2001年から続く「茜島シーサイドスクール事業」は、野島(のしま|山口県防府市)の防府市立野島小中学校の児童減少を機に、同市教育委員会が開始した通年の教育事業。同事業では、総合学習や学校行事の時間に、島内の自然体験や伝統文化に係る学習の機会が用意される。また、野島小中学校への進学を希望する市内全域の家庭に、同市から野島への渡船料が一部補助される。15年の取り組みで累計108名の小・中学生が入学した。
自然と文化を学び、個性と自己肯定感を身につける教育
かつて島全域にツツジが生えていた野島は、開花の様子から別名「茜島(あかねじま)」と呼ばれる。夏には海水浴やキャンプ目的の来訪者が集まる一方、1928年の住民1,300名を境に人口減少が続き、2013年には島内在住の小・中学生が0名になった。そのため2001年から「野島の豊かな自然をいかした子どもの学び・育ちの支援」と「野島の活性化」を目的に、茜島シーサイドスクール事業が開始された。
茜島シーサイドスクール事業では、通常の教育課程に沿った授業のほか、野島の自然や文化に係る特別授業を受けることができる。特別授業では、夏には海水浴客で賑わう津久美浜(つくみはま)でのシーカヤック体験、野島の漁業協同組合と共同で取り組むハモ料理づくり体験学習、伝統の盆踊り「盆口説(ぼんくどき)」体験などが実施される。
茜島シーサイドスクール事業を担当する防府市教育委員会の見好敏和さんは「子どもが個性を発揮し、良い面を伸ばす。少人数のため、個人の役割が多く、積極性が育まれ、自己肯定感も高まりやすい」と話す。来年度に向けた説明会には小・中学生9名が参加した。例年、同市ウェブサイトや広報誌、市内小中学校へのチラシ配布で希望者を募集する。
【関連サイト】
防府市立野島小中学校ホームページ
防府市立野島小中学校facebookページ
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