国土交通省では、離島地域や漁村に滞在し、生活体験や漁業体験など地域との交流を深めながら、心と体をリフレッシュさせる余暇活動として「ブルー・ツーリズム」を推進しています。今回、リトケイ入社3年目の松本が喜界島(きかいじま|鹿児島県)でブルー・ツーリズムを体験してきました。写真多めでレポートします!(前編はこちら)
「ドラキュラ釣り体験」と「定置網漁体験」
こんにちは、松本です。3月上旬、3泊4日の日程で伺った奄美群島の喜界島。後編ではいよいよブルー・ツーリズム体験をレポートします。
奄美群島では2012年度(平成24年度)から、群島内で獲れる水産物や伝統漁法などを「漁業体験型商品」として発掘し、広報する「奄美のいしょむん(※)PR事業」を進め、2014年度(平成26年度)までに「追い込み網漁体験(沖永良部島・おきのえらぶじま)」や「くさび釣り体験(与論島・よろんじま)」など11の漁業体験が商品化されています。
※いしょむん……奄美群島の言葉で「海の幸」「海でとれたもの」という意味。
今回、喜界島で体験したブルー・ツーリズムは「ドラキュラ釣り体験」と「定置網漁体験」の2つ。どちらも楽しみですが、「ドラキュラ釣り体験」は名前だけでは想像がつかず。ドラキュラって何? どんなものが釣れるの??とワクワク。
迎えた当日は、地元の漁師さんが「こんな凪の日は中々ない」というほど絶好のコンディション。ほかの参加者とともに荒木漁港を出港し、いざ、ドラキュラ釣りへ。
白波一つありません。
ドラキュラはどこかな〜と船に揺られること「あっという間」。ポイントに到着しました。
実は、リトケイに勤めながらも釣りをほとんどしたことがない松本。内心「自分だけ釣れないんじゃ……」という不安を抱きながら、教えてもらった通り針に餌をつけ、糸を垂らします。
それから数分後、早くも「釣れた!」という参加者の声が聞こえ、さらに不安が募ったのも束の間!すぐに自分の釣竿にも手応えを感じ、リールを巻き巻き……釣れました!!
約2時間、釣り素人とは思えぬほどたくさんの魚を釣り上げ、港に帰港。気づけば参加者全員でこんなに釣っていました。
釣った魚たちは漁師さんの説明を受けながら捌き、昼食の準備。実のところ、魚を捌くのもほぼ初体験で、エラ、内臓、骨の位置を確認しながら、担当した1匹をなんとか捌き終えました。
ふと見ると、あんなにたくさんあった魚は全て捌かれ、刺身やあら汁など数々の料理が並んでいました。
昼食後、今度は定置網漁体験へ出発。定置網漁とはその言葉通り、海中に設置した網に入った魚を獲る漁法。流れに逆らって泳ぐという魚の習性を利用して魚を獲ります。
ポイントに到着し、海中に仕掛けてある網を見ると、「これでは魚が逃げるのでは……」と思うほど、網と網の間に大きな隙間が。しかし、漁師さんは「これでも捕まえられるんだよ」と飄々とした様子。
仕掛けられた網
一度入ったら逃がさないぞ!というようなガッチリした網をイメージしていたので、実際にこの目で確かめるまで若干疑っていたのは秘密です。
ところが、漁師さんの合図で網を引いていくと、網の中には100匹ほどのムロアジが捕えられているではないですか!漁師さん曰く「100匹は少ない」とのことですが、漁業体験初の僕としては、大満足の漁獲量でした。
-
定置網漁の様子
-
定置網漁で釣れたムロアジ
さて、2つのブルー・ツーリズム体験を終えて気になるのは、「天候に恵まれない日はどうするのか」「もし魚が全く釣れない場合はどうするのか」といったこと。
自然を相手に行う漁業を商品とするだけに、如何ともしがたい難しさはありますが、ブルー・ツーリズム体験を受けての意見交換の場では、「漁に出られないときは、漁の仕掛け作りを体験するのはどうか」「天候に合わせて普段の漁師の日常を体験してもらうのはどうか」などの代替案が出されていました。
個人的な感想では、単なる「釣り体験」で終わらず、釣った魚を自ら捌き、捌いた魚を食べるという、一連の流れを体験できるブルー・ツーリズムは、とても楽しく、「へぇ〜」「そうなのか」と学ぶことも非常にたくさんありました。
僕自身、島へ行くことは多々ありますが、僕のようなマリンレジャー初心者にとって、ベテランの指導なしに釣りを楽しむことはできません。今回は、これまであまり触れられなかった漁業体験が気軽にできたことで、島へ行く楽しみがさらに広がったように思います。
喜界島はもちろん、海へ出て楽しく美味しく学べるブルー・ツーリズムもオススメです。この夏の旅に、ぜひいかがでしょう?
【関連サイト】
喜界島観光物産協会