離島専門の引越し会社として2018年に創業したアイランデクスは、移住者・Uターン・転勤などで島を行き交う人の荷物を運びながら、累計5,000人もの人生に寄り添ってきた会社。社是は「人生に離島を」。
ものを運ぶだけではなく、島で生きる人の心を支えてきた彼らの働きはさまざまな場面で信頼を集め、いつの間にか島々の 「困りごと」 が集まるように。その声に応えるように「離島専門の工務店」 「ゲストハウスやシェアハウスの運営」などの新規事業が生まれてきた。
そんなアイランデクスが2024年4月にスタートした 「寮の運営」 の現場をのぞいた。

島の学校を盛り上げるべく地元キーマンとチームを結成
奄美群島の瀬戸内町は奄美大島南部と、加計呂麻島、請島、与路島という有人4島からなる町。約8,000人が暮らす町の中心部には、この地で育った多くの人が青春時代を送った鹿児島県立古仁屋(こにや)高校がある。
時代の流れを受けて生徒数が減少するなか、2019年度からは地域みらい離島留学をスタート。地域外からやってくる留学生の受け入れにも力を入れてきた。留学生たちは町の中心部から車で5分ほどの清水(せいすい)集落の寮で生活する。

2023年、瀬戸内町が「寮の運営者」を公募すると知ったアイランデクスは、島の高校存続に関わる仕事の意義深さからプロポーザルに参加。
運営者に選ばれると、公募に手を挙げながらも「自分だけではできない」と涙をのんだ地元関係者や、それまでの寮運営に関わってきた元地域おこし協力隊の土井小雪さん、集落の女性たちにも声をかけ、新たな寮運営チームを結成した。
男子寮を訪れると、揃いのつなぎを着た土井さんと鎌田康成さんとが迎えてくれた。ふたりはアイランデクスの社員であり、寮のコーディネーターとして男子寮、女子寮の運営を支えている。

1階の談話スペースでは、加計呂麻島から進学したという男子生徒がのんびり読書をしていた。「夏休みは毎日自炊している。ごはんをたくさん食べるから外食していると1週間で1万円なくなってしまう」と話す彼。食堂の壁にずらりと貼られた写真に映る集落の女性たちが彼らの健康を守っている。

笑いも涙も山も谷もある毎日だからこそ得られるよろこび
土井さんは6年前に瀬戸内町の地域おこし協力隊となり、寮運営に関わるようになった。前職はコールセンター。「非対面の仕事はあっていないと思っていて人と関わる仕事がしたかったんです」という土井さんの生活は180度かわり、今はどっぷりと人に関わる。
「生徒たちの日常生活をケアしていますが、『時間を守る』 とか 『礼儀を身につける』とか、親代わりのような仕事もありますね」。学生たちは青春真っ只中。年齢の近い土井さんは、親には言えない相談話を打ち明けられることもあるという。

今年からコーディネーターとなった鎌田さんは、学生時代はラグビー部や趣味のミュージカルでキャプテンをしていたというリーダー肌。奄美大島で勤めていた飲食業を卒業するタイミングで、学生たちの「挑戦」を後押しする仕事に就いた。
「朝、学生から『体調不良で休む』と連絡がきます。体調不良といってもさまざまです。そのとき、信頼関係ができていたら、『最近、ぶっちゃけどうなの?』なんて聞いたとき、『実は、ちょっと嫌なことがあって休みたかったんです』と本当の理由を教えてくれたり。父親のような気分で、人ひとりと向き合えるのがこの仕事の魅力です」と笑う。

コーディネーターの仕事は多岐に渡る。週2日は夜勤で寮の宿直を担当し、新たな留学生の受け入れにかかる仕事や、役場・学校との調整、寮で行われるイベントの企画調整や、寮に関わるスタッフの勤怠管理や会社への報告、留学生の保護者とのコミュニケーションに壊れたエアコンの修理手配まで。決してのんびりしたものではないが、人の成長に関わるからこその深いよろこびもある。
土井さんは寮を巣立った卒業生が、成人式に帰ってくることをよろこぶ。「海外に進学した子や、地元が別にある子もここに帰ってきてくれるんです」。ある卒業生は土井さんらとのふれあいを通じて「将来は寮のコーディネーターになりたい」という夢まで語ってくれたという。
高校存続の願いも背負う「やむらら~ん!」志事
古仁屋高校出身で子育て支援や教員をしてきたという岡野亜湖さんは地元のキーマン。「100年先もシマを残したい」と語るほど愛してやまない地元で、母校が存続の危機にあることを知いてもたってもいられなくなった岡野さんは、自ら寮運営の公募に手を挙げたものの「最初は全然わからなかった」と話す。
アイランデクスとの出会いから寮の広報役に就くこととなり、長く寮運営に携わってきた土井さんとも出会いながら「(寮には)こんなにも熱い想いがうずまいているんだと知りました」と涙を浮かべる。
古仁屋高校の存続や繁栄を強く願う人は岡野さんだけじゃない。食堂で手料理をふるまう島のお母さんたちにも卒業生は多く、皆がそれぞれに熱い想いを抱いているのだ。

新聞やSNS、地元ラジオを通じて古仁屋高校や寮のことを地域住民に伝える岡野さんのキャッチコピーは「やむらら〜ん!」。「たまらない!」「最高」を意味する方言で、 古仁屋高校と関わる自身の胸の内を高らかに表現している。
集落を歩けば寮の運営に関わる大人や、気に掛ける大人に至るところで出会う。 さまざまなきっかけで島にやってきた学生と、古仁屋高校の繁栄や学生の成長を願う地域の人々、学校の先生に役場の担当者まで、実に多様な人とどっぷり接する仕事は、人や地域と関わりたい人にとってはまさに「やむらら〜ん!」と感じる志事だ。

町長に開きました!瀬戸内町の魅力と古仁屋高校
大島海峡の風景と共に栄えてきた瀬戸内町には、出身者でなくても受け入れ融合する文化があります。私自身もここで生まれ育ち、子どもたをたちが通ってきた古仁屋高校はこの町にとってなくてはならない存在。寮運営ではアイランデクスのスタッフのように「地元以外」の視点や気づきが入ることで、さらに新たな挑戦ができると感じています。
私は昨年、豊年祭で留学生と相撲をとって負けてしまいました(笑)。そん友風にふれあった子どもをたちが「島に帰ってくる」と言ってくれるのはうれしいですね。「子どもはみんなで育てる」という集落の文化や大自然がある瀬戸内町で、我々は学ぶ機会を整えていきますので、学生や大人も、自分を磨きたい人に来ていただきたいです。

【古仁屋寮のコーディネーター募集中】
アイランデクスでは、古仁屋寮で働くコーディネーターを募集しています。奄美大島の美しい自然の中で、若い世代の成長を支援するお仕事に挑戦しませんか?
「人と関わる仕事が好き」「若者の成長をサポートしたい」「自然が好き」「地域のコミュニティに関わりたい」という方は、アイランデクスのホームページをご覧ください。
>>アイランデクス 離島留学・学生寮運営事業


