちを伝えたいと思いました」と話した。

粟島浦村では離島地域ならではの「島の自然力」「島の暮らし方」「地域の温かさ」を活かしたキャリア教育や離島留学にも力を入れている

粟島では島の教育環境を持ち味に、島外の小・中学生を受け入れる「しおかぜ留学」が展開され、令和2年度には「過疎地域自立活性化優良事例表彰(総務大臣賞)」を受賞している。支援者には離島留学中の児童や卒業生の父兄も多くみられたという。「たくさんの人が島のことを丁寧に想っていることに気づかされました。クラウドファンディングは終わりましたが、村の生活は今後も続いていくので、ずっと関わってもらいたいです」(竹内さん)。

>>鹿児島県・獅子島
「2020年7月豪雨の絶望から未来の希望を生んだ支援」へ続く

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